2014年7月4日金曜日

AdWordsの品質スコアの説明資料についての解説



品質スコアの詳細な説明資料

洋の東西を問わず、リスティング広告に関わる人にとって AdWords の品質スコアは気になるトピックの一つです。

2013年7月末に発表された品質スコアの表示変更や、3ヶ月後の10月に発表された、広告ランクの算出に広告表示オプションを考慮するというアナウンスでも、実際の品質スコアの計算には変更がないにも関わらず、「品質スコアが変わった?」といった類の記事や問い合わせが多かったようです。表示変更についてはブログで再説明をして事態を収拾したこともありました。

そういった昨年秋からの状況を踏まえてか、Google は先日(2014年6月)、「More Insights about Quality Score and the AdWords Auction(品質スコアとアドワーズのオークションについての洞察)」というタイトルで、品質スコアに関する説明資料を公開しました。チーフエコノミストの Hal Varian氏自らポストしています。


リンク:
Inside AdWords: More Insights about Quality Score and the AdWords Auction


説明資料には、品質スコアの捉え方や、品質スコアの構成要素についての最適化の仕方、広告の品質に影響する/しない要素の説明などが記載されています。今回は、資料の中の重要だと思われる部分にフォーカスして、抄訳していきたいと思います。




広告の品質と、品質スコア

品質スコアについては、これまでヘルプで詳細な説明(こちらこちら)があったものの、PDF等で配布可能な公式のドキュメントはありませんでしたが、この資料は誰でも無料で以下からダウンロードすることができます。


リンク:http://goo.gl/WupXkv


この資料は「Settling the (Quality) Score」と銘打たれているように、品質スコアにまつわる都市伝説や理解不足を解決する意図で、非常に分かりやすく簡潔にまとめられています。

資料の2ページに記載されているイントロダクションは、以下のようにはじまります。

"A good ad experience is good for everyone: users, advertisers and Google too. AdWords is built on this idea, and one of the key ways we make that good experience happen is by measuring the quality of your ads.

Our measurement of quality helps us show more useful ads in higher positions on Google.com search results pages, so that users see ads that are relevant to their query and advertisers get clicks from qualified users. Besides creating happier users, those high-quality ads have the potential to earn extra benefits for advertisers, like lower costs per click and eligibility to surface more information with ad extensions.

This makes ad quality critically important to AdWords advertisers. Yet there are plenty of misconceptions about the topic, specifically about the metric Quality Score that’s reported in your account. In an attempt to clear up some of those misconceptions, we wanted to explain how advertisers should think about and react to their Quality Score metrics. "

"良い広告体験は、ユーザー、広告主、そして Google という関係者すべてによい影響をもたらします。アドワーズはこの考えに沿って構築されており、この良い広告体験を作り出すための重要な方法として、広告の品質というものを計測しています。

品質の計測をすることで検索結果の上位に有益な広告を表示することが可能になり、その結果、ユーザーは検索クエリに関連性の高い広告を見ることができ、広告主は広告の目的に合った適切なクリックを得ることができます。ユーザーによい体験をしてもらうだけでなく、広告の品質を高めることは、CPCが安くなり、広告表示オプションによって多くの情報をユーザーに届けることができるようになるなど、広告主がより多くのメリットを享受できることにつながります。

これが、アドワーズの広告主にとって「広告の品質」が非常に重要であることの理由です。しかしながら、このトピックについては、特にアカウント内に表示される「品質スコア」という項目について多くの誤解があります。その誤解を解く目的で、「品質スコア」という指標をどのように捉えればいいのか、ご説明したいと思います。"


この説明は、以前からヘルプなどに記載されていたことの繰り返しです。特に目新しい何かがあるわけではありません。

つまり、この資料はこれまで秘密にされてきた何かを公にするのではなく、2005年に品質スコアが導入されてからこれまで続けてきた説明を、もう少し踏み込んで言えば品質スコア以前からある「広告の品質」という概念について、あらためてきれいにドキュメントとしてまとめて説明したものだと理解することができます。

