2014年9月30日火曜日

運用者を助け、伴走するために。 – アクイジオジャパン 村上和也氏 #State-of-AdOps Vol.12


「State of AdOps」は、現在急速に伸びている運用型広告の成長を支え、実際の現場で価値をつくりだしている広告運用(AdOps)のスペシャリストたちに焦点を当てるインタビューシリーズです。広告運用の最前線にいる方々が感じていることを語って頂くことで、運用型広告の輪郭を少しでも捉えることができればと考えています。

※過去の記事はこちらから。

第12回目は、デジタルマーケティングの運用管理プラットフォームを提供するカナダの Acquisio と日本のアイレップの合弁企業である株式会社アクイジオジャパンで取締役を務めていらっしゃる村上和也(むらかみ かずや)さんに、運用型広告の現状や今後の展望について忌憚のないお話をお聞きしました。


# インタビューは 2014年8月某日に行われました。


広告運用を理解したプラットフォーム


●まずは、村上さんが現在のお仕事に就かれるまでの経緯と具体的な業務内容を教えて下さい。

アクイジオジャパンの村上と申します。システムエンジニアを経て2006年にアイレップに転職し、約8年間一貫してリスティング広告に代表される運用型広告に携わっています。

アイレップに転職した当初は広告運用のアカウントストラテジストとして、様々な業種の様々な規模のアカウントを担当してきました。

アカウントストラテジストとして3年ほど経った後、アイレップの社内でリスティング広告の研究開発を担うR&Dチームの立ち上げメンバーとして異動し、モバイル広告の研究や、リスティング広告のアカウント設計やルールの整備など、実践的な研究開発機関として仕事をしてきました。

当時のR&Dチームのミッションにはリスティング広告の自動入札ツールの導入も含まれており、その経緯で様々な自動入札ツールの評価や活用を進めてきました。


●そこからアクイジオジャパンにはどのような経緯で参画されたのですか?

参画はアクイジオジャパンの立ち上げと同時です。先ほど申し上げた、リスティング広告で多くの自動入札ツールを取り扱っていく中で、実際の広告運用にあまりマッチしない機能や、ツールの設計そのものが現場の運用に則していないものがあることが分かってきました。そういうツールを使わざるをえない場合、機能的な部分を自社開発することで補ってきたのですが、それが繰り返されていくとどうしても利用するアプリケーションが増えてしまい、理想の状態になかなか近づけないというジレンマにありました。

そこで、現場の運用に適した統合的な運用プラットフォームを作っていこうという機運が社内で高まり、Marketia(マーケティア)という構想が立ち上がりました。2010年から2011年にかけてのことです。

マーケティアの開発にあたっては、単なる自動入札ツールではなく、統合的な運用プラットフォームを作りたいという構想だったため、パートナーとの協業と、ゼロからのスクラッチ開発とを組み合わせながら試行錯誤しながら進めていました。

モックアップが出来上がった頃、現株式会社アクイジオジャパンの社長である井上が視察に行った ad:tech New York で Acquisio(アクイジオ)の紹介を受けました。井上は帰国後すぐ、マーケティアの開発構想を考えていた私の元に来て、驚いたように「ぜひ見ておいてもらいたいツールがある」と話し、テレフォンカンファレンスを設定したのが、アクイジオとの出会いでした。

いえ、正確に言えば、その時点でアクイジオとの出会いは2回目でした。数年前に私は、アクイジオの紹介を受けており、思想の端々は良かったのですが、必ずしも使い勝手の良いツールでなく、Yahoo! JAPAN という日本での重要なパートナーとの接続がされておらず、取扱いを見送った経緯があります。そのため、その当時は実はあまり期待せず、カンファレンスに参加しました。ところが、そのカンファレンスで彼らのツールを見せてもらったところ、我々の作ったモックアップと多くの部分で非常に似ていたのです。アクイジオ自身が広告運用を行なっている会社からスタートしていることもあってか、ユーザーインターフェースから運用をしっかり理解した上で構築されているプラットフォームにグレードアップしており、マーケティアの構想とも非常に近いものを感じたため、協業を決意しました。

