2014年11月20日木曜日

ショッピングキャンペーンの6つの更新(2014年11月)を考える


商品リスト広告や動的リマーケティングなど、ショッピング周りのアップデートが絶えない Google AdWords ですが、感謝祭からブラックフライデー、そしてクリスマスシーズンに突入する直前の11月下旬という1年で最もEコマースが盛り上がる非常に大事な時期に、幾つかのアップデートが同時に発表されました。

今回は主に分析や指標周りの更新が多い印象です。公式ブログの説明を参考に、今回のアップデートがどのように運用に活かせるのか考えてみたいと思います。


参考:Inside AdWords: New ways to rev up your Shopping campaigns


今回のアップデートは、かんたんにまとめると以下の6つになります。

ショッピングキャンペーン

・「オークション分析」機能の追加
・「検索広告のインプレッションシェア」の精度が向上
・「オークション分析」でデバイスと時間の分割が追加
・「入札単価シミュレーション」項目が追加
・商品グループ単位でのソート機能の追加

マーチャントセンター

・「診断」タブの導入

以下、順に見ていきたいと思います。


①「オークション分析」機能の追加

キャンペーン、もしくは広告グループの「詳細」から「オークション分析」を選択すると、他の検索連動型広告キャンペーンと同様のオークション分析レポートが確認できます。




このオークション分析には「インプレッションシェア」「重複率」「上位表示シェア」という新たな3つの項目が追加されています。

「重複率」は、該当するショッピングキャンペーンの広告にインプレッションが発生した際に、同時に他の広告主の広告が掲載された割合で、「上位表示シェア」は、オークションに参加した他の広告よりも自社の広告が上位に掲載された、もしくは他の広告が掲載されずに自社の広告が掲載された割合のようです。

残念ながら現時点では広告グループより細かいレベルではレポートが出ませんが、商品グループと広告グループがある程度揃っていれば強いカテゴリと弱いカテゴリはある程度分析が可能かと思います。ベンチマークCPCなどと照らし合わせながら、入札とマーチャントフィードの両面から施策を練ることができるようになりました。

また、あとの項目でも触れますが、このオークション分析レポートは期間とデバイスで分割が可能ですので、デバイスごとの成果を見ながら入札の強弱を設定する根拠としても使えそうです。


②「検索広告のインプレッションシェア」の改善

検索広告のインプレッションシェアの項目は、これまではキャンペーンレベルでの確認でしたが、今後はより細かいレベル(IDレベル)での確認ができるようになりました。




通常の検索連動型広告と同様のレベルで確認が可能になります。運用自体はこれまでと変更はありませんが、変化の原因が広告ランクなのか予算なのかが判断しやすくなります。なお、今回の変更によって10月と比較してインプレッションシェアが変化している可能性があります。


③「オークション分析」でデバイスと時間の分割が追加

オークション分析レポートは期間とデバイスで分割が可能になったため、デバイスごとの成果を見ながら入札の強弱を設定する根拠としても使えそうです。

土日にモバイル経由のクリックが増える、といった傾向もより掴みやすくなりますね。



④「入札単価シミュレーション」項目が追加

商品グループタブの表示項目に、「入札単価シミュレーション」が追加になりました。通常はマウスオーバーして表示させる入札シミュレーションが、表示項目として利用できます。

これはちょっと Google にしてはいやらしいというか、外連味のある更新だと思います。商品リスト広告はSERPに表示できる広告ユニット数が限られている広告のため、「インプレッションが出ない」という相談が多いのですが、マーチャントフィードの改善でどれだけインプレッションが増えるかは未知数のため、どうしても入札で補完しに行きがちです。

レポート項目として追加されたことでデータとしては扱いやすくなったので、どうしてもショッピングキャンペーンのトラフィックを増やしたいときには参考になる反面、オークションの加熱を大っぴらに奨励しているようで、ハイシーズン前とはいえ随分とあけすけですなあ、という印象も持ってしまいますね。




⑤商品グループ単位でのソート機能の追加

商品グループ単位の表示形式にフラットビューが追加されました。これを選択すると、これまで項目ごとのソートが階層ごとに表示されていたものが、広告グループ内の商品グループを跨いでフラットに表示されるようになります。

これは表示形式の更新なので直接的にキャンペーンへの影響はありませんが、各項目ごとに該当する商品グループがひと目で分かるようになりますので、これまでより格段に分析がしやすくなります。個人的には一番ありがたいアップデートかもしれません。