資料は全部で10ページありますが、最初のイントロダクションに続いて、3ページにサマリーがまとまっており、4ページ目以降に詳細に説明するという構成になっています。ここでは、3ページのサマリーを抄訳してみたいと思います。




1. 品質スコアは便利な計測ツールであり、KPIではない

「品質スコアを10にするためにはどうすれば…」という会話は今でも時折耳にしますが、これは品質スコア自体が目的になっているからこそ出てきてしまいがちな発言で、品質スコア自体はあくまでパフォーマンスを測る際に使えるシグナルの一つであり、KPI にしてはいけないと書かれています。

喩え話として、「品質スコアは、広告やキーワードの健康状態を教えてくれる、車の警告灯のようなもの(Your Quality Score is like a warning light in a car’s engine that shows how healthy your ads and keywords are)」だと表現しています。

2. 変更する意味のある部分に焦点を当てて最適化する

品質向上のための努力は、自分で変更可能で、かつ意味のあるところから手を付けましょうと勧めています。広告運用者は大抵の場合とても忙しく、重要でないポイントに時間をかけている暇はないと思います。インパクトがしっかり出せるポイントを見極め、賢く最適化していきましょうと書かれています。

そう考えると、「順位が上がればCTRが上がって品質スコアも上がる可能性があるので上限CPCを上げる」といったような施策は、全く意味がないとは言いませんが、本当に品質を改善したいのであれば他にやるべきことがあるよねということですね。

3. 広告品質について大事な3つの要素を意識する

3つの大事な要素とは、「広告の関連性」「推定クリック率」「リンク先ページの利便性」です。


この資料の5ページでも説明がありますが、広告のオークションではこれらの要素(やクエリ、デバイス、場所、時間など多くの要素)もリアルタイムに計算されているため、アカウントで見れている10段階の品質スコアはあくまで参考でしかないと書かれています。

また、キーワードの隣のフキダシアイコンで確認したときのステータスが「平均より下」の場合の対策として、それぞれ以下の表にあるアクションとるとよいと勧めています。


  • 広告の関連性が平均より下 → ユーザーの検索クエリと広告のマッチングを高める

  • 推定クリック率が平均より下 → より魅力的な広告を作る

  • リンク先ページの利便性が平均より下 → 使いやすく関連性の高いページを設定する





  • 4. 広告の品質に関連すること/しないこと

    続いて、広告品質を高めるために意味のある最適化ができるよう、何が関係していて、何が関係していないのかを理解する必要があります。それぞれ代表的なものが以下のような表になっています。


    関係すること

  • ユーザーのデバイス → モバイルのターゲティングやモバイルサイトの利便性などを考える

  • 新たに設定されたキーワードは関連ワードのパフォーマンスの影響を受ける → 関連する検索語、特に高品質になる可能性の高い領域はしっかりとカバーする

  • ユーザー意図との関連性 → 広告とランディングページがユーザーが求めていることとマッチしているかを確認する


  • 関係しないこと

  • アカウント構成(キャンペーンの名前や広告グループの数) → 運用しやすい構成にできるのであれば再構築する

  • 他のネットワーク(検索パートナーやGDN) → キーワードの品質はあくまでGoogleプロパティ(ex:google.com)の結果に基いて判断されるので、他のネットワークをトライしても影響はない

  • 広告の表示順位 → 高順位を得るために入札単価を上げることは品質の向上に寄与しないので、ユーザー体験を向上することに注力する



  • 上記で面白いのは、新たに追加したキーワードは、アカウント内の関連する(近い)キーワードのパフォーマンスの影響を受けるという部分ですね。広告の品質を測るために推定クリック率が重要な要素だと考えると、新たなキーワードは推定する要素が既存のキーワードより少ないので、意味の近いキーワードの実績が考慮されるということだと思います。

    また、アカウント構成は直接的に品質に影響はしないとも書かれています。ただし、ここでいうアカウント構成とはキャンペーンのネーミングや広告グループの数などを指しており、「アカウント構成」という言葉から連想されるような、キャンペーンやグループの内訳という意味ではないことに注意が必要です。 運用しやすいキャンペーンやグルーピングを設計することは日々の最適化を後押ししますので、結果的に広告の品質に資することは多いのではないでしょうか。