そこから日本で合弁会社を作ることになるまでは急ピッチで進めてきました。アクイジオと初めてミーティングしたのが2013年の8月で、その年のクリスマスにアクイジオジャパンがスタートしているので、都合4ヶ月でさまざまな準備をしたことになります。

アクイジオジャパンは、アイレップとアクイジオの共同出資で立ち上げたジョイントベンチャーですが、法人としてアイレップからは独立して、オフィスも完全に別に設立し、運営しています。我々は、アクイジオ自体は、この運用型広告の業界で改善に取り組んでいる多くの方々に貢献すべきツールである、と捉え、他の広告代理店様にも活用して頂きたいと考えているためです。このツールを広めることをミッションとして、私もアイレップから転籍しています。


運用者の悩みを解決したい


●一人の運用者として、アクイジオを推進する理由は何でしょうか?

根底にあるのは、運用者が直面している課題と、今あるツールとのギャップを埋めたいという想いです。私は広告代理店にいた人間ですので、運用者の悩みは肌で感じています。先ほど申し上げたような、ツールの設計そのものが現在の広告運用に則していないものがあると分かったときに、ツールと運用者のギャップを埋めるソリューションがあるのであれば、それを提供していきたいと思っています。

例えば、あるアカウントでルールベースの自動入札を設計したとします。ある程度汎用性のあるロジックであれば他のアカウントに適用し、共有のナレッジにしていきたいと思うものですが、普及しているツールにはそういった機能はなかなかありません。レポートを共有したいというニーズでも同じです。

アクイジオには、そういった実際に運用していると欲しくなる「(一見)ささいな」機能が数多く揃っています。ツールの設計に運用者の目線が反映されているので、現場で苦労している運用者の助けになると思っています。


●他には具体的にどのような機能があるのでしょうか?

日本の、特に広告代理店においては、運用の中で多くの時間を予算管理業務にかけざるを得ず、課題に感じてらっしゃる場合がございます。予算管理機能があるツールは他にもありますが、ある程度大規模なアカウントでないと予測機能がうまく働かないことが多いため、予算規模の小さなアカウントではなかなか使えないことが多いです。その点、アクイジオは人間の手では達成し難いほどの予算着地率を実現してくれます。

アクイジオでは入札&予算管理(Bid & Budget Management)という機能があり、予算規模の小さな案件でも利用が可能です。2014年8月の時点では AdWords に対応しており、今後 Yahoo! JAPAN のスポンサードサーチにも対応予定です。どうしても予算管理の必要性から月末に集中する確認作業も、この機能で補完することが可能になります。


●自動入札ツールというと、大規模案件で使うものという認識がありますが、そうではないということでしょうか?

そうですね。実際に米国市場では、アクイジオは SMB(中小企業)向けのツールとしても標榜しているところがあります。

アクイジオが得意な領域はリスティング広告ですが、他にも、データを取り込むためのコネクターが充実しており、DSP やその他様々なデータをつなぎあわせて統合的に管理することが可能です。


自らに「ここまで」と線を引かないこと


●統合マネジメントツールの導入で、うまくいく企業とそうでない企業が分かれる印象があります。両者に明確な違いはあるのでしょうか?

私達のお客様である代理店にお伺いしてきた中で実感していることは、代理店のご担当者が「現状をよくしたい」と真剣に考えていらっしゃる場合は、導入が前に進みやすいです。労働集約型になってしまいがちな運用型広告の構造を変えたいですとか、システムを漫然と導入するのではなく、最適なサービスを提供するには、現状のワークフローをどう変えていくべきかと考えている方がご担当者ですと、導入が目的ではなく運用のフェーズに乗るので、活用につながっていくように思います。

その逆で、単純に「楽になるから」というだけでシステムを導入しようとすると、運用に乗りにくいかもしれません。先述の入札&予算管理(Bid & Budget Management)のような自動化機能はもちろんあるのですが、代理店様の強みを発揮しやすいように様々な機能があるので、「その代理店様である理由」を、ツールを通じて構築して頂くお手伝いができればと思っています。


●統合マネジメントツールを使っていく環境において、運用担当者に必要な知識やバックグラウンドはあるのでしょうか?