⑥「診断」タブの導入

このアップデートだけ、ショッピングキャンペーンではなくマーチャントセンターの変更です。「診断」タブによって、マーチャントフィードや商品アイテムに関するレポートを一覧でき、商品データの不備、有無、重要なエラーへの対処がしやすくなります。

また、商品アイテムのステータスを過去にさかのぼって確認したり、不承認となったすべての商品アイテムとその原因が記載されたレポートのダウンロード、統計情報なども確認できるようです。


参考:Inside AdWords-Japan: Merchant Center の [診断] タブで問題解決がよりシンプルに


他にも、マーチャントプロモーションが米国以外の国(日本は含まれず)にも公開されるなど、2014年の Google のショッピング関連の更新は昨年に続いてかなり頻度が高かった印象です。(まだあるかもしれませんが…)

ショッピングキャンペーンを始めとした商品フィード広告の進化は今後も引き続き続いていきそうです。商品リスト広告の市場規模はこの2年で急激に拡大していますので、今後も重要なアップデートがあれば継続的に記事にしていきたいと思います!



【2014年11月25日 追記】

今回の更新に合わせて、モバイルおよびタブレットでの表示も大胆に切り替えてくるようです。

Inside AdWords: Richer mobile shopping experience this holiday season

具体的には、以下の3点が追加変更されています。

・商品情報の拡張詳細表示(タブレット/スマートフォン)
・ローカル在庫広告の追加表示(タブレット)※12月24日まで
・商品画像の360度表示(スマートフォン)


これだけモバイル推しの変更が追加されると、今シーズンのデバイス別の結果がどう変わるか注視する必要があるかもしれません。なお、モバイルは表示面積が少ないので、オークションはかなり加熱しそうです。掲載の確認は、更新された③「オークション分析」でデバイスと時間の分割で結果を確認しましょう。話が出来すぎで何だか悔しいですが…



2014年11月12日水曜日

AdWordsの共有ライブラリ「入札戦略」レポートが刷新


共有ライブラリの「入札戦略」がアップデート

AdWords の共有ライブラリにある「入札戦略」がアップデートされました。今までより使いやすくなっています。


参考:Better reporting on your flexible bid strategies starts now(Google+)


今回新たに改良された点は大きく分けて以下の2つがあります。


(1)通常のキャンペーンと同様のグラフおよびサマリーが追加

(2)「入札戦略ステータス(bid strategy status)」が追加


今回の変更によって、入札戦略ごとの推移や比較を視覚的に確認できるようになるほか、各入札戦略のステータスが分かるようになるため、特にコンバージョン最適化系の入札戦略(目標CPA、目標ROAS、拡張CPCなど)がどういった状態にあるか把握できます。

ビジュアルで比較できるようになったことも意義がありますが、今回は(2)の入札戦略ステータスの確認ができるようになったことが大きいと思います。例えば、コンバージョンデータが少なく機械学習の途中(最適化がまだ十分でない段階)では、ステータスは「learning」(※)と表示されるため、現在の入札戦略のデータが十分かどうか、最適化された上での結果なのかどうかを判断することができるようになります。

共有ライブラリの「入札戦略」はこれまで積極的に使われている印象がありませんでしたが、今回のアップデートによって使う意味が出てきたように思います!


※ステータスの一覧はこちらのヘルプページにあります。
入札戦略ツールを使用する - AdWords ヘルプ



2014年11月7日金曜日

GoogleがRLSA(検索広告向けリマーケティング)のベストプラクティス資料を公開



RLSA(検索広告向けリマーケティング)資料

先日のアドワーズ入札自動化チェックリストに続き、アドワーズのベスト・プラクティスシリーズに、RLSA が加わりました。

以下の URL から PDFファイルをダウンロードできます。


リンク:
Inside AdWords: Winning the Second Chance with Remarketing Lists for Search Ads (RLSA)

PDF:
services.google.com/fh/files/misc/google-winning-the-second-chance-rlsa-best-practices.pdf


この資料は大きく分けて「設定(Set Up Smart)」「セグメント(Segment Your Prospect)」「入札(Bid For Success)」に分かれており、それぞれに詳細な説明もしくはかんたんな事例がついています。

設定(Set Up Smart):タグマネージャーを利用することによってコードの管理変更をウェブマスターからマーケターに移管し、施策の即時性を上げる有用性が説明されています。Google Tag Assistant も紹介されています。

