動画広告向けAdWords 活用のススメ

YouTube がやはりナンバーワン動画サイト

近年、動画を使用したキャンペーンは特別なものでなくて当たり前のものとなりつつありますが、その中心的な立役者の一人がYouTube であることは間違いありません。


ComScore が最近発表したデータによると、2012年7月の米国の動画サイトののべ視聴者数は1億8,400万人を超え、YouTube はそのうち実に85%を超えるシェアを誇っていました。1視聴者あたりの閲覧時間も1ヶ月あたり8時間を超えており、他のサイトを圧倒的に引き離しています。

comScore Releases July 2012 U.S. Online Video Rankings - comScore, Inc



動画を利用したマーケティング手法は数多くありますが、自前でストリーミングをするのでなければ、世界で最大のユーザー数を誇るYouTube をまずは利用してみようという考えは、マーケターにとっては至極合理的なのではないかと思います。

YouTube が一般的になってきて動画を利用する敷居も下がってくるのと比例して、動画をプロモーションする敷居も下げようと、Google はAdWords とYouTube の連携を積極的に進めています。



再編されたTrueView

これまで、AdWords で出稿可能な動画広告といえば、以前からあるGoogleディスプレイネットワーク向けの「Click to Play 動画広告」と、「YouTube プロモート動画」が代表格でしたが、2012年になってからこういったAdWords プラットフォームを通じた動画出稿のメニューが再編され、現在はTrueViewシリーズとしてまとめられています。

これまでのTrueView というと、動画の最初にCM的に挟まれる広告(インストリーム広告)というイメージでしたが、旧プロモート動画で掲出可能だった検索連動型広告や、YouTube内の関連動画、Click to Play フォーマットだったディスプレイネットワークに出す動画などもTrueView という広告メニューの一つとして位置づけられています。

TrueView の紹介動画

※音声は英語ですが日本語字幕がつきます

TrueView 動画広告 – Google 動画広告
http://www.google.co.jp/ads/video/advertisers/ad-formats.html


動画にもあるとおり、TrueView は以下の4種類になります。

TrueView インストリーム広告
YouTube パートナー動画のプレロール、ミッドロール、ポストロールとして再生され、広告が5秒間表示された後、広告をスキップするか動画コンテンツに進むかを選択できます。
広告が30秒間再生された場合にのみ課金され、広告が30秒未満の場合は最後まで再生されたときに料金が発生します。

TrueView インスレート広告
10分を超える長い動画(YouTube パートナー動画)の前に表示され、ユーザーが動画を再生する前に3つの広告のいずれかを見るか、動画の合間に表示される通常のコマーシャルを見るかを選択する形式です。
ユーザーが広告視聴を選択した場合に料金が発生します。

TrueView インサーチ広告
ユーザーの検索クエリに対してYouTubeの検索結果にハイライトされる広告です。
料金はユーザーが広告をクリックして視聴を開始すると発生します。

TrueView インディスプレイ広告
YouTube内のおすすめ動画や、ディスプレイネットワーク上の関連するコンテンツに表示される広告で、どちらに出すのか(あるいは両方か)が選べます。
料金はユーザーが広告をクリックして視聴を開始すると発生します。


上記のうち、インストリーム広告は主に動画の再生前に表示されることから、TVCMと同じような利用のされ方が想定されます。30秒で課金するという仕様からも想像されるとおり、ユーザーが動画を見る前におじゃまするような表示のされ方が多いので、あまり長すぎて最後まで見てもらえないと広告の目的が達成されないばかりか逆に不快感を与えかねないため、通常の動画をそのまま使うというよりは、インストリーム広告のフォーマットに沿った短くてインパクトのある動画を作ることが肝要と言えるでしょう。

インストリーム広告に似た形式にインスレート広告がありますが、こちらも動画の再生前に流れるという意味では同じである一方で、10分を超える長い動画の前にのみ流れ、ユーザーが3つの広告から選択できるところが特徴です。長い動画の前のみというところから、映画の予告編のような扱いになると思います。CMのショートバージョンをインストリーム広告で、ロングバーションをインスレート広告で作成というのが、スタンダードな制作方針になるのかもしれません。

インストリーム広告やインスレート広告は専用の動画を作成しないとなかなか成功がイメージしにくい一方で、インサーチ広告とインディスプレイ広告は従来のプロモート動画の延長で利用できるので、比較的とっつきやすいかもしれません。従来のプロモート動画でも「YouTube内の検索結果」と「おすすめ動画として動画の脇にハイライト」は出せましたが、TrueView になったことでこの2つを商品として分けて、インディスプレイ広告にはディスプレイネットワークへの配信方法の自由度を引き上げた、という感じでしょうか。

