2013年3月14日木曜日

異業種出身だからこそ、気づくことがある − フリークアウト 時吉啓司氏 #State-of-AdOps Vol.2


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

第2回は、国産DSPの先駆けであり、海外進出も果たすなど爆速でその成長スピードを高めているフリークアウト社でアカウント・マネジメントを担当されている 時吉啓司(ときよし けいじ)さんに、運用広告の現在をお伺いしました。


# インタビューは 2013年3月某日に行われました。


老舗メーカーから、スタートアップへ。


現在のお仕事内容と、どういった経緯で今の職種に就かれているのでしょうか?

現在はフリークアウトでダイレクトセールスの局長をしています。ダイレクトセールスは広告主様と直接お仕事をさせていただく部門でして、セールスと名はついていますが、プランニング、レポーティング、分析、運用など、いわゆるアカウント・マネジメント的なチームメンバーのトレーダーと協力しながら実行しています。分析から提案の部分に関しては特に力を入れていますね。

フリークアウトへは、約1年半前にCOOの佐藤に誘われて入りました。まだフリークアウトが発足したばかりの頃で、私は5人目の社員です。前職は老舗のアパレルメーカーに新卒で入社し、店舗管理等を担当していました。もともと学生時代からマーケティングには興味があり、企業のマーケティングがやりたくてメーカーに就職したのですが、まずは現場からということで6年ほど百貨店さん向けの店舗管理を経験しました。店舗管理は面白く非常に勉強になったのですが、ウェブマーケティングへの異動希望はずっと出していて、念願かなってウェブマーケティング部への異動の内示が出たという絶妙のタイミングで佐藤から声がかかり、悩んだ末に転職を決意しました。



広告運用そのものがR&Dの起点


フリークアウトの広告運用への取り組みの特徴についてお聞かせ下さい。

デザイナーも含めてですが、社員の約3分の1が広告運用に関わる部門に所属しています。フリークアウトのDSPの運用だけでなく、アドワーズ広告やYahoo!プロモーション広告などを請け負ったり、Google Analytics などのアクセス解析を行うこともあります。

姿勢としては、お客さまのコミュニケーション上の課題解決になることは何でもやろうという感じですね。そのお客さまに必要なソリューションを第一に提案できるようにしていきたいと考えています。DSPだけで解決できないものであればリスティング広告などの他の手法も提案しますし、どのような体制がいいかは企業によって様々なので、とにかくお客さまがやりやすい状況を作っていくことが最優先です。その結果として、運用部門に力を入れていると言ってもいいかもしれません。

私の部門であるダイレクトセールスは、お客さまに最も近く、率直なお声と多くのフィードバックを受けられる場所でもあります。新機能が出た際にはいち早く試して頂いたり、具体的な改善要望やご評価を直接お聞きできます。それによって、エンジニアにフィードバックしたり、発見できた運用ノウハウや必要な機能などを製品やサービスに活かすことができます。

ダイレクトセールスがお客さまと直接の取り組みをしていくことによって、製品力や運用力を上げていき、直接のクライアントだけでなく提供先の広告代理店様、その先にいる多くのお客さまへ価値をご提供することができます。こういった正のサイクルをつくる役割を担っていくのが、弊社の運用体制の特徴かもしれません。

我々にとっては、広告運用そのものがR&Dの起点だと言えますね。ここからスタートしたサービスメニューや機能はたくさんあります。



広告運用をしていく上で、課題や難しさを感じることはありますか?

運用型広告は、やろうと思えばどこまでも追求できます。時間帯別、クリエイティブ別、媒体別、それらをクロス集計したりなど、細かく見ていけばキリがありません。プランニングにしろレポーティングにしろ、粒度を細かくすればするほどカタマリごとの分母は減っていくので仮説の有意性が下がりますし、当然工数もかかります。仮説を持ちながら常にやっていますが、どういうバランスで設定するのか、常に悩んでいますね。

例えばですが、ファーストパーティデータを利用したリターゲティングを行うときに、そのセグメントを過去1カ月以内に3回以上の訪問と3回未満の訪問で分けるとします。そのセグメントごとにさらにリファラーでリンク元のメディアごとに分けたり、回遊率や直帰率ごとにセグメントするなどと考えていくと、とにかく山のように仮説が作れます。

セグメントを増やしすぎることによる技術的な弊害もあって、RTBだとビッドリクエストに対して規定の時間内にレスポンスしなければならないので、1アカウントあたりで参照できるセグメントの量にはどうしても限界があります。各セグメントにどのように優先順位をつけるのかは、期待される効果、そのためにかかる工数、技術的な仕様、すべてを理解していないとできません。

あとは、先ほどアカウント・マネジメントがR&Dの起点だと言いましたが、設計のバランスと同時に、その仮説や分析結果が横展開ができるポイントはどこかを常に考えるのも大事なポイントです。ものすごく細かいレベルで分析することができても、それが他のお客さまや代理店さんにもフィードバックできるような普遍性がなければ、細かい分析にかけたその時間価値は必ずしも高いとは言えません。ある程度普遍的な分析ポイントや最適化ポイントを見つけ出すのも、この仕事ならではの難しさを感じますね。もちろん、面白いポイントでもあるのですが。



データ分析していく中で、新たな気づきがあった、みたいな実例はありますか?