運用はこの分野の価値そのものなので、いわゆるテクノロジーの知識、分析の知識、マーケティングの知識、いずれも不可欠だと思います。マーケティングというと大げさですが、シンプルに言えば、ユーザーが何を考えて、何を欲しているのかを読み取り、どういう情報を提供できるかを考えて広告を運用する能力ですね。

違う言い方をすれば、そういったことを考えながら仕事をしないと、楽しくないですよね。楽しくないから続かなくなりますし、細部へ気が回らず、大雑把にまわして終わってしまいがちなのかなと思います。マーケティングへの興味がないとできない仕事かもしれません。

あと少し障壁が高いのか、テクノロジーに対して「これ以上はいいや」と、どこかで自分で線を引いてしまうと非常に勿体ないと思うことがあります。例えば、「タグが入っているので計測できる」というところまでに留まってしまい、それがどういう仕組みで動いているのかを知ろうとしない、といったことです。Javascript という単語は知っていても、それがどういう挙動で計測につながるのかには興味が及ばない。

もし興味があって、ある程度の知識があれば、このタグを少し工夫すると、実はこういうターゲティングもできるのではないかと新しい施策が考案できたり、すぐ消えていってしまうフラッシュアイデアを本当に形にできたりするのではないかと思います。例えば、「これから Cookie が使えなくなるかもしれない」といった議論があったときにも、何が影響を受け、何が影響を受けず、どう対応すべきか、また代替としてどのような技術があるのかに想像が及んだり、先回りして顧客と議論したり提案することができます。

みんながみんな技術的なバックグラウンドがあるわけではないので個人差があって当然ですが、興味さえあれば詳しい人に聞くことも出来ますし、一緒に仕事をしていく上で新しいアイデアを生むことができると思います。ほんの僅かの差、知ろうとする姿勢(知的好奇心)がこの分野で競争力を高めていく上で大事なのではないかと思います。

このように、マーケティングとテクノロジーが個人の中で融合することが、本当に面白い世界を生み出せることにつながるため、今後そういう人材へのニーズが増えるし、何よりもその人たちは本当に楽しい仕事ができる世界になるのではないでしょうか?


●そういう人をどのように見出していくべきなのでしょうか。もしくはどうしたらそうなるのでしょうか。

業界全体がもっと魅力的にならないといけないのかなと思っています。代理店でも採用や教育は難しいと悩んでいらっしゃるケースが多いと思います。

アクイジオがそこで貢献できることは、オペレーションを手漕ぎからエンジンへ変えていくことです。手漕ぎからエンジンに変われば、当然動かす人に求められる能力や職務が変わってきます。

求められる職務が変わっていく中で、根っこの仕組みを知っている人は、変化においてステップを踏んでいきやすいと思います。エンジンが搭載されたことによって運用者の職務を奪うのではなくて、運用者がより職務の幅を広げていきやすくすることに繋がるのかなと考えます。


運用者がちゃんと評価される環境に


●運用型広告の今後とご自身のキャリアについてお聞かせ下さい。

私自身、代理店で仕事をしていく中でずっと「頑張っている人を助けたい」と思って仕事をしてきました。現場の運用者は本当に頑張っているので、ソリューションで彼らを助けられないかと。

繰り返しですが、運用型広告というくらいですから運用が価値なので、運用している人がちゃんと評価される仕組みを作らないといけません。運用者の市場価値が上がっていかないと、言葉は悪いですが使い古されて辞めてしまう人が出てきかねないと思っています。この業界にいるといろんな経験ができて成長できる、そういう環境にしていくことに少しでも貢献していきたいと思っています。

