2013年4月17日水曜日

仕組みを理解すれば、データの罠に騙されない − オムニバス 矢野哲快氏 #State-of-AdOps Vol.4


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

第4回は、アドテクノロジーの分野で最も勢いがあるベンチャー企業のひとつであり、ビデオDSPのTubeMogul社との提携など先進的な取り組みを続けている株式会社オムニバスでアカウントストラテジストとして活躍されている矢野哲快(やの てつよし)さんに、運用広告の現在についてお伺いしました。



# インタビューは 2013年3月某日に行われました。


サッカーでいえば、リベロ的な立ち位置だと思います。


現在のお仕事内容と、どういった経緯で今の職種に就かれているのでしょうか?

現在はオムニバスでアカウントストラテジストをしています。アカウントストラテジストは、運用型広告の実施はもちろん、アクセス解析、アトリビューション分析含め、デジタル領域を中心に得られるすべてのデータを基に、クライアントのマーケティング課題の解決策を提案する仕事です。

オムニバスには、総合広告会社でストラテジックプランナーとアカウントプランナー、ネット専業代理店の営業を経て1年前の2012年に入社しました。アドテクノロジーの未来と、オムニバスの先進性に面白さを感じて入社を決めました。


オムニバスのアカウントストラテジストの特徴について教えてください。

アカウントストラテジストは、セールス(営業)に属しています。社内には営業に強い、分析に強いなど、様々な個性を持つメンバーが揃っていますが、私は全てが守備範囲なので、自分がフロントとしてクライアントを担当しますし、他の営業メンバーのプロジェクトもサポートします。サッカーで言えばリベロ的な立ち位置です。

会社としては、トレーディングデスクやネットワークを運用する媒体機能だけではなく、広告配信を実施する前に、広告配信を効果的にするための仕掛けや土台をつくる機能も提供しています。

例えば、アクセス解析が専門の企業さんは多くいらっしゃいますが、広告とアクセス解析を繋げて分析した上で提案できる会社は非常に少ないです。クライアントのサイトの状態を見て、広告をやるべきなのか、サイトの設計を変えるべきなのか、それ以外の施策をやるべきなのかなど、必ずしも広告だけに常に解を求めるのではなく、しっかりパフォーマンスが出るような、クライアントにとって最善の提案をするように心がけています。

もちろん実際にはいきなりアクセス解析のデータを見せて下さいとお願いしてもなかなか難しいので、例えばリターゲティングの実施や再設計を提案してパフォーマンスの上昇を実感して頂き、信用していただいた上でさらに効果を上げるためにアクセス解析のレポートをお預かりして分析する、という流れをとったりします。ディスプレイ広告に限らず、アクセス解析から考えられる流入施策の全体的な改善を提案することもあります。

ちなみに、アカウントストラテジストという職種の社員は私の上司を含めて2名のみなのですが、他のメンバーもみな専門性が高い仕事をしておりますので、職種に関わらず全社的に戦略的な提案をすることがオムニバスの姿勢として定着しています。


現在のお仕事の面白さ感じるのはどんな時でしょうか?

これは運用型広告に携わっている人はみなそうだと思うのですが、出てきたデータに対して「きっとこうなんじゃないか」という仮説を立て、実行した解決策が当たったときですね。同じように、効果が悪くなった際にデータを深く分析してその原因を発見できた時などもそうです。小さな幸せなんですけど、これに喜びを感じられないと、この仕事はつまらないかもしれません。

以前担当していたクライアントは、当初は自社運用をされていたのですが、「私に任せて下さい」とお願いしてアカウント構築から運用までを一任してもらったところ、最終的にクライアントの売上が5倍になり、任せて頂ける広告予算を3倍にしていただくことができました。

