2012年10月4日木曜日

ネット系広告代理店、一年目の教訓




成長産業とキャリア 

成長産業には、多くのスタートアップ生まれます。リスクマネーが流れ込み、新しい技術や文化が生まれ、脚光を浴びる個人が増えます。


先日書いた「デジタル産業は、あなたを募集しています。」の中にも言及しましたが、インターネットが生活・ビジネスに浸透したことによって、大企業/個人それぞれに雇用が生まれ、経済全体にも大きなインパクトを与えています。

マーケティングやテクノロジーの分野においても、例えばアメリカのネットメディアだけでもビジネスサイド・テックサイド合わせて10万人以上の雇用が発生していますし、アドテクノロジーへの注目によって日本でも多くのスタートアップが社員を募集しています。広告代理店はデジタルへ大幅に舵を切るために専門職の人材不足が世界的に深刻化していますし、個人や数人のスタートアップも年々増えています。

変化が多く、かつ伸びている業界では、多くの "新しい仕事" に出会います。売上が増え、お客さまが増え、仲間が増えることによって、これまではなかった仕事が生まれ、それを実務を通じて学ぶ機会に巡り会います。プランド・ハプンスタンス理論を索くまでもなく、その出会いをどのように捉えられるかが、個人のキャリアにとって重要であることは間違いありません。


あるデジタル広告マンの独白:

オレゴン州ポートランドにあるSEM系代理店の Anvil Media に勤めるジェフ·フォード氏は、自身の入社1年目の経験をもとに、Search Engine Journal に寄稿しました。大学を卒業して最初に代理店に入社した際のエピソードが元になって書かれているようです。


Lessons from My First Year at a Digital Agency | Search Engine Journal
(デジタル系代理店に入社した、私の一年目で得た教訓)


記事の冒頭には、このように書いてあります。

Today I want to share with you some of the key lessons I have learned while working with some of the brightest minds in search over the past year. It is my intention to reveal some hardships and attempt to make a few good points to both seasoned marketers and rookies alike. I am going to present a few general themes and dive in to specific examples of how I discovered their importance.

今日は、私がSEM系代理店に入社した初年度に学んだ重要ないくつかの教訓をみなさんと共有したいと思います。これは、起こりうる困難を明らかにし、併せてベテランマーケターと新人マーケター双方にとっての学びを作りたいという目的で書いています。私がこれから述べるテーマの重要性をどのように発見するに至ったのか、いくつかの事例をもとにお伝えしたいと思います。

以下、かんたんですが抄訳してみます。


Communication(コミュニケーション)
コミュニケーションが大事だっていうのは今さら言うまでもないかもしれませんが、私にとっては、私がそれまで想像していたよりもずっと、コミュニケーションというのは複雑なものでした。コミュニケーションが複雑だという第一の理由は、それが人が行なっていることだからです。我々は、定期的に、同僚と、上司と、クライアントと、ベンダーと、公共の場で、自分の会社の代表として相手と接する必要があります。

同僚との会話を通じて、最初にコミュニケーションの大切さを学びました。プロジェクトを与えられ、それを完遂するために何をすべきか、自分なりに解釈することはかんたんです。ただし、プロジェクトが会社の誰かから与えられたということは、そのプロジェクトはほとんどの場合、 "会社の誰か" からでなく、クライアントから発注されたものであると認識することが重要です。併せて、多くの代理店では、電話などでやり取りが進むため、受け手は伝えられたメッセージを解釈し、メッセージの本来の意図に沿うようにアウトプットする責任が発生します。

すべてのクライアントは異なりますし、すべてのクライアントは異なる期待値を持っています。それを把握することが、クライアントとの信頼関係を構築する上で重要であると個人的に感じています。これがコミュニケーションは非常に重要である理由と言っても過言ではありません。あなたが自分の仕事に対して正直でいたいのであれば、クライアントにも正直でいましょう。SEMに従事する人であれば、検索の順位を上げるために正直でない方法を採用したことで、クライアントに取り返しのつかない損害を与えてしまった例を知っていると思います。

コミュニケーション能力はあなたがプロのビジネスマンとして生きていくための基礎になるはずです。

Attention to Detail(細部に注意する)
時間の無駄遣いが好きな人はいないと思います。デジタルマーケティングの従事者が細部に注意を払わないということは、それはすなわち時間の無駄遣いに繋がります。送信前に書式設定や誤字脱字のチェックをしないなんて!

細部に注意することは、コミュニケーションの問題と密接に関係します。日々の意思決定について充分な知識を持っているということは、簡潔に物事を伝えることができるということです。書類の誤字脱字や文法をチェックするには書類に2度も3度も繰り返し目を通さねばなりませんが、内容はより一層理解できます。リスティング広告の広告文を変更するときは、変更のポイントを文書化し、前後比較することで、コピーライティングの知見がたまるはずですよね。

変更履歴を付けたり、変化をトラッキングし、絶えず戦術を試し見直し続けることは、最終的によい結果をもたらすでしょう。こういった地道な努力は、かんたんにスキップできるからこそ、そうでない場合との差が広がります。

Be Proactive (積極的であれ)
デジタルマーケティングの世界に足を踏み入れた時、私はこれを学ぶためにこの世界に入ったのだと強く思いました。チャンスというものは、積極的な行動やアイデアの共有を通じて生まれるものであると、それまでは知らなかったのです。広告代理店の世界では、いわゆる良いアイデアはあらゆるところからやってきます。私たちにはみな職種と業務上の規範があり、規制にがんじがらめにされていると感じるのは容易です。でも、あなたの職務に直接関係のないアイデアを聞いて、幻滅する人などいません。アイデアというものは、実行されて実際にヒットするまで、それが良いアイデアかどうかなんて分からないのだから。自分が変われば、周りが変わります。

こういったエピソードは既に知っているよとあなたは言うかもしれません。ただ、知っていても意味がありません。定期的に思い出して習慣化することが大事なのです。


ネット系広告代理店でのキャリアとは
デジタルマーケティングはどんどん複雑化しています。機能別に組織してもその分野だけ知っていればOKというほど単純な世界ではありません。

SEOを例に挙げても、施策の基礎知識、検索エンジンの知識、HTMLやJavaScriptの知識、サーバーサイドの知識、調査と検証の能力、ウェブサイトのリンク構造整理やキーワードの抽出能力、顧客業界知識、コンテンツ制作能力、提案力、白黒判別能力など、数えればキリがありません。

また、ネット広告やソーシャル対応など、多くの企業はオペレーションを切り出して外部化しコストを圧縮していますが、オペレーションからプランニングへのフィードバックを行う現場こそが競争力の源泉になる分野だという事実は、現場にいないとなかなかイメージできないのも事実です。

その企業のフェーズにもよりますが、デジタルに特化した広告代理店では、営業から運用、分析から提案までを一人でこなす機会に恵まれることが多いです。そういった機会を通じてこそ、"このプロジェクトは会社の誰かから与えられたものではなく、発注してお金を払っているクライアントがいる" ということを観念的ではなく身体的に感じることができます。

そう考えると、ジェフ·フォード氏が伝えたかったことは、広告代理店に限らず、仕事をしていく上で至極まっとうな教訓なのかもしれませんね。



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