2013年10月29日火曜日

インハウスの広告運用に大切なこと ー リブセンス 岩崎亮氏 #State-of-AdOps Vol.8


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第8回は、最年少東証一部上場などで注目されている株式会社リブセンスの事業推進部でご活躍されている岩崎亮さんにインタビューをさせて頂きました。「お祝い金」の仕組みで人材メディアに新風を吹き込んだ「ジョブセンス」をはじめ複数のメディアを運営されている企業での広告運用は一体どのようなものなのか、現場で日々実践されている生のお話をお聞きしました。


# インタビューは 2013年10月某日に行われました。



何はさておき、計測の環境を整えることから始めた。


現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

リブセンスの岩崎亮と申します。リブセンスはアルバイト求人サイトの「ジョブセンス」、転職求人サイトの「ジョブセンスリンク」、賃貸不動産情報サイトの「door 賃貸」などを運営している企業で、現在は各メディアを横断してマーケティングを推進する事業推進部に勤務しています。

リブセンスに入社する前は人材会社で働いていました。そこで子会社の立ち上げを中心にモバイル販促のオペレーションの責任者として約4年務めました。そこでいろいろ検討した結果、リブセンスに移ることになりました。

転職活動では、主にインターネット・IT系企業を中心に探していたのですが、IT企業でも社長や現場がプロジェクトマネージャーの企業が多く、漠然とした違和感を感じていました。一方で、リブセンスは創業者たちが学生の頃からメディアを自社で構築してきたという経緯があり、面接での雰囲気も自分が想像していたITベンチャーのカルチャーがあるような気がしました。

入社してからは、ジョブセンスの広告運用を経て、現在の各メディアを横断した部署である事業推進部で、メディアの運営に関わるマーケティング全般を担当しています。広告でいえば、アフィリエイトやバーティカルメディアアドネットワーク、DSPなどが含まれます。また、広告ではないですが、先日発表があったPtmind社のアクセス解析「Pt engine」なども広告へフィードバックするという意味では含まれますね。


リブセンスが正社員求人サイト「ジョブセンスリンク」のスマートフォンサイトにおいてアクセス解析ツール「Pt engine」を採用
http://www.ptmind.co.jp/corporate/news20131009.html




広告運用で気を付けているポイント、ポリシーなどはありますでしょうか?

色々とあるのですが、何はさておき、判断のベースとなるコンバージョンの計測をしっかりしようという取り組みから始めました。運用型広告に限らず、費用がかかっているものは判断軸がブレてしまうと身動きが取れなくなってしまいますので、計測の環境や構造を改めて見直して、間違いがないかどうかを確かめました。

具体的には、再読み込みしたら重複コンバージョンとしてカウントされてしまう問題や、アクセス解析でも滞在時間や離脱の定義などを厳密に把握する、計測パラメータをリンク先URLにきちんと記載するという部分です。費用対効果の算出に関わる部分はそのまま運用方針に直結しますので、まずはここを丁寧に把握することからスタートしました。計測さえしっかりしていれば、運用でチャレンジできるようになりますので、一旦整理がついたあとは、最新のテクノロジーを積極的に試すことができるようになりました。


新しいことをトライするための情報収集などはどうされていますか?

事業推進部内で役割分担をしていまして、それぞれの担当範囲について自分たちで積極的に情報を取りにいくようにしています。例えば分析の担当者であれば最適化の数理モデルについて勉強会やセミナーに参加したり、広告の最新情報であれば専門の方のブログや Facebook も参考にしますし、実際にお会いして色々とお話を聞くようにしています。


データフィードに伸びしろがある。


現在の施策で特に注力されている分野はどのあたりでしょうか?