この仕事は小さな発見と改善の繰り返しがすべてです。それが結果的にクライアントの成果につながっていき、売上が上がり、評価される。面白さはそれに尽きますね。


一方で、リスティング広告をはじめとした運用型広告の現場は非常に大変で、離職率も高い職種だと言われています。

そうですね。広告の運用業務は軽視されがちですし、残念ながら面白さを知る前に辞めてしまう人も多いです。

リスティング広告のような運用型の広告は、管理画面に入らないと何が起きているのか分からないですよね。リスティング広告は何万社も利用しているプラットフォームですから、本当はそのデータの見方さえ理解できれば誰でもできるはずです。でも実際はそうなっていない。

なんでできないんだろうと考えると、いろいろなボトルネックが見えてきます。例えば、広告代理店の中で、アカウントのキャンペーンや広告グループのネーミングルールが個人によって違うという問題。各プラットフォームの基本的なルールは分かっていても、ネーミングやキャンペーンの構造がバラバラなので、どれが何を指しているのか分からない。分かったとしても探すのに時間がかかるといったような問題です。

他には、スキルの習熟についての問題も挙げられます。運用を行う人は非エンジニアで若い人が多いので、それまでエクセル等のトレーニングを積む機会がないケースが多く、データ集計ひとつとっても時間がかかったり、非効率な方法でガッツだけで突き進んでいるようなケースを見受けることがあります。地味ですが、悪いスパイラルを起こしやすい大きな問題だと思っています。

個人的な意見ですが、そういったボトルネックを解消するひとつの方法として、"師弟関係"が大事なんじゃないかと考えています。




矢野君、想像でモノ言ったらダメよ。てか嘘ついてるやん。


意外なワードが出ました。職人の世界のような言葉ですが、詳しく聞かせて下さい。

少し個人的なエピソードになりますが、私は総合代理店から前職のネット専業代理店へは、「ネット広告云々ではなくインターネットを活用してどうマーケティングするか」に挑戦したいという理由で転職しました。

ところが、実際には純広のメディプランをエクセルで作成して、CPCやCPAをシミュレーションする毎日で、「これは想像していたのと違う」と感じていました。正直「失敗した」とも思いました。

そんな悶々とした毎日を変えるきっかけになったのが、リスティング広告運用を通して行われた先輩とのやりとりです。とあるクライアントのアカウントを運用していたのですが、そのアカウントはブランドワードのキャンペーンの日予算にキャップ(実際のキャパシティより低い設定)をかけて運用していました。

日予算にキャップをかけるとクリック率によって毎日インプレッションが変動しますが、私はそんなこと知らなくて、前日よりインプレッションが増えていたので「世の中で話題になったからかな」などと想像しながら延々ネットサーフィンして原因を探りました。もちろん原因が見つかるわけがありません。

クライアントには「原因が何か特定できないですが、おそらく外部要因ですね」などと報告していました。報告内容を先輩に伝えると、当然怒られました。同時に検索ボリュームとインプレッション、クリック率と日予算の関係を教えてもらいました。そして言われました。「矢野君、想像でモノ言ったらダメよ。てか嘘ついてるやん。」

その日を境に、リスティング広告の研究が始まりました。立てた仮説に対して施策を実行して、同じ効率のままコンバージョン数が2倍になった時は痺れました。この頃にGoogleのリマーケティングがリリースされて、オーディエンスターゲティングが本格的にスタートするのですが、もう完全にハマりました。管理画面を見るのが楽しくて仕方なかったです。視界が拓けるような思いでした。

あの時、先輩が気付きを与えてくれなかったら、その後も事あるごとに付き合ってくれて意見をぶつけてくれなかったらと思うとゾッとします。師弟関係というとちょっと大袈裟なのかもしれませんが、そういういい師に巡り合えること、師が弟子に寄り添って面倒をしっかり見てあげることが大事だと考えています。



「データの罠」に騙されないように。


現在の運用型広告の現場で起きている課題は何だと思いますか?

