2012年2月に 「モバイルの地域検索とローカルビジネス」というポストでモバイルネットワークのxAdが発表したローカル検索(地域検索)とモバイルの親和性についてのレポートを紹介しましたが、あれから1年半が経ち、以前よりさらにローカル検索におけるモバイルデバイスの重要性が鮮明になってきましたので、他のレポートも参考に情報をアップデートしてみたいと思います。
伸び続けるローカル✕モバイル
モバイルコマースの影響力の増大は既に周知のところです。以下のxAdのデータでも、北米では2013年はモバイルコマースがEコマース全体の15%に達し、そのまま堅調に推移して2017年には25%まで増えると予測しています。以前はモバイルコマースについては日本が突出していると言われていましたが、現在のモバイル先進国では傾向の違いはそれほどないのかもしれません。モバイルと地域情報の親和性が高いのは万国共通です。ヨーロッパでは、2012年にはモバイル広告全体の8%だった位置情報ベースの広告は2017年には19%まで達し、モバイル広告自体も6倍以上に成長すると見込まれています。
Local Search Association と comScore が行なった共同調査によると、Google Map や Craigslist といったいわゆる地域コンテンツは、インターネット全体よりもモバイルの方が伸びが大きいという調査結果を出しており、2012年の1年間で約4倍まで伸びたと報告しています。スマートフォンの普及率の拡大が追い風になっていると考えられますね。
参考: Local Search via Non-PC Devices Quadrupled in 2012 [Study]
http://searchenginewatch.com/article/2266201/Local-Search-via-Non-PC-Devices-Quadrupled-in-2012-Study
ローカル広告に参入を進めるGoogle
こういったデータからも読み取れるように、モバイル✕ローカルは次のフロンティアとして注目されており、各社がこぞって参入/拡大を進めています。検索の巨人である Google は 今年(2013年)の6月にカーナビアプリを提供するイスラエルの Waze を買収し、Waze の機能をGoogle Map に統合を進めています。日本のようにカーナビが普及していない欧米では、移動する端末であるモバイルとGoogle Map のアプリの併用は非常に高い需要があり、Waze の持つ現在位置に合わせて情報を表示する技術はモバイルのマネタイズに大きな貢献をすると考えられます。
参考: Waze Joins Google! | Waze Blog
http://www.waze.com/blog/waze-joins-google/
実際、以下の xAd の調査では、最もモバイル利用の多いジャンルとして、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアを挙げており、車での移動とモバイルの親和性が高いことが指摘されています。
Waze の買収に代表されるように、2013年の Google の地図関連のアップデートは非常にハイペースで、6月に Waze の買収、7月にはその Waze の機能の一部であった事故情報等の表示機能をMapアプリへ追加し、8月にはそのMapアプリの広告表示を刷新して収益化を強化しています。(2013年9月現在)
参考:Inside AdWords-Japan: 最新の Google マップ アプリにおける広告掲載について
http://adwords-ja.blogspot.jp/2013/08/google.html
これまでのデスクトップPCを中心にしたビジネスの考え方では AdWords の住所表示オプションはあまり重要性が高いとは捉えられていない向きがありましたが、ユーザーのモバイル利用/地図アプリ利用が加速していく中で、地図への広告表示に住所表示オプションが必須となると、店舗型ビジネスでの販売促進における AdWords 利用の優先順位は一段上がると考えられますし、それが Google の狙いの一つでもあると思われます。
ちなみに、「シカゴ レストラン」で検索したユーザーのうち、14.5% が右上部の地図をクリックしたという実験結果もあり、デスクトップ検索においても地図へのトラフィックは重要視されています。Googleプレイスも Google+Local への変更されており、ソーシャルとローカルの融合も図りつつあるようです。
参考:Study: Google Local Carousel Results Win 48% Of Clicks, While Only 14.5% Of Clicks Were On The Map
http://searchengineland.com/study-google-local-carousel-results-win-48-of-clicks-while-map-only-earned-14-5-of-clicks-164925
ローカルプラットフォームの競争は激化
Google のみならず、Foursquare も広告プラットフォームを開設し、ローカルやスモールビジネスの開拓を進めています。これまでイエローページが担っていたローカル広告は、モバイルと位置情報という組み合わせで、競争が激化しているようです。参考: Foursquare Opens Self-Service Advertising to Small Businesses
http://searchenginewatch.com/article/2284910/Foursquare-Opens-Self-Service-Advertising-to-Small-Businesses
北米版食べログである Yelp も位置情報ベースの広告で非常に伸ばしている企業ですが、2013年7月には、お店の検索だけではなく、オーダーができるプラットフォームを発表しました。飲食店検索に一層の利便性をユーザーへ付与すると同時に、プラットフォーム自体のマネタイズを強化させる動きになっています。
参考: Introducing Yelp Platform! Transactions Made Easy, Directly Through Yelp
http://officialblog.yelp.com/2013/07/yelp-connects-people-with-great-local-businesses-giving-users-plenty-of-information-to-make-spending-decisions-and-allow.html
モバイルの利用時間と広告費の関係
ローカル広告が注目される背景には、モバイルとの親和性の高さがあることは間違いありません。以下の図でも分かるとおり、以前よりユーザーがメディアに接する時間と広告費の関係において、モバイルは極端に広告費が少ないとされていました。参考: Why The Local Digital Ad Opportunity Remains Unsolved
http://www.adexchanger.com/data-driven-thinking/why-the-local-digital-ad-opportunity-remains-unsolved/
この大きなギャップが存在する以上、モバイルへの注目度は途切れることがないと考えられますし、そのモバイルのユーザー行動の中で大きなパイの一つである地域コンテンツの閲覧や検索は、これまで以上に今後も伸びていくと考えられます。
ローカル広告は店舗型ビジネスが主戦場ですが、デジタルに遅れをとっているのもまた店舗型ビジネスです。この分野へのサポートやサービスはこれからも続々と登場し、群雄割拠の様相を呈すると考えられます。引き続き注目していきたいと思います。
コメント