投資している金額という意味ではリスティング広告が最も大きいのですが、現在はリスティング以外で伸びしろや工夫のしがいがあるところに力を注いでいます。

具体的には、弊社のメディアへのトラフィックの内訳を見ると、バーティカルメディア(業界別のサイト)の割合が比較的大きいのですが、このバーティカルメディアへ情報を送るデータフィードの最適化に取り組んでいます。「ジョブセンス」でいえばいくつかのアルバイト求人情報メディアにデータフィードを送って情報を更新するのですが、案件毎に獲得単価を設定出来たりするので、「ジョブセンス」における採用率や採用単価を考慮して単価設定したり、職種や地域での単価調整をしたりしています。また、上位掲載ロジックについても CTR や CVR を加味する等メディアによって異なるため、それぞれの仕様を把握してから原因を調査し、最適化を進められる仕組みを整えています。

リスティング広告のように投資金額が大きいからわずかな改善幅でも利益が大きいというものもありますが、投資規模が少ないからといって何もしないというのではなく、「少ないからこそまだまだ伸びしろがある」と考えるようにしています。

メディア運営をしている以上、費用対効果や CPA というのはどうしても設定せざるを得ません。CPA が限られているからこそ、合わせるために無駄を排除していくという考え方だけでなく、どんどん新しいところを開拓していくようにしています。そうしないとすぐに頭打ちになってしまいますから。


データフィードの最適化は大変だと思うのですが、どのように運用されていますか?

各メディアに送るためのフィードの仕様はメディアごとに異なるので、自社のデータを各フィードに変換するツールは社内開発しています。ある CSV を吐き出したら、それを各メディアの仕様に合わせて自動振り分けするようなツールですね。

例えば弊社の賃貸不動産情報「door 賃貸」だと、自社の管理物件とそれ以外の物件(提携している他企業が管理している物件など)で利益率が異なるためおのずと限界CPAが異なりますから、フィードの送信ロジックを変更する必要があります。また、Criteoさんのようにフィードの工夫ができる広告であれば、自社の管理物件だけを広告に表示させるようにすることで限界CPAを引き上げて、その分積極的に出稿する、というような運用もしたりしています。

データフィードには有料のものも無料のものもあって、それぞれにやるべきことが違いますから、まだまだ工夫のしがいがある分野だと考えています。あとは、AdWords の商品リスト広告はまだリテールのみに提供されている商品ですが、今後サービスにも開放されればもっと盛り上がってくるのではないかと思いますね。データフィードに取り組みはじめて思うのは、「取り扱い説明書を読まないでゲームには勝てない」ということです。読まなくても運用はできるかもしれませんが、継続的に闘っていくのは難しいと思いますね。


エンジニアには常にユーザーに目を向けていてほしい。


基本的にインハウスで運営されていらっしゃいますが、運用における外部のパートナーとの取り組みはどのような方針があるのでしょうか?

基本的にはぜんぶ自分たちでできるようにしています。ですが、統一化できない部分、変化が激しい分野はなるべく外部の協力を仰ぐようにしています。社内のエンジニアには、社内ではなく自分たちのメディアに来てくれるエンドユーザーに目を向けてほしいと思っていますので、自社開発したものが自分たちの価値を高めたりマーケットの中で競争力があるものなのかどうかを常に考えて判断するようにしています。競争力があればリソースを注ぐべきだし、ないのであれば外部にお願いして効率化した方がいいですから。

広告やアクセス解析でも同じ考え方です。例えばアフィリエイトであればプロバイダーに一定の手数料を支払わなければいけないですが、普通に考えて有力なアフィリエイターさんたちを自分たちだけで集めるのは無理があります。アクセス解析の Pt engine であれば、トラフィックにおけるスマートフォン比率がどんどん高まってきていますので、アクセスデータがいまいち信用しきれないスマートフォンに対して何とかしっかりとした解析の環境を整えたいのですが、そこで解析ツールを一から開発するのはナンセンスです。だから外部の力お借りしています。

最近の例でいえば、AdWords の品質スコアを定点観測するのにこれまでは AdWords Script を使って自分たちで集計していましたが、かなり手間がかかっていたので現在では TenScores というサービスを利用しています。

Tenscores: The Google Adwords Quality Score Tool
http://www.tenscores.com/



デジタルマーケティングだからこそアナログな部分を大事に。


そういったパートナー企業との取り組みで気を付けていらっしゃることは?

