Twitter のつぶやきがそのまま広告原稿になるアフィリエイトサービスが、アクセストレード社から発表されました。
広告主のツイートを広告原稿として活用する「ツイートガジェット型広告」:MarkeZine(マーケジン)
インタースペースのアフィリエイトサービス「アクセストレード」で提供を開始した「ツイートガジェット型広告」は、広告主がツイッターで発信するツイートを、広告を掲載するアフィリエイト・パートナーが広告原稿として掲載するサービス。広告主がツイッターで配信している、新着情報やセール情報といったリアルタイム性のある情報を掲載することで、広告成果につなげることが期待できる。
この記事を見た時に、「ああ、見たことある」と思いました。Google も1年と少し前に、同様のネタを一部の広告主に向けてディスプレイネットワークで実現するテストをしているからです。
Google Quietly Brings Twitter Feeds to Display Ads | ClickZ
(訳:グーグルがこっそりとツイッターのフィードをディスプレイ広告に持ってきた)
このネタは、当時「インターネット広告のひみつ」さんでも取り上げられています。
このAdWords によるTwitter連動広告は、一部の広告主だけのサイレントローンチだったこともあり、現在もオープンにされていないのか(もしくは終了したか)、AdWords のディスプレイ広告ビルダーにも見ることはできません。(2011年10月現在)
ディスプレイ広告ビルダーは、4年ほど前にGoogle が発表した「Google ガジェット広告」がやや早すぎたフォーマットだったためあまり広がらなかった反省をもとに進められた(と思う)、静止画だけでない、さまざまな使い方ができるディスプレイ広告のフォーマット集で、AdWords のアカウントさえあれば誰でもかんたんに動きのある広告を作ることができます。
ガジェット広告が出た当時は、Flashなどのフォーマットとの比較や、ブログパーツやデスクトップガジェットとの比較などの文脈で理解されたように記憶しています。これはおそらく広告主がユーザーとのインタラクションをしたいときに、わざわざクリックしてウェブサイトに飛んでもらわなくても、広告上でコミュニケーションを完結できる、もしくはある程度コミュニケーションを深めた上でウェブサイトに着地させられるということが売り文句の一つだったはずでした。
しかし、結局その後の数年間で、企業がユーザーと対話する場所は広告ではなくFacebookやTwitter のようなソーシャルメディアが主役になり、ガジェット広告はその後語られることなく、ディスプレイ広告ビルダーのフォーマット増加に反比例するように、静かになくなっていったように思います。
ところで、ソーシャルメディアの隆盛とともに、近頃は「ソーシャル広告 (Social Ads)」という言葉が聞かれるようになっています。先月(2011年9月)に行われたTechCrunch DisruptでのGokul Rajaram氏(元Googleで、今はFacebookの人)の言葉を借りれば、ソーシャル広告とは
”The social ad itself is a brand message paired with a social”
(ソーシャル広告それ自体、ソーシャルとともにあるブランドメッセージである)
なので、別にソーシャルグラフをターゲティングに利用とか、コストパーエンゲージメントとか言わなくても、この「ツイートガジェット型広告」も、立派に「ソーシャル広告」だと思います。
余談ですが、データフィード型の広告には、広告の審査の問題が、普及への一つの課題になる可能性があります。
どんな広告でも掲載までの審査があります。テキストでもイメージでも動画でも、入稿されたデータに対して掲載基準を満たしているかどうかが審査対象ですが、フィードされるデータがリアルタイムで更新されるような広告フォーマットは、都度の審査が原理的に難しい以上、アフィリエイト事業者と広告主それぞれの、広告に対する節度が問われることになるかもしれません。
なぜTwitter型のGoogle AdWords広告が広まらなかったのか、それを過去の学びとして考えることで、この「ツイートガジェット型広告」の浮沈も見えてくるのではないでしょうか。
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