2014年8月20日水曜日

成果を出すためには、エンドレスで勉強です −アンダス 平野裕亮氏 #State-of-AdOps Vol.11


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第11回目は、福岡の雄、アンダス株式会社でSEMユニットリーダーを務め、ご自身でも「でぶててのWEB録」という人気ブログを運営していらっしゃる平野裕亮(ひらの ゆうすけ)さんに、運用型広告の現状や今後の展望について、忌憚のないお話をお聞きしました。


# インタビューは 2014年7月某日に行われました。



アウトプットしないと、追いつけないと思った。


●まずは、平野さんが現在のお仕事に就かれるまでの経緯と具体的な業務内容を教えて下さい。

新卒は広告代理店の福岡支社でリスティング広告を運用していたんですが、当時は音楽が仕事の中心で、平日の仕事が副業というような感覚でやっていました(笑)。ですので、リスティングは始めて1年くらいで辞めてしまって、その後はコールセンター、居酒屋、ウェブ制作など、様々なアルバイトを掛け持ちしながらライブをするような毎日でした。結婚やフェス出演を機にそろそろ地に足をつけていきたいと思い、アンダス株式会社に入社し、現在は SEMユニットリーダーとして働いています。

SEMユニットは発足してから3年目なのですが、それ以前は SEM に特化したチームは社内に存在しておらず、プランナーが SEM に関わる仕事をそれぞれ兼任しながら仕事を進めていました。

私は SEM の専任としては第一号なんですが、もともと SEM を強化するためにチームが発足したわけではなく、弊社のクライアント様で電話番号でのコンバージョン計測をかなり強化されている企業様がいらっしゃるのですが、そこで弊社のシステムと先方のシステムとをつなぎあわせて計測するというプロジェクトの中で、技術面や広告運用面の専任チームを作る必要性が出てきたため、それが巡り巡って現在のかたちになっています。

以前から電話番号計測は仕組みとしてありましたが、多い場合は1社で200番号程度あるので、計測の全体設計が非常に重要になります。それを体系化していく作業は、現在メインの業務であるリスティング広告のノウハウと通じるところがあると思っています。


●非常にユニークな経験で、もっとお聞きしたいですが…(笑)。ちなみにブログも書かれていらっしゃいます

ブログ「でぶててのWEB録」を始めたのは2012年の5月です。SEM に関する記事は当時どんどん増えていましたが、電話計測やタグマネジメントに関する記事は少なかったので、自分でも何か書けないかなと思って始めました。

あとは、個人的な理由としては、SEM-LABO の阿部さんをはじめ、SEM のトッププレイヤー達に追い付きたいと思ったら、とにかくアウトプットするしかないと考えたことですね。

また、会社としても、アンダスは社長である前田がワントップのように見られていますので、もっと会社として厚みがあることを見せたいと思った時に、ブログは一つのきっかけになるかもしれないと思ったのもあります。こっそり書いてあとで自慢しようと思ったら、会社の人たちにはすぐに見つかってしまったのですが(笑)。

最近では、ブログを通じて知ってくださる方も増えてきて、非常に有り難いと思っています。


電話計測に合わせたアカウント設計もある。


●SEMユニットの体制や、特徴などはありますでしょうか?

私自身が得意だからというのもありますが、必要なノウハウ等をまとめてチーム内で共有するようにしています。新しい手法やチャネル等がどんどん出てくる分野ですし、データをつなげて分析することも多く、施策自体が複雑化しやすいので、放っておくとどうしても混沌としてきてしまいます。ですので、品質を管理し、事故を防ぐために、情報を整理することを心がけています。

先ほど少し触れた電話計測の件でも、情報を整理することがそのままアカウント構築のルールづくりに繋がっていきます。


●具体的にどんなルールがあるのでしょうか?