当たり前のことのようですが、自社運用が基本だからこそ、一旦お付き合いの始まったメディアや外部のパートナーさんとは良い関係を構築して一緒に頑張っていきたいと思っています。

例えば広告で言うとリスティング広告やディスプレイ広告の割合が大きいのですが、そういったプラットフォーマーの方々は自分たちのプラットフォームを通じた売上を上げるために営業していらっしゃいます。一方で、我々広告主としては広告費を使うことが目的ではなく、そこから収益を上げることが目的です。ここの利害関係をうまく一致させる方向に関係を持っていくことが大事だと思っています。

プラットフォーマー側の担当者にとっては弊社がクライアントですから広告費を増額すれば評価されます。我々は費用対効果が見合えば投資額を増やすことができる。そのためにはお互いのビジネスを理解して、どういった提案があれば双方がハッピーになれるのかを考えながら仕事を進める必要があります。単なる値引き交渉だけすれば話は止まってしまいますし担当者の評価が下がってしまうかもしれません。併せて相手へのメリットを提示することで、お互いが納得してパートナーシップを結べるのではないかと思います。

デジタルマーケティングだからこそ、ビジネスの構造を理解して、アナログの部分を大切にすべきだと思います。逆に言えば、我々のビジネスを理解した上で話してくれる会社さんとは、積極的に一緒に仕事をしていきたいですね。


高いレベルで切磋琢磨していきたい。


広告運用の現場について、今後の展望などがあればお聞かせ下さい。

弊社は「あたりまえを、発明しよう。」というコーポレートビジョンを掲げています。この達成のために重要な2つのことがロゴマークに込められているのですが、1つ目が何事にも「疑問(?)」を持つこと。2つ目は「雨垂れ石を穿つ」という故事成語になぞらえて、「徹底」して行動することです。小さな努力の積み重ねを徹底することによって成果を出すというのは、広告を含めたデジタルマーケティングの運用にとって大事な考え方だと思っています。

事業推進部のモットーも ”Operational Excellence” なのですが、徹底した改善の積み重ねによってオペレーションを確固たるものにすることによって、中ではなくて外を向くことができるようになります。仕事をしているとどうしても中を向いてしまいがちなのですが、外を向いていくということを意識して、ユーザーに近い位置で仕事をしていくことが結果的に今後につながっていくと思っています。

デジタルマーケティングの変化のスピードが早いのは疑いのない事実です。変化に対して中ばかり見ていては対応できませんから、日々のオペレーションを安定させて、外を見ていく時間を確保していかないと対応できません。もっと言うと、変化を作っていく側に立たないといけませんので。


同じように企業のマーケターとして現場で頑張っている方々に一言ありましたらお願いします。

事業推進部では Livesense Digital Marketing というブログを運営しています。

LIVESENSE DIGITAL MARKETING
http://marketing.livesense.co.jp/


このブログを始めたきっかけは、より現場に近い情報をマーケティングの現場で頑張っている方々とシェアしたいという思いがあったからです。

「◯◯のための10の方法」といったタイトルの記事はたくさんありますが、現場レベルでどうしたら良いかという実践にまで踏み込んだ記事は少ないと思います。マーケターが現場で実践している細部の工夫やアイデアに価値があると考えていますので、そういったものをアウトプットすることによって、デジタルマーケティング業界の事業推進部的な位置づけになれたらいいなと、そう思っています。

日本では事例は外に出したくないという風潮がありますが、個人的にはナレッジをどんどん共有することで、業界全体の底上げに少しでも貢献できればと。自分自身ももっと高いレベルで切磋琢磨していきたいと思っています。


本日は貴重なお話、ありがとうございました!



2013年10月10日木曜日

広告主が考える、広告代理店とのパートナーシップ − カイザークラフト 下川亜希子氏・窪田有希子氏 #State-of-AdOps Vol.7


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第7回は、ドイツに本社を持つ業務用品サイトを運営するカイザークラフト(Kaiser Kraft K.K.)で、オンラインマーケティング事業を推進されている下川亜希子さん・窪田有希子さんのお二人にインタビューをさせて頂きました。

カイザークラフト社は運用型広告(特にリスティング広告)の運用を新宿にある広告代理店のプレシジョンマーケティング社に委託しています。今回のインタビューでは広告運用における代理店との関係性をお聞きするため、プレシジョンマーケティング社の坂萩馨さん、吉成建人さんにもご協力をお願いし、広告主と広告代理店のパートナーシップを中心に、奇譚のないお話を伺いました。