先述の先輩には「データをちゃんと読め。嘘つかないから。」とも言われました。しかし、読む人によって、解釈の仕方によって、データは嘘をつくことがあります。これだけデータが氾濫している時代になると、データが持つ罠に騙されているケースが意外と多いんじゃないかと個人的には考えています。

代表的な例が、「ビュースルーサーチ」です。リスティング広告の場合、このバナーを見た人がこの検索をしたというのを計測する際にはそれぞれのキーワードや広告グループに対してデータを紐付けますが、キーワードのマッチタイプが部分一致のみの場合、実際の検索クエリが紐付けたキーワードで表示されているかどうかの保証はないので、ミスリードが起こることがあります。登録ワードはAなんだけど、クエリはCですといったようなケースは往々にしてよくあります。

具体的に言うと、バナーを見たユーザーがAというクエリで検索することを想定してアカウントには同じAというキーワードを設定するのですが、マッチタイプやアカウント構成、入札などの設定によって他の広告グループの別のキーワードがクエリAに対してトリガーになってしまい、バナーの効果分析をしたときにクエリが増えていないといった評価になってしまう(本当は増えているのに)というようなケースです。事実と分析結果が違ってしまうので、適切な判断ができなくなります。

弊社はディスプレイ広告のお仕事が多いので、例えばアトリビューション分析をする前提でディスプレイの設計をしましょうといった提案の場合、既にリスティング広告を運用されている他の企業さんにご協力をお願いするケースが多いのですが、ビュースルーサーチを分析するためにIDの紐付けをお願いしようとアカウントの内部を拝見すると、正直「これでは適切な分析ができないな」というカオスな構成になっていることが時折あります。

ですので、アトリビューションの提案なのに結果としてリスティング広告の改善提案をしてしまったこともありますね(笑)。優れたテクノロジーやアイデアは分析の土台がちゃんと設計されていないと絵に描いた餅になってしまいPDCAを回せないので、現場ではそうならないように気をつけています。


仰るとおりアトリビューションマネジメントではリスティング広告の改善に落ち着くケースが多いですね。

他にも、リターゲティング広告の設計やアクセス解析についても「データの罠」的な事例はあります。

例えばアクセス解析の話で言いますと、ブランドサイトとECサイトのドメインが違っていてブランドサイトがオーガニックで1位の検索順位だったとしたときに、クロスドメインの設定をしていなかったがために、ディスプレイのビュースルーサーチを測るとブランドサイトからの流入ばかりが増えたことになっていて、検索が考慮されていない、なんていうケースです。本当は外部の施策によって検索が増え、1位のブランドサイトへのオーガニック流入が増えた結果ECサイトのトラフィックが増えたのにも関わらず、それが外部施策の効果としてクレジットされないといった落とし穴ですね。



頭の中で設計図を描くようにしています。


そういった「データの罠」を回避するために心がけていることはありますか?

とにかく「仕組みを理解することが第一」だと思っています。利用するシステムやプラットフォームの仕組みを理解して、分析の土台づくりやアカウントの構成を整理することですね。

分析の土台づくりでは、頭の中で設計図を描くことを心がけています。これは以前に勤めていた総合広告代理店でのイベント・プロモーションをやっていたときの考え方が非常に役立っていまして、イベントの会場設営では「この配置だと渋滞が起きてしまう」「ここにトイレがないとダメだ」といった、会場全体を俯瞰して動線をイメージすることが大事なのですが、デジタルマーケティングでもこの考え方を応用して設計するようにしています。

つまり、アクセス解析であれば「このサイトであればユーザーはおそらくこう動くはずだけど、データ上ではこう表れてくるはず」とか、リスティング広告であれば「このニーズに対するキーワード群はこれだから、広告グループはこのレベルで分割しなきゃいけない」といったイメージをして、それに沿って設計するということです。新しいキャンペーンでも、実際のレポーティングや運用をイメージして、PDCAの「Check」と「Action」がスムーズに行える設計を心がけています。


なるほど。その他で、広告運用をする上で心がけていることはありますか?