    品質スコアは指標であって、追いかけるものではない

    個人的には、資料の最後のページにある以下の一文が、この資料で言いたいことのすべてだと思います。これは品質スコア誕生前の「クリック率≒ユーザーの支持」だった時代から、ずっと変わっていないメッセージです。

    "Remember, too, that there are differences between auction-time quality and the 1-10 Quality Score number that appears in your account. Your Quality Score will give you insight into how you’re performing, but “chasing the number” shouldn’t be the focus of your optimizations. Be relevant, be compelling and drive traffic to landing pages that deliver on what you promise in your ad, and you can feel confident your score should reflect that quality"

    "繰り返しますが、オークションで計算される「品質」と、アカウントで見る10段階の「品質スコア」は違います。品質スコアは、広告のパフォーマンスについての詳細な情報を提供するものであり、その数値を追いかけるものではありません。関連性を重視し、魅力的な広告文で約束した情報があるページにユーザーを導いて下さい。そうすれば、品質もおのずと付いてきます。"

    「関連性を重視し、魅力的な広告文で約束した情報があるページにユーザーを導く」というのは、言い換えれば AdWords の広告グループの機能のすべてです。

    ユーザーニーズが近いキーワードをまとめて広告グループにし、そのニーズに合わせて適切で目を引く広告文を作成し、広告文で謳った情報があるページをリンク先として指定するという、リスティング広告の基本が改めて強調されています。


    AdWords のベスト・プラクティス資料集

    余談ですが、今回の品質にまつわる資料だけでなく、AdWords に関する資料がまとまった「Best Practice Series」という資料格納ページが、Search Engine Land とのコラボレーションで公開されています。

    リンク:
    Google AdWords Solution Center - AdWords Best Practices Series


    上記のページには、ショッピングキャンペーンの説明資料や、広告文の書き方、入札の賢い方法など、多くの資料がまとまっており、今後も更新されていくようです。

    ちなみに、日本には以前から AdWordsビジュアルナビ という資料集のページがあります。海外のページより既に何倍も充実しているので、助かっている方も多いのではないでしょうか。こういった丁寧な仕事はぜひ続けて頂きたいと思います。


    Hal Varian氏による説明動画

    最後に、Google のチーフエコノミストである Hal Varian 氏は、今回のブログポストとほぼ同じタイミングで、広告ランクや広告オークションの説明動画をアップしています。氏は2009年に品質スコアについての説明動画を公開していますが、今回はその更新版として、今回の資料の発表に合わせてリリースしたものと思われます。




    今回の説明動画のハイライトは、昨年秋から物議を醸している、広告ランクの計算に広告表示オプション(動画内では「Ad format」)が含まれるという部分の説明です。これまでの広告ランクの計算である「上限CPC × 広告の品質」に加えて、広告表示オプションを加味する際の影響について説明しています。

    広告表示オプションはその時のユーザーの状況(クエリやデバイス等)に合わせて最適だと思われるものが表示されます。そのため、ユーザーの意図やタイミングにバッチリ合う広告表示オプションがあれば、その影響は広告ランクに加味されるということですね。

    ちなみに、この動画には WordStream の創業者である Larry Kim氏が噛み付いています。説明を分かりやすくするために敢えて単純化した式に「正確じゃない」とツッコむのは大人げないなあと思いますが…。

    もとい、広告の品質はそれ自体が KPI ではなく、このリアルタイムオークションの世界で、ユーザーの利便性と企業の収益を高め、その結果プラットフォームであるGoogle (ディスプレイであれば広告枠のあるパブリッシャーも含む)の収益性を高めることによって健全な競争のあるエコシステムを作っていくために、最も重要となる基本コンセプトです。

    そして、広告の品質の計算がどうであったとしても、広告主が見込み顧客に対してすべきことは特に変わらないのだと思います。ユーザーに焦点を当て、ユーザーに提供できる価値を広告とランディングページでしっかり表現することが、結果的に売上や信頼というスコアになって返ってくるのではないでしょうか!



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