# インタビューは 2013年9月某日に行われました。



いつかは自社メディアのマーケティングを経験したかった。


現在のお仕事に就かれるまでの経緯と、具体的な業務内容をお聞かせ下さい。

下川:現在はカイザークラフトのオンラインマーケティング部でマネージャーをしています。カイザークラフトはドイツで1945年に設立された業務用品のB2B通販企業です。世界30カ国で展開し、日本法人は2002年に設立されました。もともとはカタログ通販に非常に強みを持っている企業でして、近年、新たな市場の開拓としてネット通販をはじめています。

私自身はカイザークラフトに入社する以前まで、広告代理店でECサイトのコンサルティング、オンライン/オフラインを含めたメディアプランニング、リスティング広告をはじめとした運用型広告を経験してきました。代理店として広告主のサイト運営に携わるなかで、外部からのコンサルティングだけではなく、いつかは自分自身が直接ウェブサイトのマーケティングや運営をしてみたいと思っていたところ、縁あって、2011年から日本法人でのオンライン事業の立ち上げに参画することになりました。

数あるEC事業の中でカイザークラフトを選んだ理由ですが、単純に広告を出すだけといった役割ではなく、自社メディアのマーケティングに責任を負えるポジションだったことと、当時のボスから「どうしても日本で成功したい」という熱意が感じられたからですね。本社のあるドイツでの知名度と日本での知名度には大きな差がありますし、外資ということもあって苦労は多いですが、その分やりがいを持って仕事ができています。


窪田:カイザークラフトの窪田です。下川と同じくオンラインマーケティング部に所属しており、カイザークラフトのオンラインのマーケティング全般を担当しています。

私も以前は広告代理店でECサイトのコンサルティングをしていました。もう少し深くECサイトの運営に携わりたいと考えていたところ、ご縁があって入社しました。カイザークラフトでは、単なる広告の出稿だけでなく、ECの運営そのものに関わっていくことが求められるので、刺激を感じながら仕事ができています。



カタログから運用型広告へのシフト


オンライン事業の現状はいかがでしょうか?

下川:もともとドイツではカタログ通販で伸ばしてきた会社なので、オンライン事業の立ち上げの際にもどうしても成功体験のあるカタログ通販の延長のようなウェブサイトになってしまっていて、ECサイトとしての使いやすさを追求できておらず、運営という意味では少々苦戦しています。

一方で、日本でオンライン事業ができてから3年目になりますが、過去2年でオンライン経由の売上は数倍増加することができており、日本はドイツと違ってオンライン中心の戦略にシフトすることができる環境が整ってきました。来年2014年春にはウェブサイトの前面リニューアルが決定しています。

以前は、社内から「ネットでB2Bの商材が売れるとは思わない」と言われたこともありました。実際、ドイツではオンラインの売上はカタログの2−3割程度なので、その成功モデルを日本でも適用しようと考えたのだと思います。それでも、地道に本社を説得し、設定したKPIを繰り返し達成することで、少しずつ本社の認識も変わってきました。代理店の方々をはじめとして、外部からも多くのご支援を頂いているので、まだまだこれからではありますが、風が吹いてきたと感じます。リニューアルのある2014年は正念場ですね。


オンライン事業に注力される中で、運用型広告へはどのように取り組んでいらっしゃいますか?

下川:現在はカタログ通販からオンラインへのシフトチェンジを行なっている最中で、カタログの部数を減らしながら、運用型広告を強化しているフェーズです。内訳としては、大きいのがリスティング広告、次いでDSP、CriteoやDynamic Remarketing などの動的リターゲティングなどになります。

運用型広告は、知名度や企業規模にかかわらず、しっかりとした設計と運用を行えばターゲットとしているお客さまに高い精度でリーチできますので、集客のメインチャネルになります。また、カタログですと同じものを送りつけて終わりですが、運用型広告ではお客さまの関心度に応じてクリエイティブやチャネルを出し分けることができますので、お客さまごとのプロモーションが実際にできるのが強いと思っています。

窪田:カタログの送付数はピーク時の数分の一にまで減りました。オンラインに実績が出てきたことで、カタログを撒くよりネット広告の方がROIがいいことが社内的にも認知されてくるようになりました。


ネット広告を強化される中で、運用はどうされていますか?