運用と報告を連動させることも意識していることのひとつです。先ほどの「分析の土台づくり」とつながってくるのですが、しっかりとした土台が作れているということは、データの並びも分析軸ごとに揃っているということですので、あとはダウンロードして貼り付けるだけでレポートが完成します。

設計がしっかりしていれば集計のコストが減りますし人が見てすぐ分かる状態になっていますので、その後の分析や判断の速度・質を上げることができます。細かいところですが、ネーミングルールなども揃えておくことは必須ですね。運用はレポートは毎日のことですので。

あと、ご質問の意図と逸れますが、運用型広告は運用に落とし込めてこそ運用型なので、このあたりの機微は提案書では差別化できないと思うんですよね。提案書には基本的にいいことばかり書いてありますので、それが実際にできるのかを判断するようなコンペがあっても面白いんじゃないかと思っています。実際のデータが入ったダミーアカウントに対して、よーいドンで3時間以内に一番いい最適化案を出した会社を選定するとか。


部分最適が全体最適につながっていく。


運用型広告の今後についてはどのようにお考えでしょうか?

横断的にチャネルを分析して統合的なマーケティングをしようというのが最近の潮流ですが、一方で、リスティング広告はリスティング担当の代理店がリスティング広告として最適化されるよう設計していて、ディスプレイ広告はディスプレイ担当の代理店がディスプレイ広告として最適化していて、横串で分析しようにもなかなかできない状態になっていることが多いです。

ですので、すべての施策をワンストップで提供しようという流れが、規模に関わらず強くなっていくんじゃないかと考えていますし、そうなっていくべきだと思っています。

「部分最適」という言葉はネガティブな意味で使われることが多いですが、私は部分最適を突き詰めていけば「全体最適」につながっていくんじゃないかと考えています。個別最適から遡及的に全体へ影響していくというか、そんなイメージです。

今の「全体最適」の提案は、それぞれの部分に落ちていくと実行している人がそれぞれ別々で、実はトラッキングコードくらいしか連携していないってことが多いです。それだと全体最適は単なる理想であって、現実とは言えない。ぜんぶ一人でやるというのは現実的ではないかもしれませんが、横断的に見ようとすれば、限りなく実行者を一人に近づけていくのがいいんじゃないかと思っていますし、そういった人材が輩出されていかないといけないと思っています。


そのために、オムニバスの矢野としてやることは何ですか?

2つあると思っています。ひとつは先進的なもの。新しいものはこれからもどんどん取り入れていくこと。オムニバスもビデオDSPのTubeMogulと提携するなど、その動きを加速させるプレイヤーのひとつになれると思います。

もうひとつが、当たり前のことをちゃんとできるような体制づくり。これも同時に進めていきたいです。新しいものを導入したらしっぱなしでは意味がないので、現場が実行して検証して分析して…といったサイクルをしっかり回せるよう、ボトムアップで経験とノウハウを積み上げていくことが運用広告については特に大事だと思っています。新しいことと当たり前のこと、この両輪をしっかり意識して仕事をしていきます。

最後に、個人的にはアドテクの現場系飲み会をやりたいと思っています。普段はどうしても忙しくてモニターの前にかじりついているようなことも多いと思うのですが、変化が激しいタイミングで、最先端でそこに触れているはずの我々からボトムアップで業界を盛り上げていければと思いますので、ぜひそういった交流の場を作りたいと思います。ピンと来た方は、お気軽にメッセージ下さい!


株式会社オムニバス
http://e-omnibus.co.jp/




2013年4月10日水曜日

可視化されてないものを探り当てるのが僕らの仕事 − Fringe81 渡辺康太郎氏・長谷川充氏 #State-of-AdOps Vol.3


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

第3回は、第三者配信アドサーバの「digitalice」やタグマネジメントツール「TagKnight」などを中心に、アドテクノロジーの分野で革新的なリリースを続けている企業であるFringe81のデジタルコンサルティング事業部で活躍されている渡辺康太郎さん・長谷川充さんのお二人に、運用広告の現在についてお伺いしました。



# インタビューは 2013年3月某日に行われました。


「大航海時代なので一緒に船に乗らないか」


渡辺さん、長谷川さん、それぞれの現在のお仕事内容と、今の職種に就かれることになった経緯を教えていただけますか?