例えば、リスティング広告で、似た意味の部分一致キーワードが別々の広告グループに入っていると、ある特定のクエリがそれぞれのキーワードで表示されてしまう、という問題が発生すると思います。

電話計測を密にやろうとすると、重要なクエリが複数あるアカウントではクエリと電話番号を合わせないといけないという状況が発生するのですが、通常のアカウント構成だとどうしてもクエリと電話番号の組み合わせを精緻に実装するのは難しいため、それぞれの導線を整理するために、1広告グループ1キーワードで構築するようにしています。

これは一見負荷の大きいアカウントのように思われますが、検索クエリを見なくても検索クエリが分かる構成になっているので、精緻な電話計測が必要なアカウントにとっては実はリーズナブルな構成です。もし電話計測がなかったらこういう発想にはならなかったように思います。

同じようなことは電話計測以外でも言えまして、Google Analytics と繋げたときに分析しやすい構成だとか、データをダウンロードした後にそのままVBですぐに加工できる配列にしておくとか、とにかく業務フローが整理して効果と効率を両立できるように工夫を続けています。


●電話番号計測仕組みは通販大国の九州ならではの取り組みなのでしょうか?

他の企業さんのことは分からないのですが、弊社の特徴であるとは思います。

弊社はSEMユニットができる前からシステムと制作とプランナーの三位一体でお客さまと取り組むようにしていたので、電話計測の仕組みをリスティング広告の仕組みに組み込んでいくことは比較的やりやすかったです。この三者が一体にならないと、CPA の改善はできないと思っていますので。

現在はスマイルツールズ(SmileTools)というツールがありますので、 健康食品や通信販売のお客さまが多いのは確かですね。




制作者に制作をしてもらうためのタグマネジメント


●システムや制作の方々と一体で動けるのは強みですね。

そうですね。弊社は Google Analytics などのアクセス解析ツールや、各種のタグをまとめるタグマネジメントの導入を必須にしているのですが、それはシステムや制作を一緒に仕事をすることと密接な関わりがあります。

SEMユニットの業務領域は他のリスティング広告を提供する広告代理店さんとほとんど同じだと思いますが、タグマネジメントはもともと制作者やシステム担当者のために導入を進めました。

誤解を恐れずに言えば、タグの設定作業は、何も生みません。誰でもできますし、クリエイティブな仕事とは言えないと思います。お客さまの利益を引き上げることができるクリエイティブを作れる製作者が、タグの設定に忙殺されるというもったいない状況を何とかしたかったので、タグマネジメントの導入は必須にしています。現在は GTM(Google Tag Manager)と YTM(Yahoo!タグマネージャー)を入れていますね。


●実際に製作者の時間配分は変わったのでしょうか?

体感としてかなり変わったと思います。広告を設計・運用するSEMユニットでタグが管理できるようになったので、制作はタグ関連の作業に関わることなく、本来のクリエイティブな仕事に時間を割けるようになっています。

これは、制作の機能が社内にあるからこそ気付けたことです。「タグの設定面倒くさい!」という声が目の前で聞こえるわけですから(笑)。

同じ意味で、システムに詳しい人が社内にいるのも大きいです。「このデータがおかしい」といったケースがあれば、詳細に調べてくれるので原因の発見までのタイムラグも短いです。三位一体であることの強みだと思っています。


●タグマネジメントを行う上で気をつけていることは?

例えば jQuery を使っている時に GTM だと変な動きをしたりとか、気をつけないといけないことがあるので、YTM と併用したりチェックリストを作成するなど、それぞれどう管理するのかを平準化するようにしています。あとからタグの中身を変えたいとか、追加したい、管理者が変わったといった状況になっても、タグマネジメントさえしっかりできていれば、お客さまに迷惑がかかることはありませんので。

そういう意味では、タグマネジメントは本来お客さま側で管理すべきなんだと思います。現時点では YTM が Yahoo! のプロモーション広告アカウントと紐付いているという事情があるので広告代理店が管理しているだけで、責任や安全性の観点からはお客さま自身で管理された方が、責任の明確化や安全性の観点からも望ましいのかなと思います。


●自身で管理されている広告主さんはいらっしゃいますか?