あと、運用型広告はオペレーションの視点からコンサルティングの視点へ移行すると考えます。コンサルティング、というと捉えようのないイメージがありますが、これだけたくさんのデータが取れる世界なので、データをより高度に分析して、効果的だったりチャレンジングな施策を創作して、次のアクションへフィードバックしていく力を付けなければいけません。例えば、検索であれば検索クエリがユーザーのモチベーションを表わしているように、データという宝がたくさん眠っている世界なので、その宝をうまく活かして企業の発展に貢献できる仕事だと信じています。


●本日は貴重なお話、ありがとうございました!


アクイジオジャパン株式会社
http://www.acquisio.co.jp/



2014年9月29日月曜日

ショッピング向けAdSenseが拡げる、商品リスト広告(PLA)の可能性


商品リスト広告(PLA)へ予算をシフトする大手広告主

2012年に本格的にスタートした商品リスト広告(以下:PLA)は、ほんの僅かな期間でEコマースの検索連動型広告において主役とも呼べる位置にまで急成長しました。

2014年初頭に「2014年末までに、Eコマース事業者が PLA に割り当てる広告費は、検索連動型広告の予算総額の3分の1に達するだろう」という Marin Software の予測が出ていましたが、今ではその予測を上回るほどドラスティックに予算配分を変更している企業も多いのではないでしょうか。

参考:2014: Year of Google Product Listing Ads | Marin Software


実際、Adgooroo が60,000クエリを元に調査した 2014年第二四半期(4−6月)の広告主別のデータによると、広告費上位のEコマース事業者は、その広告費の過半を PLA に割り当てているという驚くべき結果が報告されています。


参考:Top Paid Search Advertisers Spent 63% of Budget on Product Listing Ads | Adgooroo


eBayの判断に学ぶ、大規模Eコマースの広告運用トレンド」という記事でも触れていますが、2012年まで実に2億近くのキーワードを入稿していたeBay(↑の表で6位)が、2014年では完全に振り切って予算の大半を PLA に割り当てているという事実が、Eコマースの広告運用のトレンドを如実に表していると言えるのではないでしょうか。

ちなみに、3位の Amazon がまったく PLA を利用していないのには、PLA が Amazon の商品検索広告 Amazon Sponsored Products と完全に競合するため、マーチャントセンターにデータを開示していないからだと思われます。


Eコマースリスティングの主役は PLA へ

上位の広告主の状況が示すように、PLA の市場規模も順調以外の何者でもない勢いで成長を続けています。

RKG が発表した2014年第二四半期(4−6月)のレポートによると、PLA の Bing版である Bing Product Ads を含む商品フィード広告費は、前年同期比で72%増加しており、急成長した2013年から勢いはまったく衰えないまま伸長を続けていることが分かります。Bing Product Ads が正式に開始したのは2013年の第三四半期からなので、実質このデータは PLA のみのデータだと捉えて問題ないと思います。

参考:Google Sees Overall Growth Accelerate in Q2, Yet Still Has Opportunity to Expand PLAs - RKG


PLA はこれまで、通常の検索連動型広告と比べてクリック率やコンバージョン率が高く CPC が低いという、ROI で判断したときに優位性があるという理由で伸びてきていました。

実際、Marin Software がつい先日(2014年9月)発表した白書「THE 17 TRENDS, PUBLISHERS, AND BEST PRACTICES EVERY RETAILER NEEDS TO KNOW」でも、2013年1月から2014年6月までの1年半の計測期間を通じて、常に PLA の方が通常の検索連動型のテキスト広告のクリック率を上回っていることが示されています。

参考:The 17 Trends, Publishers, and Best Practices Every Retailer Needs to Know | Marin Software