(渡辺)現在はFringe81のデジタルコンサルティング事業部でチーフストラテジストとして、組織の品質管理・チームマネジメントや教育に携わっています。Fringe81へは2006年、現在の会社の前身である「RSS広告社」時代に入社しました。入社のきっかけは、社長の田中に「これから大航海時代が来る。一緒に船に乗らないか?」という熱いキラーフレーズで口説かれて、そのまま勢いで、コールセンターのセンター長からネットの海に飛び込むように転職しました(笑)。気付けば早いものでもう7年経っていますね。

これまでは、現在も主幹事業であるRSSのアドネットワーク「Trend Match」や、クリエイティブオプティマイゼーションの「iogous」 の立ち上げを行なってきました。「Trend Match」については事業部長を務めていた時期もありましたが、考え抜いて作ったメニューがパートナー企業の方々に支持されて自社の収益の柱に成長させることができたのは私の誇りです。


(長谷川)私は、渡辺と同じくデジタルコンサルティング事業部でストラテジストをしています。2012年度に新卒としてFringe81へ入社しました。就職活動で面談を重ねていくにしたがって、社員の魅力というか、この人たちと一緒に事業を大きくしていきたいという思いが強くなっていったことが入社の直接的な動機です。

当初は特にインターネットや広告を業界として志望していたわけではなかったのですが、説明会のときから「この会社の雰囲気が自分に合っている」という予感がしていて、それは具体的には「着飾らなさ」とか「挑戦する気概」のような表現になるのですが、入社して1年が経った今でも、あの時の感覚は間違ってなかったと思っています。卒業前からインターンを始め、入社後しばらくの間は営業で勉強させていただき、2012年の夏から現在のストラテジストです。


(渡辺)デジタルコンサルティング事業部は、シンプルに言えばお客さまの課題解決を行う事業部です。提供するプロダクトやサービスは自社のものに限らずお客さまの課題を解決できるものであれば何でも扱います。単なる広告枠の販売ではなく、DSPを主軸としたディスプレイ広告や第三者配信「digitalice」の運用、AdWordsなどのSEM周りのPDCAサイクルが回せるプロダクトを中心に、見えない課題を発見し、解決に導くことを目的に日々仕事をしています。

Fringe81のビジョンは、「新しい発見を提供し、物事の見方を変える。」です。お客さまの課題やボトルネック、データから見えてくるUSPなどを発見して、新しい視点を提供していくことがデジタルコンサルティング事業部の仕事なので、まさに我々は会社のビジョンを体現している仕事をしていると思っています。



当たり前のことを、当たり前にやり切ろう。


Fringe81としての「運用型広告」への取り組みの特徴についてお聞かせ下さい。

(渡辺)Fringe81として「運用型広告」への取り組みは、大きく分けて2つあると考えています。

1つ目は、「技術がある」こと。
2つ目は、「当たり前のことをやり切る」ことです。

「技術がある」というのは、具体的には第三者配信アドサーバの「digitalice」、2013年2月から提供を開始している「TagKnight」などの最先端のシステムを自社提供できるということです。

技術力・開発力があるので、新しいシステムやツールが世の中に登場してくるのを待つのではなく自分たちで作って提供できるので、これまでより素早くお客さまのご要望に応えられますし、これまでできなかったことができるようになるサイクルを早めることができます。

次の「当たり前のことをやり切る」というのは、「技術」「アドテクノロジー」という言葉から連想される無味乾燥・効率重視といった印象とは真逆のものですが、我々の存在価値の根幹です。

弊社へは「最新の技術を活用した運用をしてくれ」といったご相談をいただくことが多いのですが、実際にキャンペーンの内容や運用体制を拝見すると、タグが貼り漏れている、バナーのサイズが1種類しか入稿されていない、一度入稿したらCPCの調整程度しか動かしていないなど、最新の技術以前にまだまだやれることがたくさんあるんじゃないかというケースに遭遇することがあります。