セグメント(Segment Your Prospect):ディスプレイ向けリマーケティングと違いリストが1000以上必要なことが言及されているほか、代表的なリストである「訪問者全体」「カート放棄」「直近の購入者」について説明されています。組み合わせリストにも触れています。
また、ターゲティングである「掲載先の絞り込みと入札単価」「入札単価のみ」についても、以下のような比較表で使い分けが説明されています。



入札(Bid For Success):RLSA の対象になるリストについては、見込み顧客である可能性が高いことから、入札を引き上げることを推奨しています。また、一般によく言われるように意味の広いキーワードやマッチタイプを広げて入札することも勧めています。


その他の RLSA 関連資料

今回のベストプラクティス資料は、非常にシンプルな作りになっています。正直「もっといろいろやってます」という感想を持つアドワーズ関係者も多いのではないでしょうか。RLSA の応用にはアイデアと戦略が必要なため、どうしても最大公約数的な資料になってしまうのは否めないかもしれません。

RLSA は日本語の事例や資料も充実しています。まだの方はご一読を!


検索広告向けリマーケティング(RLSA)の概要と設定方法 - AdWords ビジュアルナビ

アナグラム株式会社 | 「どのキーワードに出す?」から「誰に出す?」で大きく成果が変わる、検索広告向けリマーケティング(RLSA)の解説と設定方法

Inside AdWords-Japan: 3 つの Google サービスで検索広告を完全自動化 - 運用コストの低減とコンバージョン数の拡大に成功

アナグラム株式会社 | 動的検索広告と検索広告向けリマーケティングを合わせて使って劇的に売上を上げるGoogle アドワーズ運用テクニック


なお、Google はこれまでも幾つかのベストプラクティスを発表しています。こちらのURLに一覧になっていますのでご参照下さい。

リンク:Google Best Practices - AdWords Help



2014年11月6日木曜日

GoogleがAdWordsの入札自動化チェックリストを発表



入札自動化のチェックリスト

Google が以前から定期的に出しているベスト・プラクティスシリーズに、入札の自動化についてのチェックリストが加わりました。完全版とダイジェスト版があり、それぞれ以下のURLからダウンロードできます。


リンク:Inside AdWords: Unlock the Power of Auction-Time Bidding in AdWords  

完全版:services.google.com/fh/files/blogs/google-automated-bidding-best-practices.pdf

ダイジェスト版:services.google.com/fh/files/blogs/google-automated-bidding-checklist.pdf


チェックリストは10項目と非常にシンプルですが、入札の自動化の基本から解説、導入までのステップなどが丁寧に書かれており、非常に親切なドキュメントになっています。

特に考え方から導入までに多くの項目が割かれていることから、入札の自動化における勘違いや不適切な運用が多いことが推察されますね。

以下、ダイジェスト版を抄訳してみましたのでご参考下さい。


すべてのオークションごとへ入札

〜アドワーズの自動入札を導入し、活かしていくためのチェックリスト〜

(1)ユーザーの文脈に合わせて入札すること。つまり、可能な限りオークションが発生するごとに入札するということ。


(2)自動化の本当の価値を理解すること。それによって時間を節約する。


(3)ビジネスの目的に沿った入札戦略を選択すること。


(4)正確なコンバージョンデータを基に入札を自動化すること。


(5)パフォーマンスのあるキーワード群を体系化し、入札ポートフォリオを設計すること。


(6)テストしやすい大きなキャンペーンを選択すること。


(7)これまでの実績(CPA/ROAS)に沿った設定でスタートすること。


(8)テストはシンプルに。一貫した1つのKPIをテストすること。


(9)頻繁にテストや設定を変えないこと。


(10)実績が極端に変化した際は技術的な問題や実装の問題の可能性が大きいので、可能な限り迅速に対応すること。




自動入札について考える

余談ですが、今回の記事では「自動入札」ではなく「入札の自動化」と表記しました。「自動入札」は、一般的にサードパーティのトラッキングシステムから判断したデータに沿ってプラットフォーム側に上限入札単価の変更を自動的に命令する仕組みを指すことが多いですが、このベストプラクティスで表現されている「Automated biddng(Auction-based bidding)」言葉は似ていますがニュアンスが微妙に異なるのではないかと考えています。