実際はほとんどいらっしゃらないのが現状です。ですので、サービス導入の際はメリットだけでなく、リスクもしっかりお伝えしてご理解頂いてから導入するようにしています。

もちろんメリットが明確でないと稟議が上げにくいとか、現場のご担当者ならではの悩みもあるので、「アフィリエイトの重複コンバージョンのチェックが楽になりますよ」ですとか「タグのメンテナンスでかかっていた制作費がなくなりますよ」といった既にかかっている工数に換算してお伝えすることはあります。


固定費より、データが見えないことがリスク


●先ほどの電話計測(コールトラッキング)の話ももう少しだけお聞きできればと思いますが、かなり沢山の番号を管理されているとお聞きしました。

はい、もともと回線業者さんからご相談があってスタートした話なのですが、あれよあれよと番号が増え、今では発行しているだけで1,000番号くらいあると思います。一番使っている企業さんは、広告を新たに作る場合は必ず電話番号を振るようになっています。

例えば、チラシのような紙媒体、提携先のウェブサイト、検索連動型広告、ディスプレイの媒体やターゲティング別、メールマガジン、アフィリエイトなど、電話番号一つ一つが広告媒体を識別するフラグのようなイメージです。

電話番号にはもちろん固定費がかかりますが、データが見えないほうがリスクです。お客さまも電話でのコンバージョンがメインの業種が多いので、運用には必要なコストだとご理解されています。計測ができていなければ、効果を改善する施策がそもそも打てなくなりますので。


●具体的にはどのように管理されているのでしょうか?

コールトラッキングは弊社の LPO のシステム( aLPO: 非公開 )と紐付いているので、例えば検索連動型広告でキーワードごとに番号を出し分ける場合は、ウェブサイト側で電話番号を動的に出し分けるようにシステムと連動しています。もともとLPOツールとして開発したものを電話番号に対応できるようにカスタマイズしていったものです。

最近も開発は進めていまして、これまでは架電の実績をデータベース化したものを広告の実績とマージしてレポートとして出力していましたが、今ではタグマネジメントと連動して広告の管理画面で電話番号の CPA まで見れるようにしています。それによって、電話番号をタップした回数と、実際に架電が発生した回数の差分なども把握できるようになりました。


●そこまで徹底されている事例はあまり聞いたことがないですね。

先ほどのタグマネジメントの話と同じで、システムを内製しているからこそ実現可能だったんだと思います。あとは、運用にちゃんと落とし込めたことですね。

個人的には、現職に就くまでの コールセンター 居酒屋、フリーランスでのウェブ制作それぞれの経験が役に立っています。特に、コールトラッキングは回線系のお客さまで実施していますので、コールセンター内部のオペレーションを把握していますので、非常に役に立ちました。現場用語で通じますし(笑)。偶然の産物ですが、経験って繋がるものだなあと思っています。

コールトラッキングはオフラインとオンラインをつなげる施策でもあるので、今後はセミナー(※ページ下部に詳細)などで伝えていく活動もしていきたいと考えています。



面白がることと、それを伝えること。


●では話題を変えて、普段の広告運用のお仕事で心がけていることなどがあれば教えて下さい。

「効率化」は心がけています。例えば一日5分効率化できたとすると、一週間で25分、一ヶ月で約2時間浮くことになります。2時間あれば、売上を上げる活動に時間を割くことができます。

究極は自分の1秒あたりの売上をどうやって上げていくか、ということなのかなと思っています。だからこそ効率化にこだわって、多少時間がかかっても効率化のための VB を組み上げる、といった作業には積極的に取り組むようにしています。同じ仕事を3回するのであればシステム化するという会社さんがいると聞いたことがあるのですが、いい発想だなと思って意識するようにしています。

日本は人口も減っていきますし、労働効率を上げないとどんどん忙しくなって生産性が落ちます。毎晩深夜まで残業して、プライベートを犠牲にしてまで働くべきではないと思っているので、とにかく「効率化」はみんなで幸せになるためのキーワードです。


●今後の展望などがあればぜひ教えて下さい。

現在取り組んでいる領域は SEM なのですが、SEM って一体どこまでやるのか?と考えることがあります。Yahoo!プロモーション広告でTwitterプロモ商品が出せるようになるけど、それって誰が担当するのだろう?といったように、広告を運用する担当者が携わる領域がどんどん拡がってきています。

どこまで拡げなくちゃいけないんだろうかと考えると、もちろん全部やりたいんですが(笑)。検索だけで済むわけではないですし、とにかく勉強すべき領域が広いですよね。

一方で、経営としては媒体費の 20% マージンの中で利益を出さなければいけないという現実もありますので、利益と管理費のせめぎ合いです。


●そのあたりって、企業や個人のフェーズによって解は変わると思いますが、平野さんとしての現時点での回答ってありますか?