一方で、最近の調査では、PLA の CPC に関してはもう以前ほど割安感はなく、ほぼテキスト広告と変わらなくなってきているという結果も出ています。

これは、前述の広告主の広告予算比率が示すとおり、Eコマース事業者が ROI の見合わないキーワードの予算を PLA にシフトしていることで、PLA のオークションプレッシャーが高まるのと同時に、相対的に検索連動型広告のキーワードのBroad Terms(一般ワード)比率が下がり、 Branded Terms(社名キーワード)の比率が高くなることで、以前より両者の CPC が拮抗してきていることを示しています。

参考:Google Sees Overall Growth Accelerate in Q2, Yet Still Has Opportunity to Expand PLAs - RKG


もちろん、PLA のコンバージョン率は引き続き高いため、通常のテキスト広告より ROI に貢献しやすい状況は継続しています。言い換えれば、PLA は社名ワード以外ではほぼ最優先の施策になってきた、ということになるのかもしれません。


「効果が良い」以外の成長ドライバー

PLA が急成長している理由は、効果だけでなくその仕組みにもあるという点も忘れてはいけない事実です。

PLA はプロダクトフィードをもとに自動的に広告が生成される仕組みのため、マーチャントセンターと商品データベースのつなぎ込みさえできれば(および適切な中間処理ができれば)、Eコマースリスティングの運用で企業を悩ませてきた「キーワード数が肥大しがちで、入れ替わりが激しい」「そのため、広告費以外の部分で運用コストが非常に高い」という問題も同時に解決できるという利点があります。

PLA が登場する以前は、システム投資が可能な一部の大きなショッピングサイトや、サードパーティツールを利用する広告主以外では、キーワードや広告入稿等のオペレーションの自動化は難しかったのが実情でしたが、PLA や DSA(動的検索広告)など、フィードデータやクローリングによる広告作成技術の進歩・多様化によって、ヘタなマニュアル運用よりも場合によっては精度が高く、広告効果も高い配信が可能になりました。

PLAを始めとした新しい広告配信方法によって、最大手の広告主以外でもデータベースやウェブサイトと連動した広告の利用が急速に進むことになり、結果的に運用の効率化にも結びついていると考えられます。

実際、2014年8月に行われた、米国を含む主要5カ国の大規模Eコマース事業者(従業員が200人以上)240社を対象にした Forrester と Google の共同調査によると、自社のリスティング広告運用を半分もしくはそれ以上自動化している企業は全体の 75% にも及び、完全自動化している 8% の企業を含めると、全体の8割以上が運用の大半を自動化しているという調査が出ています。


参考:think.storage.googleapis.com/docs/faster-pace-for-retail-paid-search_research-studies.pdf


何を「自動化」と呼ぶのかは企業によって違いがあると考えられるものの、「マニュアル部分が多いが一部自動化している」という企業も全体の 16% あることから、広告技術を活用した運用自動化は、煩雑になりがちなEコマースリスティング広告において、既にトレンドというより常識に近いレベルだと言って差し支えないと思われます。

ここで重要なのは、「自動化だから人手が要らない」ということではなく、自動化の促進によって、手動で行う仕事が高度化(上流工程へのフィードバックや、分析の多様化)し、マニュアル作業の重要性が一層高まっているということだと思います。自動化が進めば進むほど、仕組みを理解して適切な意志決定ができる人材の市場価値は以前より高まるものと考えられえます。


PLA の抱えていた広告在庫問題

急拡大する PLA の需要を支えるため、Googleは、モバイルPLA の展開や、PLA が表示されるクエリの閾値の調整、ローカル在庫広告の展開など、様々な対策を短い期間で立て続けに行なってきました。

しかしながら、PLA はあくまで検索連動型広告であるため(ディスプレイの場合は「動的リマーケティング」)、コマーシャルクエリと呼ばれる購買意向がある程度見込まれる検索クエリの回数がそのまま広告在庫数になります。購買に繋がる検索数が増えない限り、どこかで規模の拡大が頭打ちになってしまう構造です。