TrueView 動画広告の要件についてはこちらをご参照下さい。


多彩なターゲティング手法によって事例が増えていく

2012年の4月から正式に開始されている動画広告向けアドワーズ広告(AdWords for Video)は、これまでのキャンペーン>広告グループ>キーワード/広告 というAdWords のアカウント構造を、動画という軸で再編成したものです。考え方が異なるので、AdWords の管理画面の左側のメニューで初めから別の項目として立てられています。

AdWords for Video はYouTube を使うことが前提となっているため、AdWords で本来可能なターゲティングであるキーワード/トピック/プレースメント/インタレストカテゴリ/リマーケティングだけでなく、(3月のプライバシーポリシーの変更によって)ユーザー層(デモグラフィック)でのターゲティングなど、これまで以上にさまざまな手法が使えるようになっています。

以前から動画の活用は注目されていますが、ここにきて大手広告主だけではない、中小の広告主の事例も出始めてきています。

アウトドアキッチン用品のオンラインショップである ShoppersChoice.com が、TrueView インサーチとインディスプレイを使用してコンバージョンと見込み顧客の獲得に成果を上げている事例が Search Engine Watch に載っていたのでご紹介します。


YouTube TrueView Ads a Recipe for Success for BBQGuys - Search Engine Watch (#SEW)


ShoppersChoice.com は動画をマーケティングに上手く利用していて、彼らのチャンネルには800本を超えるバーベキュー用のレシピや器具の使い方のチュートリアル動画が格納されていて、見込み顧客の獲得に貢献しているそうです。

YouTube に動画を投稿し始めた当初は、8-10分程度の長めの動画を作成していましたが、データを分析することで、多くの視聴者が2分程度で動画から離れてしまっていることが分かったため、1つの細かなテーマに絞った短い動画をたくさん投稿し、動画の説明文やタイトルを意識して自然に見つけやすくすることを心がけたそうです。

何もしなくてもオーガニックで900回くらいは視聴回数があるようですが、それにTrueView のインサーチとインディスプレイを絡めることによって、今では一日あたり5,300回程度の視聴があるとのこと。

この事例ではコストの面にも言及されています。テーマが絞られたキーワードやテーマだということもあると思いますが、1視聴あたり2-3セント(3円程度)で、一日あたり3-5ドル(400円程度)の非常に安い価格でセールスリードを獲得することに成功しているそうです。

ShoppersChoice.com の専属シェフである Tony Matassa は、"我々は TrueView のキャンペーンで成功しました。実装が非常に簡単ですし、質の高い見込み顧客や多くのトラフィックを増やすことに貢献してくれています。購入してくれる方々は間違いなく私たちの動画をを見てくれています。 " と伝えています。


動画リマーケティングという手法

今後はこういった事例が増えてくると思いますが、一方で、AdWords for Video というのはクリエイティブが動画になっただけで、ターゲティングの方法はこれまでとそう変わりないことはAdWords に詳しい方であれば察しがつくと思います。Click to Play 動画広告を過去に試したことがある方も同様の感想ではないでしょうか。

これまであまり使われていないやり方として考えられるのは、動画のリマーケティングかもしれません。

AdWords for Video では、AdWords とYouTube のアカウントをリンクさせると、ユーザーのアクションに応じて以下のようないろいろな種類のリストを蓄積することができます。(リストが100を超えた時点で発動します)


※動画リマーケティングの種類


一般論としては、よほど人気があるか、多くの視聴数の多い動画をコンスタントに出しているチャンネルでないとリストはなかなかたまりにくいので、チャンネルをリストの条件として加えるのは厳しいかもしれませんが、動画を視聴したユーザーにリマーケティングができるのは魅力です。

動画をシリーズ化して新作が出たら視聴リストに対して告知したり、ティザー動画の視聴者に発売日の告知をするなどキャンペーンへ工夫を凝らしながら、インディスプレイ広告でYouTube 以外の媒体にも動画で告知するなど、いろいろとやり方が考えられそうです。もちろん、リストの保持期間やフリークエンシーキャップなどをかけて、ユーザーに嫌われない配信を心がけたいですね。

2012年8月にはスマートフォンでもTrueViewが使えるようになった模様ですので、ますます動画の活躍範囲は広がりそうです。ぜひ一度トライされてはいかがでしょうか。

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