商品リスト広告や動的リマーケティングなど、ショッピング周りのアップデートが絶えない Google AdWords ですが、感謝祭からブラックフライデー、そしてクリスマスシーズンに突入する直前の11月下旬という1年で最もEコマースが盛り上がる非常に大事な時期に、幾つかのアップデートが同時に発表されました。
今回は主に分析や指標周りの更新が多い印象です。公式ブログの説明を参考に、今回のアップデートがどのように運用に活かせるのか考えてみたいと思います。参考:Inside AdWords: New ways to rev up your Shopping campaigns
今回のアップデートは、かんたんにまとめると以下の6つになります。
ショッピングキャンペーン
・「オークション分析」機能の追加・「検索広告のインプレッションシェア」の精度が向上
・「オークション分析」でデバイスと時間の分割が追加
・「入札単価シミュレーション」項目が追加
・商品グループ単位でのソート機能の追加
マーチャントセンター
・「診断」タブの導入以下、順に見ていきたいと思います。
①「オークション分析」機能の追加
キャンペーン、もしくは広告グループの「詳細」から「オークション分析」を選択すると、他の検索連動型広告キャンペーンと同様のオークション分析レポートが確認できます。このオークション分析には「インプレッションシェア」「重複率」「上位表示シェア」という新たな3つの項目が追加されています。
「重複率」は、該当するショッピングキャンペーンの広告にインプレッションが発生した際に、同時に他の広告主の広告が掲載された割合で、「上位表示シェア」は、オークションに参加した他の広告よりも自社の広告が上位に掲載された、もしくは他の広告が掲載されずに自社の広告が掲載された割合のようです。
残念ながら現時点では広告グループより細かいレベルではレポートが出ませんが、商品グループと広告グループがある程度揃っていれば強いカテゴリと弱いカテゴリはある程度分析が可能かと思います。ベンチマークCPCなどと照らし合わせながら、入札とマーチャントフィードの両面から施策を練ることができるようになりました。
また、あとの項目でも触れますが、このオークション分析レポートは期間とデバイスで分割が可能ですので、デバイスごとの成果を見ながら入札の強弱を設定する根拠としても使えそうです。
②「検索広告のインプレッションシェア」の改善
検索広告のインプレッションシェアの項目は、これまではキャンペーンレベルでの確認でしたが、今後はより細かいレベル(IDレベル)での確認ができるようになりました。通常の検索連動型広告と同様のレベルで確認が可能になります。運用自体はこれまでと変更はありませんが、変化の原因が広告ランクなのか予算なのかが判断しやすくなります。なお、今回の変更によって10月と比較してインプレッションシェアが変化している可能性があります。
③「オークション分析」でデバイスと時間の分割が追加
オークション分析レポートは期間とデバイスで分割が可能になったため、デバイスごとの成果を見ながら入札の強弱を設定する根拠としても使えそうです。土日にモバイル経由のクリックが増える、といった傾向もより掴みやすくなりますね。
④「入札単価シミュレーション」項目が追加
商品グループタブの表示項目に、「入札単価シミュレーション」が追加になりました。通常はマウスオーバーして表示させる入札シミュレーションが、表示項目として利用できます。これはちょっと Google にしてはいやらしいというか、外連味のある更新だと思います。商品リスト広告はSERPに表示できる広告ユニット数が限られている広告のため、「インプレッションが出ない」という相談が多いのですが、マーチャントフィードの改善でどれだけインプレッションが増えるかは未知数のため、どうしても入札で補完しに行きがちです。
レポート項目として追加されたことでデータとしては扱いやすくなったので、どうしてもショッピングキャンペーンのトラフィックを増やしたいときには参考になる反面、オークションの加熱を大っぴらに奨励しているようで、ハイシーズン前とはいえ随分とあけすけですなあ、という印象も持ってしまいますね。
⑤商品グループ単位でのソート機能の追加
商品グループ単位の表示形式にフラットビューが追加されました。これを選択すると、これまで項目ごとのソートが階層ごとに表示されていたものが、広告グループ内の商品グループを跨いでフラットに表示されるようになります。これは表示形式の更新なので直接的にキャンペーンへの影響はありませんが、各項目ごとに該当する商品グループがひと目で分かるようになりますので、これまでより格段に分析がしやすくなります。個人的には一番ありがたいアップデートかもしれません。
⑥「診断」タブの導入
このアップデートだけ、ショッピングキャンペーンではなくマーチャントセンターの変更です。「診断」タブによって、マーチャントフィードや商品アイテムに関するレポートを一覧でき、商品データの不備、有無、重要なエラーへの対処がしやすくなります。また、商品アイテムのステータスを過去にさかのぼって確認したり、不承認となったすべての商品アイテムとその原因が記載されたレポートのダウンロード、統計情報なども確認できるようです。
参考:Inside AdWords-Japan: Merchant Center の [診断] タブで問題解決がよりシンプルに
他にも、マーチャントプロモーションが米国以外の国(日本は含まれず)にも公開されるなど、2014年の Google のショッピング関連の更新は昨年に続いてかなり頻度が高かった印象です。(まだあるかもしれませんが…)
ショッピングキャンペーンを始めとした商品フィード広告の進化は今後も引き続き続いていきそうです。商品リスト広告の市場規模はこの2年で急激に拡大していますので、今後も重要なアップデートがあれば継続的に記事にしていきたいと思います!
【2014年11月25日 追記】
今回の更新に合わせて、モバイルおよびタブレットでの表示も大胆に切り替えてくるようです。Inside AdWords: Richer mobile shopping experience this holiday season
具体的には、以下の3点が追加変更されています。
・商品情報の拡張詳細表示(タブレット/スマートフォン)
・ローカル在庫広告の追加表示(タブレット)※12月24日まで
・商品画像の360度表示(スマートフォン)
これだけモバイル推しの変更が追加されると、今シーズンのデバイス別の結果がどう変わるか注視する必要があるかもしれません。なお、モバイルは表示面積が少ないので、オークションはかなり加熱しそうです。掲載の確認は、更新された③「オークション分析」でデバイスと時間の分割で結果を確認しましょう。話が出来すぎで何だか悔しいですが…
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