検索連動型広告には、Coverage(カバレッジ:検索クエリに対して広告が表示される割合)と Depth(デプス:検索クエリに対して表示される広告の本数)という概念がありますが、PLA は商品情報を表示する広告である以上、広告表示はコマーシャルクエリに限るため、カバレッジは極端には増やせません。そのため、これまでは Depth にフォーカスが当たっていました。

これはつまり、どうすれば検索体験を損なわずに PLA の広告ユニットを増やせるのか、という工夫が必要なことを意味します。PLA は画像や価格などの商品情報を検索結果に表示する広告であるため、テキスト広告より検索結果に表示面積が必要です。通常のテキスト広告より Depth に制限があるということです。

表示面積を広げすぎて検索結果の画面が商品画像で埋め尽くされるようなことになってしまうと、検索エンジンそのものの利便性が損なわれ、ユーザーが離れてしまう危険性があるため、表示面積とユーザーの利便性を損なわないギリギリのバランスで検索結果を表現するために、これまで Google は短い期間でさまざまな表示形式の変更をテストしていました。

例えば、Carousel(カロウセル)というヘッダーロールテストは、まさに Depth を増やすために行われていたと考えられます。

参考:PLA-carousel | CPC Stragegy


広告在庫を拡張する「ショッピング向けAdSense」

表示面積の少ないモバイルデバイスの急速な伸びも PLA の平均Depth にマイナスインパクトがあるため、拡大する PLA の成長率を維持するためには、表示形式以外での広告在庫の増加こそが差し迫った重要な課題だったと推測できます。そこで2014年9月に登場したのが、「ショッピング向けAdSense」と、「PLA の検索パートナーへの拡大」です。



参考:Google Brings PLAs To Third-Party Sites Like Walmart.com


このショッピング向けAdSense(AdSense for Shopping)は、リテールサイトに特化した AdSense の新しいユニットで、PLA のみこの枠のオークションへ参加することができます。

リリースにもあるように、AdWords の広告主は、ショッピングキャンペーンの設定で「Google 検索パートナー」が有効になっていれば、ショッピング向けAdSense のあるサイトでのサイト内検索をしたユーザーに広告を表示することができます。AdSense側からすると、検索向けAdSense の PLA 版ということになり、既に存在している動的リマーケティングはコンテンツ向けAdSense に表示されますので、フィードを利用した広告が出る枠としては、それぞれ棲み分けることになります。

ショッピング向けAdSense があるサイトは、2014年9月のリリース時には Walmart.com しか公開されていませんし、参加するにはフォームから申請する必要があるため、普及しているコンテンツ向けAdSense のように大小さまざまなサイトが大量にあるというよりは、一部のショッピングモールや比較サイトなどが中心になると考えられます。


参考:Inside AdWords: Extend the reach of your Product Listing Ads to qualified shoppers


通常のテキスト広告と同様、パートナーでの表示結果は品質スコアに影響しないという旨がリリースには明記されていますので、品質の計算はGoogleプロパティのみで行われることには変わりがないようです。また、通常の検索連動型広告と同様に、個別の検索パートナーごとの結果を確認することはできません。


一般には、「サイト上の広告枠=ディスプレイ広告」として認識されており、アドテクの話題はディスプレイ広告のターゲティングに偏りがちですが、サイト内検索にはユーザーのその瞬間の興味が明確に現れていますので、興味関心をわざわざ類推するよりも関連性の高いターゲティングが可能です。ショッピングサイトの収益化にとってもプラスに働くことが期待できると考えられます。

ショッピング向けAdSense は、PLA を利用する広告主が増加し、広告在庫を拡げる必要に迫られたからこそ出てきた仕組みだと思います。ショッピング向けAdSense によって、商品情報の活用性はますます拡がっていくと同時に、商品情報の活用がEコマースのマーケティングにおいて非常に重要なカギを握ることが改めて明らかになったような気がします。

商品フィード広告の進化はこの2年ほどで急速にその速度を上げています。引き続きこの分野には注目していきたいと思います!



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