私の仕事はお客さまの売上をあげることなので、そのための手段として今 SEM をやっているだけだと思えば、引き出しは沢山持っておくに越したことはないと思います。A がダメなら B も C もあるという状態にして、とにかくフットワーク軽くお客さまに必要なものを見極めていけるように頑張ります。だから、エンドレスで勉強です。

あとは、これはどんな仕事にも言えると思いますが、運用はなかなか大変な仕事なので、「いかに面白がれるか」も大事だと思います。今日は100件コンバージョンがありましたという時に、ただ漫然と「100件だ」と思うのか、「一体どこが良かったのだろう?どこから来たのだろう?」と思うのは、大きな違いです。数字だけ見ていても面白くないですから。

やれることが多くなって現場は混乱しがちですが、運用型というのは数字が見えやすくなって、施策がやりやすくなっただけだと思っているので、自分自身がそれを面白がって、面白さを伝えていけるようになりたいですね。


●本日は貴重なお話、ありがとうございました!


アンダス株式会社

※セミナー情報
9月3日(水)にセミナーが行われるそうです!
詳しくはこちら → http://andus.co.jp/seminar/
※受付は終了しました(2014年8月31日)



2014年8月11日月曜日

eBayの判断に学ぶ、大規模Eコマースの広告運用トレンド


検索連動型広告は売上にそれほど貢献しない?

2013年3月に、米国最大のマーケットプレイス/オークションサービスの eBay が発表した「Google の検索連動型広告は売上に対してそれほど効果的ではない」という主旨の調査資料は、リスティング広告の従事者にとって少なからず影響を与えました。


参考:EBay study questions value of Google's main ad service | Reuters

この調査によると、2012年の4月から7月の3ヶ月に渡って、AdWords を続ける地域と停止する地域とに分け、それぞれの売上の推移について分析したところ、広告を停止した地域での売上に目立った低下が見られなかったとのこと。

他にも、「過去1年間で eBay で3回以上購入経験のあるユーザーについては検索広告経由でほとんど利益が創出できなかったものの、eBay での購入履歴がない新規ユーザーに対しては効果が認められた」など、独自に行った調査結果が報告され、話題を呼びました。

eBay は、「他の企業にとっては検索連動型広告がもっと機能するケースはあるだろうし、知名度の低い企業にとっては検索連動型広告は有効」というフォローも入れてはいるものの、この調査が公表された直後から米国の SEM従事者は色めき立ち、「それは単に eBay の広告運用が酷いだけでは」という指摘が殺到し、議論に発展しました。当時の議論の流れは、以下の Search Engine Land の記事にまとまっています。


参考:AdWords "Ineffective" Says eBay, Google "Meta-Pause Analysis" Contradicts Those Findings


また、2014年の6月に調査資料の最終版が発表されたことで、前年に盛り上がった議論が1年ぶりに再燃したのも記憶に新しいです。34ページに渡る詳細な調査報告によって、前年に発表された調査が具体的にどのようなものだったのかを確認することができます。


資料(PDF):faculty.haas.berkeley.edu/stadelis/Tadelis.pdf




キーワード挿入機能の不備

eBay の広告運用のまずさを指摘する代表的な論点としては、キーワード挿入機能(DKI:Dynamic Keyword Insertion)の不備が挙げられます。

キーワード挿入機能は、ご存知のとおり「広告グループ内のキーワードを広告テキストに動的に挿入することができる機能」ですが、広告表示のトリガーになったキーワードが広告文に挿入されるということは、アカウント内のキーワードによっては広告文が文章として意味をなさないケースが出てくることがあります。

eBay のように、キーワードが大量かつ自動的にに入稿されているEコマースサイトでは、キーワード挿入機能によっておかしな広告が発生しやすくなります。eBay の発表では、2012年終了時で 1億7,000万キーワードが設定されていたそうですから、中にはとんでもないキーワードもあっただろうことは想像に難くありません。

実際、eBay のキーワード挿入のマズさは有名なようで、以下のページにスクリーンショットがまとまっています。(NGワードだらけで、ちょっと訳しにくいですが…。)日本でも、「○○ならAmazon」という広告が攻めていると話題になったことがありましたね。

