IABも無理があるのは重々承知のうえで、変えるのはいろいろ大変なのでしばらくこれでいこうって感じなのかなと個人的には思っております。
IAB Reports Full-Year Internet Ad Revenues for 2010 Increase 15% to $26 Billion, a New Record
(リンク) (PDF)
リリース自体は、インターネット広告費が前年(2009年)対比約15%増の約260億ドルで過去最高、かつ新聞広告費を上回って媒体別でも2位に躍り出たというとてもハッピーな内容です。発表されたのは2011年4月13日で、しめしあわせたように ad:tech san francisco の最終日ということもあって、きっと速報が出たときの会場は盛り上がったのではないかと想像します。
ただ、言いたいのはそこではなくて、その内訳についてです。
Display-related が好調だとか、Search は伸びたけどトータルでの割合は初めて減ったとか、レポートのトーン&マナーが昨年までみたいにセピアっぽいのから最近急に赤々しくなって少々ガッカリといったことを申し上げたいわけではなく、それぞれ、Search って何なの、Display って何なのという、数字の根拠となる定義が、ここ6−7年ぜんぜん更新されてないのが気持ちわるいなーということを申し上げたいのです。
Definitions of Advertising Formats(広告フォーマットの定義)
-Display Advertising
-Sponsorship
-Search
-Lead generation
-Classifieds and auctions
-Rich media
-Digital Video Commercials
-Mobile Advertising
たとえば、今回の「2010 Full Year Results」と、6年前にあたる「2004 Full-Year Results」それぞれにある、「Search」の定義を比べてみると以下のようになります。
2004年の【Search】の定義
2010年の【Search】の定義
テキストにして違いを赤字にすると...
Search
Fees advertisers pay Internet companies to list and/or link their company site domain name to a specific search word or phrase (includes paid search revenues). Search categories include:
• Paid listings—text links appear at the top or side of search results for specific keywords. The more a marketer pays, the higher the position it gets. Marketers only pay when a user clicks on the text link.
• Contextual search—text links appear in an article based on the context of the content, instead of a usersubmitted keyword. Payment only occurs when the link is clicked.
• Paid inclusion—guarantees that a marketer’s URL is indexed by a search engine. The listing is determined by the engine's search algorithms.
• Site optimization—modifies a site to make it easier for search engines to automatically index the site and hopefully result in better placement in results.
なんと、2004年の「on-line」が「Internet」に変わっただけでした!
もちろん、この6-7年、Search の本質は変わってない、と言うこともできるかもしれませんが、さすがに定義の更新がないのはどうかなと思います。
なぜなら、上記のPaid inclusion などは、Google が3分の2のシェアを持っていて、かつ2位(15%)のYahoo!が2009年末でPIのサービスを終了している米国という市場で、いったいどれくらい考慮しなければいけない分野なのか、正直理解に苦しみますし、Contextual search についても、AdWords for Content (コンテンツターゲット)が世に出てまだそれほど経っていない2004年時点であれば、まあ検索に含めるのも仕方ないかなという感じの定義ですが、2010年の市場規模で考えたときに、コンテンツターゲットもひっくるめて全部これ Search ですというのはさすがに厳しいと思います。
例えばAdWords でリマーケティングを使ったキャンペーンでクリエイティブにテキストとバナーとフラッシュとビデオをまとめて設定した広告グループで発生した費用はいったいどれに当たるのか?という質問に、この定義では答えられません。少々悪ノリしてかぶせると、レポートの冒頭のサマリーで「digital video and social media, has certainly helped to fuel the continued growth.(動画とソーシャルは持続的な成長に寄与した)」とPwCのDavid Silverman氏がコメントしているにも関わらず、それを裏付ける記述も定義も特にありません。facebook のスポンサー記事広告とかは、どれに当てはまるのでしょうか。
そもそも最大のプレイヤーであり指標であるGoogle が、一つのプラットフォームで過去にIABが定義した広告フォーマットの定義をかんたんに越境したり組み合わせたりしてしまっているうえ、広告の売上内訳を「Google Network」と「 Members' websites」という定義でしか明確には公開していない以上、この長く更新していないIABの指標の範囲内で語れることが極めて限定的なのは残念ながら仕方がないことなのだと思います。「検索単体はそろそろ飽和が近づいていて、ディスプレイがプレイヤー再編で盛り上がりつつ、世の中的にはソーシャルな感じ?」ぐらいしか言えない。
こういったレポートは定点観測が大事なので、一度決めた指標をコロコロ変えるのは好まれません。新しいものを加えるのは比較的たやすいけど、既存の決めごとを組み直すのはとても骨の折れる作業だし、過去のレポートの時系列的な価値が下がってしまうから、なかなか踏み込めないのも仕方がないのかもしれません。
それでも、なんか気持ち悪いので、どこかで更新してほしいなとは思っています。
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