気づきというか、普段から思っていることなのですが、クリック以外の指標を積極的に打ち出せないかなと考えています。CTRばかり見ていくと、究極的には目立ちやすい/面白いクリエイティブのCTRが高くなりやすいので、どうしてもインパクト重視の視点になりがちです。面白いクリエイティブに反応したユーザーがその企業にとっていいお客さんになるとは限らないので、CTR以外の指標に目を向けるようにしていきたいですね。

例えばあるお客さまでは、Google Analytics のデータをマージして、コンバージョンタイプごとに滞留時間や回遊率などを分析してレポートを出したりしています。仮説のロジック別やオーディエンスデータ別に出したりなど、分析するのは大変ですが本来はいろいろあるはずなんですよね。試すたびに、新たな気づきが常にあるといっても過言ではありません。

運用といっても、ビッドに多く時間をかけているわけではなく、仮説立てや分析のための設計や、出てきた結果を分析しレポートに落とすまでの方がはるかに時間がかかります。設計や分析がしっかりしていないと運用は成り立ちませんので、分析で得られる気づきこそが運用の根幹だという気がします。



純粋に、おもしろいですよね。


時吉さんはDSPの業務を始められて1年半ですが、どのように知識や技術を身につけてこられたのでしょうか?

最初はそれこそ右も左も分からない状態だったので、必死にたくさんの本を読みました。一方で、本はたくさんあるので表面的な知識を得るのは比較的難しくないものの、大事なのは、あくまで基本を尊重した上で、旧来の考え方にとらわれないことだと思います。

私はもともとメーカーにいたので、広告主側の気持ちはある程度分かります。サービス提供側だけでなく、自分が以前にいたメーカーの立場に立ってみると、何でこのレポートが必要なんだろう?とか、どうしてこういう手順になるのかといった、本を読んだだけではピンとこなかったことが、体感として分かるようになる瞬間があります。

正直言って、これまでの広告業界やウェブの発展を考えていくと、欲張ってぜんぶ網羅しようとしても学ぶ範囲が多すぎて絶対に追いつけません。私はあとから入ってきた人間なので、これまで所属してきた場所での経験や、実際にフリークアウトで業務を行なっていく中で、「どうしてこうなっているんだろう?」「これはどうすればいいのか?」といった疑問や好奇心を持ったところから拡げていくようにしています。

それはこれまでこの業界を支えてきた方々の学びのプロセスとはもしかしたらずいぶんと違うのかもしれないですが、最低限の基礎は身につけた上で、自分なりに突破する方法を考えていきました。お客さまのことを考えて動けば、おのずと学ぶべきところが分かるというか、そこは別にアドテクノロジーがどうとか関係なく、シンプルに営業としての価値が問われていくのだと思います。

あとは、純粋におもしろいですよね。この分野って。
こんなにいろんなことができて、結果が見える仕事ってなかなかないですよ。普通は複数のデータをつなげて分析してって言われたら面倒くさがる方が多いと思いますが、私はそのデータのおかげで言えること、気づけることが増えるのでむしろ歓迎です。好きこそものの上手なれじゃないですけど、好きだったら覚えると思います。



運用型広告という分野が今後どういう発展を遂げると思いますか?もしくは、どうなってほしいと思いますか?

広告に限らずですが、データや実績を細かく丁寧に見ていく文化ができてくるといいなと思っています。例えば、レポートは結果しか出さない、結果しか見ないってケースは多いと思いますが、データって、本来は視点を変えればいろんな発見があって、いろんな軸で分析することによって仮説や施策はたくさん出てくるはずです。それは我々や広告代理店さんのようなサービス提供者だけで完結するものではなく、お客さま自身も踏み込んできて頂くことで変わっていくはずです。

分析とか設計とか、大変な部分は私たちがやるので、お互いに意見を出し合って一緒に成果を出していけるような、そういう発展の仕方がお互いにできればなと思っています。


そのような発展のためには、何が必要だと思いますか?

何か一つが足りないということではなく、いろいろあると思いますが、まず第一に我々のようなサービス提供側にもっと努力が必要だと思います。複雑な分野なので分かりやすく伝えていくことや、具体的な事例を出していくことなど、細やかな配慮をもっとしていくべきだと思っています。一足飛びには変わらないと思いますが、そういった努力の積み重ねで少しずつ変えていきたいなと。

あとは、矛盾するようですが、分かりやすく伝えていかなければいけない反面、複雑さを受け入れることも大事だと思います。マーケティング・チャネルは複雑化しているので、オンラインだけでなくオフラインやその他の要因を考慮して、因果関係を理解するように努めることです。これは我々だけでなくお客さまと一緒につくっていくムードだと思いますが、出てきた結果だけで判断せず、因果関係と仮説を検討しあえるような関係づくりが必要だと思います。

出てきた結果だけで判断するのは楽なので、どうしてもレポートの数値だけで判断してしまいがちなのですが、数字とか因果関係とかを検証するのを嫌がらずに、一緒に向き合っていきたいですね。



これだけは言っておきたい!みたいなことがあれば教えて下さい

この業界に、異業種の人がもっと入ってきたらいいと思っています。それこそ、メーカーの人が来たら、きっと面白いと感じるんじゃないかと思うんですよね。新しいサービスや仕組みが続々と生まれている分野なので、新鮮な考え方を持ち込んでくる新しい人がどんどん参入してきたらきっと面白いことになるんじゃないかと思います。

例えば、これは私がメーカー出身なのでそう考えてしまうんですが、OOHや雑誌などをディスプレイ広告とすると、検索連動型広告って店頭のPOPのようなものだと思っています。私がメーカーで店舗管理をしていた頃は、店頭のPOPではなく、外にバーンと看板を出すとか、百貨店のディスプレイに商品を使ってもらうといったことを一番重要視していましたが、ウェブの業界にくると、看板とPOPの比重が逆転している。POPはもちろん重要なんですが、これだけ違いがあるのも不思議だなって思うんです。

異業種出身だから気づけることは、いろいろあると思います。ちなみにフリークアウトは異業種からの転職がとても多い会社です。↓絶賛募集中なのでご応募お待ちしております(笑)!


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