下川:私の入社以前からオンラインについては広告代理店さんにお願いしていました。私の入社後も、サイトのオンラインマーケティング全般に関わる関係上、広告だけにすべての時間を費やすわけにはいかないので、インハウス運用ではなく代理店さんとの協働を選択しました。

以前は別の代理店さんと仕事をしていましたが、2013年からはここにいるプレシジョンマーケティングさんと一緒にお仕事をしています。



営業と運用の温度差をなくす経営を目指して


では、プレシジョンマーケティングさんからもお話を伺えればと思います。

坂萩:株式会社プレシジョンマーケティング取締役の坂萩です。2013年よりカイザークラフトさんと一緒にお仕事をさせて頂いています。自己紹介をしますと、私自身は2007年の創業時からプレシジョンに参画していまして、当時はアルバイトでの入社でした。そこから正社員に登用してもらい、現在に至ります。プレシジョンマーケティングで働く前までは、アパレル会社での販売員やASPでマーケティング担当をしていました。

プレシジョンマーケティングは営業した担当者がそのまま担当者として運用やコンサルティングも行う、という前提で経営しています。営業が強すぎると運用が疎かになって結果が出せませんし、運用だけでは事業はスケールしないと考えているからです。経営陣がみな広告代理店出身なので、各々がそれまでに経験した組織運営での弱点を克服する会社を作りたいと思って始めました。最終的には、集客から分析、LTVの最大化のお手伝いを一人のコンサルができるようにするというのが目標です。


吉成:プレシジョンマーケティングの吉成です。カイザークラフトさんとのお取り組みでは、主にサイト周りの改善や分析を担当しています。例えば、オーガニックや広告経由でのユーザーの動きを分析して改善のフィードバックをする、などですね。

前職では制作会社に勤めていましたので、制作サイドと事業者サイド、両方の視点から提案するように心がけています。単純にCPAが上がった下がったではなく、エンドユーザーの視点を持って分析するようにしています。



知識だけではない、運用者ならではの提案


カイザークラフトさんとプレシジョンマーケティングさんの協働のきっかけは?

下川:端的に言いますとコンペの結果です。先ほど、以前は別の広告代理店にお願いしていたと言いましたが、残念ながら結果が出ているとは言いがたい状況でした。結果が出なかったのは弊社にももちろん原因はあるのですが、例えば「コンバージョンが出ないのはサイトが悪い」と言われても、こちらはそのことについては痛いほど分かっているので、それを前提としてどうすればいいのか、アクションを共有できるような関係性ではありませんでした。

その他にも、私も以前は広告代理店にいたので「この設計はマズくないかな?」といった疑問があったり、当時の代理店さんからプラットフォームの最新情報を伝えてもらえなかったり(あるいは知らなかったり)というところで問題意識がありました。他がどうしているのか、本当にこのままでいいのか、第三者機関のアドバイスがほしかったという事情がありました。そこでコンペに踏み切ったわけです。

外資なのでパートナーは英語ができることが望ましいとか、本社の意思決定の問題など、コンペを実施する上でもいろいろな試行錯誤があったのですが、私としては「行動を起こせばもっとよくなるのに、何もしないという選択はできない」という思いで何とか実施にこぎつけました。(オフィスが海浜幕張なので)ダメだったら京葉線に飛び込むくらいの覚悟でやらないと(笑)、会社のためにも自分のためにもならない、そういう思いからコンペを実施しました。結果として現在のプレシジョンさんとご縁ができたかたちです。


プレシジョンさん側で、提案のときに気をつけたポイントなどはありますか?

吉成:事前に頂いたオリエンで、広告側の問題はある程度把握できていました。そこで、現在の広告でのダメなところを指摘するだけではなくて、広告経由でウェブサイトに入ってからの状況を重要視して、広告だけではなく、サイト側の原因も併せて分析していきました。

コンペにあたってはかなり詳細まで開示していただいたので、広告の実績を見ながら、サイト側の原因も同時に探っていきました。例えば、「台車」という訴求で呼び込んでいる広告のCVRがこんなに低いのに、そこでタイトルと説明文を変更しても仕方がありません。トラフィックの質を上げることは大前提で、そこにプラスして、ウェブサイト側でもこういったことをすべきではないかという提案です。

坂萩:誤解を恐れずに言えば、拝見して、改善できる自信がありました。オリエンでお伝え頂いたお悩みは共感できるものでしたし、それに応えるかたちで我々が出した提案が下川さんの問題意識と一致したことが大きかったと思います。