このような、最先端のシステムが次々と世の中に登場している一方で現場が追いついていない、という問題は我々にご相談に来てくださるお客さま以外でも頻繁に起こっていると思っています。いくら最新の技術があっても課題設定・運用設定・運用実務が雑では宝の持ち腐れですし、時に致命的なミスにつながりかねませんので、我々はデジタルマーケティングの基本的な部分を泥臭くしっかりやっていくことで、現実を理想に近づけていく作業ををしっかりやろうというのが「当たり前のことをやり切る」という取り組みです。

ちなみに弊社ではこれを「ABC理論 (当たり前のことを バカにしないで ちゃんとやる)」として標榜しています(笑)。「当たり前の基準」の品質には徹底的に拘りますが。



ABC理論を実践していくために心がけていることはありますか?

(長谷川)デジタルコンサルティング事業部の風土として、教育と責任が徹底されています。TATEITOさんが提供されているような社外研修への参加もサポートしてくれますし、私のようなキャリアがまだ浅い人間にも仕事を任せてくれます。

現在、非常に大きな扱いのあるお客さまを担当させていただいているのですが、最初は「えっ、こんなに任せてくれるん?」という感じでした(笑)。一方で、決して投げっぱなしではなくフィードバックを繰り返す体制を作ってくれました。仕事を任せてくれるということは当然ながら同時に責任も伴いますので、正直言って最初は不安でものすごいプレッシャーですが、キャンペーンの構築やレポーティングなど、考え抜かなければならないところでは都度都度先輩や上司が壁打ちの相手になってくれて、意見をぶつけ合うことができました。結果的にそれが質の高いアウトプットにつながり、お客さまといい関係を築けるきっかけになったと思います。

とはいえ、やはりプレッシャーはキツかったです。当初は思ったような結果が出なく辛い時期もあったのですが、私が担当になったことで会社の評価を下げるわけにはいかないので、本当に死に物狂いで仕事をしました。私の担当しているお客さまはとにかく高速でPDCAを回していくことを求められていたのですが、先方の求める仮説検証のスピードについていくことで、過去最高の結果を出すことができています。

(渡辺)先日あるキャンペーンが無事に成功した際にそのお客さまからメッセージを頂いたのですが

おかげさまで過去最高の実績になる予定です!
みなさま(特に長谷川さん)、ご協力ありがとうございます!


という言葉が印象的でした。長谷川が褒められているのですが、私まで嬉しいというか。

以前は私ひとりで全部やろうとしていた時期があったのですが、それではチームが成長しないしダメだと思って、現在の「信じて任せる、でも最大限サポートする」というスタイルに切り替えました。まずは自分で考えてもらって、出てきたアウトプットに対して、それを磨き上げるようなアドバイスを心がけています。

組織をスケールさせるには定型業務のマニュアル化を進めていくことがひとつの考え方としてあると思いますが、我々としては、個々のメンバーが考えて、自分の経験として獲得していかないと、当たり前のことをちゃんとやれる組織にはならないと思いますし、この変化の早い時代に生き残ることはできないと思っています。



可視化されてないものを探り当てるのは、人間の仕事。


広告運用をしていく上で、面白さや難しさを感じるのはどんなときでしょうか?

(長谷川)私自身は、運用型広告を扱う上では、経験やノウハウを持っている組織が勝つと思っています。これからますます自動化が進む中で、運用者には事務作業ではなく考えるところに時間を割くことが求められてくると思っています。莫大な量のデータをクリーニングして、ボトルネックや新しいセグメントを発見するようなところが価値になっていくのかなと。だからこそ、データの中にもぐっていって、「これだ!」という活路を見出せたときは非常に面白さを感じますし、同時にこの部分が一番難しいとも思います。

運用者がお客さまと対面して仕事をすることは一般的には少ないと思いますが、デジタルコンサルティング事業部は「何が何でもとにかく顧客」というスローガンを掲げており、業務が作業にならないように、社内の営業の顔色を伺うんじゃなくて、お客さまを常に見続けること。そこを間違わないようにしています。