わざわざ、「オークションごとの入札変更」と表記していることからも、単に結果だけを見て上限入札単価を機械的に変える一般の「自動入札」とは意味が異なることを示唆しているように思います。オークションごとに判断できる様々なシグナル(デバイス、時間、場所、履歴、ユーザー属性等)に沿ってプラットフォーマー側で実入札を判断する仕組みは、オークションごとの判断である以上サードパーティでは実現不可能なことです。

チェックリスト(完全版)にある図を拝借すると、以下のようになります。正確で充分な量のデータがあるキャンペーンで一定期間 KPI に合わせて実施できれば、単純に CPA に合わせて上限入札単価を上げ下げする運用より成果が出るのは当然のようにも思えます。




一方で、この考え方は精度や頻度は圧倒的に高い反面、プラットフォーマーに異存するというリスクもあります。欧米のような Google が独占的な市場では判断を待たないかもしれませんが、沢山のチャネルを活用している大規模広告主にとっては経営判断が必要な部分でもあります。どちらがいいというものではありませんが、自動化をはじめとして、テクノロジーに寄り添いながら運用効率を高めていくことが今後の運用者には必須の能力になっていくでしょう。

マニュアルの入札業務が減っていく反面、入札ポートフォリオを設計する能力(≒アカウント構築能力)はますます価値が高まっていくと考えられます。


その他のベストプラクティス

なお、Google はこれまでも幾つかのベストプラクティスを発表しています。こちらのURLに一覧になっていますのでご参照下さい。

リンク:Google Best Practices - AdWords Help


AdWords以外のチェックリストは、以前の「リスティング広告(特にAdWords)チェックリストまとめ」もご参照下さい!




2014年11月4日火曜日

IABがプログラマティック・ダイレクト取引の標準APIを公開



OpenDirect 1.0 の発表


2014年11月3日、IAB(Interactive Advertising Bureau)は ニューヨークで行われていた AdOps Summit 2014 の場で、プログラマティック・ダイレクト(プログラマティック・プレミアム)と呼ばれる広告在庫予約型固定単価取引の標準API である「OpenDirect 1.0」を発表しました。



IAB Releases OpenDirect 1.0 For Public Comment of Specification That Provides Publishers Greater Control in Packaging, Buying and Selling Premium Inventory Through Programmatic


「OpenDirect 1.0」は、プレミアム在庫の自動取引のプロトコル(取引手順)を標準化することで、売買を行うセルサイド、バイサイド双方にとって信頼性や効率を強化する目的で発表されたもので、約1年前である2013年9月に AOL、マイクロソフト、ヤフー、Yieldex(後にMediaMathなども参加)によって結成された標準化ワーキンググループの活動が結実したものだと言えます。

この仕様によって、パブリッシャー(メディア)には以下のようなメリットがあるとされています。

・ワークフローの効率化の促進
・広告在庫の配信やプライシングなどの管理強化
・取引自動化の信頼性強化


多くのパブリッシャーが参加することで、代理店や広告主にも以下のようなメリットがあります。

・データの流動性や鮮度の担保
・複数メディアを1つのAPIで取引できることによる効率化
・アドエクスチェンジではアクセスできないプレミアム在庫の予約




APIのドキュメントは既に公開されており、102ページにも及んでいます。


リンク(PDF):www.iab.net/media/file/OpenDirect_V1.pdf

高まるプログラマティック・ダイレクトへの期待



eMarketer によると、プログラマティック・ダイレクトは、ディスプレイ広告のプログラマティック取引の中でも最も伸びる分野だと捉えられており、オープンRTBと比べてまだ規模は小さいものの、年率数倍の成長カーブを描き続けると予測されています。

US Programmatic Ad Spend Tops $10 Billion This Year, to Double by 2016 - eMarketer


プログラマティック取引の種類については、プラットフォーム・ワンさんの以下のページ、もしくは対談シリーズ「State of AdOps」でも詳述されています。ぜひご一読下さい。

プログラマティックと自動取引 -媒体社の視点から- | プラットフォーム・ワン 

テクノロジーが、パブリッシャーの武器になる −プラットフォーム・ワン 田辺雄樹氏 #State-of-AdOps Vol.10 ~ admarketech.


現在のアドテクノロジー分野は、中間のプレイヤーの乱立→合従連衡という過渡期にあることで、プロトコルが複数存在し、スケールメリットが出しにくく事業者の開発工数が肥大しがちなことが、今回の標準化を要請したものと思われます。

この標準化にどれだけのプレイヤーが参加するのか、巨人は動くのか、しばらくは見守っていく必要がありそうです。




Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...