なるほど。カイザークラフトさんとしては、どういったところが決め手だったのでしょうか。

下川:決め手は、知識だけではない運用者ならではの提案だったからです。運用型広告はいくら語れても実際にしっかりとした設計や運用ができなければ机上の空論ですので、プレシジョンマーケティングさんはその運用がしっかりできると判断しました。

本社は英語ができるかどうかも重要視していましたが、英語でのコミュニケーションに問題がなく、英文でレポート作成のご支援をいただけたとしても、それが広告運用の成果につながらないのであれば本末転倒ですので、内容で判断しました。実際にこの方たちなら一緒にやれそうだと思ったところが大きいです。

坂萩:それは我々も同じです。僭越ですが「この人のために頑張ろう」と思えるかどうかは大事だと思っています。下請け業者ではなく、パートナーとして接して下さるのでいい緊張感と責任感を持って仕事をさせて頂いています。



社内・社外問わず、チームとして動けるかどうか。


広告主と広告代理店のパートナーシップについてご意見をお聞かせ下さい。

下川:以前私が広告代理店にいたときは、一部のお客さまではありますが、ほとんど情報がない状態で代理店に丸投げする企業さんがいらっしゃいました。しかもそれが偉い人だったりすると、なかなかその状況を打破できないというか、物申せない雰囲気があり辛い思いをしたことがあります。

現在、広告代理店さんとお付き合いする広告主という立場になって、同じことをしてはいけない、同じことをすると結果的に自分に返ってくると思っています。広告主だから、お金を出しているから偉いとふんぞり返るのではなく、パートナーとして一緒に働いてくれる企業のみなさんが働きやすいように、そして何より結果が出せるように、自分の役割を果たすべきだと思っています。

企業のマーケティング担当者の多くは広告以外の仕事がたくさんあるケースが多いと思います。他に仕事が山積みになっている状況では、自分もある程度内容を理解しながら、外部からご支援いただくのが良いバランスだというのが個人的な意見です。そういった関係性を構築できないパートナーさんとは一緒に仕事ができないですし、何かあったらすぐ言ってもらえる環境をつくるのも私の大事な仕事だと思っています。社内外かかわらずチームとして動ける事が大事ですね。

坂萩:先ほどと同じで、「この人のために頑張ろう」と思える関係性があるかどうかが大事だと思います。あとは、エンドユーザーのために良い広告を出すことができるかどうかが大事だと思います。エンドユーザーの視点を見失わなければ、それは効果として広告主企業へお返しできると思います。選び選ばれじゃないですが、いい商品を世に出すお手伝いをしたいですし、カイザークラフトさんとならそれができると思います。


最後に、今後の展望についてお聞かせ下さい。

下川:2014年の春にサイトのリニューアルが確定しているので、まずはそこに全力を注ぎたいと思います。全面リニューアルはオンラインマーケティング部の第二フェーズの幕開けだと思っています。まだまだカタログ文化の強い会社の中で、日本から本社へ影響を与えることができるまたとないチャンスだと思っています。日本はカイザークラフトのオンライン事業を開拓した国だという認識を全社に与えたい、そう思っています。

リニューアルの後であればもっと積極的なマーケティングができると思いますし、プレシジョンさんや他のパートナーさんとともに、運用型広告をより積極的に活用し、拡大していきたいと思っています。

窪田:今あるサイトは私が入ってきたときには既にあったものですが、リニューアル後は自分たちのサイトなので、何としてでも結果を出したいと思います。

坂萩:今後は今まで以上に分析と改善のフィードバックを強化したいと思っています。活用するメディアも増えていく中で、媒体社やプラットフォーマーとの取り組みの強化やアトリビューション分析の実施、リピートオーダーまで含めたLTVをしっかりと見ていきたいと思っています。

吉成:坂萩と同じですが、加えるなら来年のリニューアルはこのプロジェクトで非常に大事なポイントなので、特にサイト周りは惜しまず協力できればと思います。


本日は貴重なお話、ありがとうございました!



カイザークラフト株式会社(Kaiser Kraft K.K.)
http://www.kaiserkraft.jp


株式会社プレシジョンマーケティング(Precision Marketing, Inc.)
http://precimarke.jp



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