参考:
eBads - the Bad eBay Ad Search Game
Humorous eBay Internet Ads - Vaughn's Summaries

(クリックすると拡大します)


キーワード挿入機能を使った広告のマズさは、WordStream のブログをはじめ、様々なところで指摘されました。「リスティングが効果的でないのは、AdWords の問題じゃない、eBay の広告戦略の問題だ」という指摘は、辛辣ながらも一理あると考えられます。


検索連動型広告の代替案としての商品リスト広告

eBay は2012年の1年間で5,100万ドル(約51億円)をリスティング広告に支払っていると発表しています。eBay の販管費の中の「Sales and Marketing」の項目は3,000億円ほどあるため、リスティング広告がこの調査のあとで増減どちらに転じているのかは決算報告からは分かりませんが、彼らの広告戦略が2013年から徐々に変化していることが Business Insider で報告されています。


参考:eBay, Amazon And Google's PLA Shopping Ads - Business Insider


(赤枠はadmarketech.による追記)


上記の図は、2013年の1年間の商品リスト広告を利用した広告主のランキングですが、eBay は2位に位置しています。1位と3位が、多くの企業の商品リスト広告を扱うプラットフォームである Kenshoo と DoubleClick なのを考えると、1つの広告主企業としては圧倒的な1位だと言っても過言ではないでしょう。検索連動型広告の効果に疑問を呈した資料を発表しつつ、商品リスト広告には強烈に投資していることが分かります。

Marin Software によると、2013年の商品リスト広告の取り扱い高は、2012年と比べて3.7倍(269%増)になったと言われています。eBay は Google Shopping の有料化には難色を示していたと言われていますが、商品リスト広告の強烈な伸長の背景には、結果として eBay の積極的な投資が影響していると言っても言い過ぎではないかもしれません。


eBay の判断に学ぶ、Eコマースリスティングの広告運用

eBay の発表した調査報告には、SEMのエキスパート達からネガティブな反応が殺到しましたが、年間数十億円という、決して少なくない費用を掛けている広告に対して、その投資対効果を測っていこうとする姿勢は尊重するべきだと思います。

この調査にかけたであろう少なくない費用は、外部的には検索連動型広告の投資対効果を疑問視するという、余り生産的でないアウトプットとして表現されましたが、おそらく内部的には、キーワードと広告の自動生成(サイト内検索や検索クエリの自動入稿など)の限界も同時に指摘されていたのではないでしょうか。

常識的に考えて、億を超えるキーワードを手動で管理することは不可能です。「eBay の広告戦略は酷い。適切な広告を出すべきだ!」と指摘するのはかんたんですが、自動化しないとどうしようもないほどの規模の広告をマネジメントしなければいけない企業にとって、その実現は容易ではありません。今回の調査は、検索意図に沿った広告を適切かつ自動的に生成する手法の一つとして、データフィードの広告である商品リスト広告という代替案を有利に活用し続けるために、検索連動型広告の有用性を疑問視することで煙幕を張った、という穿った見方すら連想してしまいます。(なぜこの発表が必要だったのか分からないと考える人も多いようです)

eBay の商品リスト広告の投資規模から考えて、現在ではおそらく、動的リマーケティングやDSA(動的検索広告)なども積極的に活用していると考えられます。

RKG が 2014年7月に発表した調査によると、RKG の顧客であるEコマース関連の広告主のリスティング広告費の内訳は、3割近くを商品リスト広告が占めており、ブランド検索以外では約5割を占めるほどになっているようです。

観測範囲はかなり偏っているものの、中小のECサイトでは、広告経由クリックのかなりの割合を商品リスト広告が担っているという示唆ではあると思います。

データフィード関連の広告は、SKU(商品単位)レベルでしっかりとウェブページを作り、マーチャントセンターに代表される外部データベースへ更新するデータフィードを適切に管理していくことで結果的に広告の鮮度や精度が担保される仕組みです。

これまでのように、リスティング広告のキーワードの生成やマネジメントに時間をかけるのではなく、自社サイトのユーザビリティや情報管理に時間をかけることで、商品リスト広告、動的リマーケティング、動的検索広告などといった集客施策も連動して良くなっていく世界が拡がりつつあります。

eBay の判断は、ECサイトの集客の現在形を示唆してくれているのかもしれません。



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