#あけましておめでとうございます。2014年もよろしくお願い致します。
例年、年末年始はその年のトレンドを予測する記事が増えます。一方で、前年に見立てた予測に対して現実はどうだったのかを振り返る記事は、その予測ほど多くはありません。
このブログでも、2013年の最初の記事は海外のオンライン・マーケティング市場の予測記事をまとめたものでした。そこで、2014年の予測をする前に、2013年の最初の記事から1年経って、実際はどうだったのか少し振り返ってみたいと思います。海外の市場予測から浮かび上がる2013年のオンライン・マーケティング5つのトレンド
http://www.admarketech.com/2013/01/2013prediction.html
昨年の記事で、海外のメディアの多くは以下の5つを予測していました。
予測1. モバイルの完全な離陸
予測2. ソーシャルメディアの計測と連携の強化
予測3. 地方/中小企業(SMB)市場の伸長
予測4. マーケティング施策の精緻化と、統合分析の本格化
予測5. 分析系人材採用とプライバシー問題の加熱
これらの予測の多くは実際に起こったように思います。予測2.は Universal Analytics の本格稼働や Facebook Exchange の伸長などが代名詞となりましたし、予測5.のような分析計人材については日本でも毎週のように記事が書かれ、7月にはデータサイエンティスト協会が発足するなど、まさに市場が加熱していたような印象です。
以下では、上記の中でも比較的定量的に把握ができそうな「予測1. モバイルの完全な離陸」について、もう少し細かく振り返ってみたいと思います。
現実が予測を追い抜いたモバイル広告
1年前の記事では、以下の eMarketer の記事を引用して、2013年のモバイル広告の成長を紹介していました。これによると、2013年の米国のモバイル広告の市場規模は43.1億ドル(約4,500億円)と予想されています。2012年対比で65%増という見込みです。
しかしながら、昨年末(2013年12月)に発表された最新の米国モバイル広告市場規模は、以下のように上方修正されています。
更新された上記の表では、2013年の米国のモバイル広告市場規模は96億ドル(約1兆円)となり、2012年対比で120%増(2.2倍)ということになっています。
比較元の2012年も26.1億ドル→43.6億ドルと17億ドルほど上がっていますが、2013年はそこからさらに2倍以上成長したことになり、2012年時点での予測を遥かに上回るスピードで伸びていることが分かります。計測の元データが若干違う(前回予想では email と lead generation が含まれていない)ことを差し引いても、現実が予測を追い抜いてしまっているようです。
この表がさらに衝撃的なのは、2016年にはモバイル広告がデスクトップ向け広告に規模としてほぼ並び、2017年には逆転すると予測していることです。これまで予想より早くモバイルが成長していることを考えると、あと2−3年も経たないうちにインターネット広告を巡るデバイスの風景はガラッと変わってしまうのかもしれません。
モバイルでも検索が牽引
急速に伸びているモバイル広告の内訳はどうなっているかというと、やはり検索が一番手に挙げられるようです。これも同じく eMarketer ですが、2013年の8月に発表されたモバイル広告のフォーマット別予測によると、2013年時点でモバイル広告の50%強は検索連動型広告が占めており、その比率は若干変化するものの将来に渡って高い比率を保つことが予測されています。
モバイル広告の市場規模については調査会社各社で微妙に予測が違っていますが、検索連動型広告が高いシェアを占めることについてはほぼ同じような予測を立てています。上記の表では2013年のモバイル検索連動型広告は約43億ドルとなっていますが、モバイル広告費を約70億ドル規模とややコンサバに予測している Forrester Research でも検索は約38億ドルほどと見込んでおり、eMarketer より検索連動型広告の比率を高く見積もっています。
IAB はデバイス別にフォーマットの比率を発表していませんが、IHS の発表資料を見るに、アジアは50%弱、米国は55%程度と見るのが妥当のようです。
[PDF]www.iab.net/media/file/GlobalMobilePresentation2013FINAL.pdf
デバイスの伸びによって変わるユーザー行動
「スマートフォンやタブレットの台数が増えている」という事実は今さら言うまでもないですが、スマートデバイス・モバイルデバイスの普及による消費者行動の変化は顕著に起こっています。以下のインフォグラフィックはそのいくつかの例が挙げられています。
Infographic - People Shopping on Mobile Devices Visit More Sites Than Those on a PC - Velvet
モバイルコマースはわざわざ指摘せずとも確実に生活に浸透してきていますが、インターネット広告費の2割のシェアを持つ小売(Retail)業界がこれを黙って見ているわけはありません。
リアルタイムにあらゆるデバイスに情報を届けることは、ユーザーのタイミングに合わせて情報を提供することを可能にします。商品リスト広告が2013年にモバイル対応したように、商品情報そのものが広告になりうる時代において、モバイルへの対応は小売にとって既に必須事項のようです。
これまではエンタメなどの一部の業界に出稿が偏っていると言われていたモバイル広告ですが、小売をはじめとした主要な業界もユーザー行動の変化に合わせたモバイルデバイスへの対応を加速させていくと思われます。
2014年も、これまで以上に市場の伸びと進化が感じられる1年になるのは間違いありません。引き続きモバイルを巡る状況はウォッチしていきたいと思います!
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