(渡辺)営業はお客さまに訪問し、オペレーターやストラテジストはキャンペーンの設計や運用を行いますが、分業の利点としてオペレーションでのノウハウ蓄積や最適化に力をかけられる一方で、社内でのコミュニケーションには気を使っています。運用側が営業をお客さんのように見てしまうとダメで、長谷川の言うとおり、本当にこの進め方でいいのかちゃんと議論しろと伝えています。その雰囲気を作れるようにするのも仕事ですね。例えば、定期的に「お客様課題会議」を営業・ストラテジストを含めて合宿形式で1日時間をとり、共有を行っています。

面白くもあり難しくもあるのは、この仕事は自動化だけでもダメだし、マニュアル作業だけでもダメで、そのバランスが事業の成長に関わるということです。可視化できたり数値化されているものを処理するのは機械の方が得意ですが、可視化されてないものや数値化しにくいものを探り当てるのは人間しかできません。

私はこの仕事は宝探しのようなものだと思っていまして、例えば洞窟で宝物を探すとして、金属探知機のようなツールは宝探しには非常に便利だけれども、その金属探知機を使うのは人間なので、「ここに宝が眠ってそうだ」という経験則や「金属探知機の正しい使い方」といったスキルが備わっていないとツールは意味を成しませんし、金属探知機を使わないと宝物を掘り当てるまでに非常に労力を要するかもしれない。どちらかがあればいいという話ではなく、両方必要です。

金属探知機もそれを使う人も、どちらも備わっているのがFringe81だと思っていますし、そこがブレていないのが仕事をしていてやりがいを感じる部分です。



色んな企業さんと仕事をしていきたい。


2013年はどのような年になると思いますか?もしくはどういう年にしていきたいと思いますか?

(渡辺)ビジョンの話に戻りますが、「新しい発見を提供し、物事の見方を変える。」という、まだ見えていないものを見える化して新しい視点を提供するという仕事はまだまだ発展途上ですので、それをやり抜いていきたいと思っています。

例えば、先日あるミュージシャンのキャンペーンを運用させて頂いたのですが、普通にコンバージョン率が50%くらい出ました。コンバージョンポイントはチケット予約です。普通はどんなに最適化してもコンバージョン率が50%に届くなんてことはないので、これは明らかにアーティストの持つブランドの力が大きいのですが、キャンペーンの設計や運用に際しては、どうしてもそのブランドという見えないものを最初から考慮することが難しいです。ブランドを可視化して、その影響を踏まえた上で運用の仕掛けを作れたら、未来がもっと拡がるはずだと思っています。本領域をアトリビューション等でも解決・実行できれば嬉しいです。

(長谷川)個人的には、今の渡辺さんのポジションを奪うのが目標です(笑)

(渡辺)え…、追い出されちゃうの? しかも年内に?(笑)

(長谷川)年…度内なので、あと1年ですね…(笑)。
もとい、運用チームをまとめられる人材になりたいと思います。今はお客さまの前に出ないと「ただの運用者」みたいに見えているかもしれませんが、今より半歩くらい前に踏み込んで、キャンペーンの陰に日向に、長谷川というストラテジストが活躍しているということを認識してもらえるような仕事をしていきたいです。とにかく、名前負けしないように頑張っていきます。


最後に「これだけは言っておきたい」ことがあればぜひ

(渡辺)広告主さん、パートナーさんに限らず、「この分野、このデータに可能性を感じているんだけど」といったご要望や期待、課題を感じてらっしゃる企業さんとは、ぜひ一緒にお仕事をしてみたいです。一緒に何かを開発したり、価値をつくり出す面白さを共有できればと思っています。お声掛けお待ちしています!

(長谷川)デジタルコンサルティング事業部は絶賛人材募集中なので、もしご興味ある方は是非ご応募下さい!



Fringe81株式会社
http://www.fringe81.com/



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