Googleの広告審査レポート
数年前から Google が発表している広告審査のレポートの最新版(2014年版)が発表されました。
リンク:Fighting Bad Advertising Practices on the Web — 2014 Year in Review
それによると、2014年の1年間で停止になったアカウントは約21万4,000、不承認になった広告は5億2,400万にのぼるそうです。
この調査が始まった2011年には 停止になったアカウントは82万4,000、不承認になった約1億3,400万と言われていました(参照)。AdWordsの利用企業が増え、プロダクトの進化が進むにつれて、広告審査のトランザクションは加速度的に増加している一方で、アカウントそのものの審査の精度はかなり上がっており、広告の配信だけでなく、エコシステムを保つための審査関連業務にもイノベーションが起きていることが分かります。
広告のエコシステム
広告のエコシステムの発展には、ターゲティングの精度向上や広告在庫の拡大だけではなく、広告主、パブリッシャー、ユーザーという3つの関係者すべてにとってプラスになる設計と運用が、エコシステムを司るプラットフォーマーに求められます。3者のどれかの利益によって他方の不利益が拡大されたり、不適切なオークションや広告、掲載面の追加が横行したりするような状況では、そのエコシステムは(短期的に成立したとしても)いずれは破綻してしまうでしょう。
そのエコシステムを担保する概念は広告の「品質」ですが、品質は単純な CTR だけではなく、広告そのものの掲載基準や、広告が掲出される広告枠の審査、ユーザーがクリックしたリンク先など、あらゆる変数が考慮されることで成立しています。
近年ではブランドセーフティやビューアビリティなどの取り組みも強化されていますが、そのコストをデマンドサイドである広告主が負担する例も時折見受けられます。これらのコストは元々エコシステムを健全に機能させるためにプラットフォーマーが払うべき当然のコストであって、広告主が支払うコストではありません。
このコストを低く見積もるプラットフォーマーはエコシステムを維持できず、毅然とした努力を続けていくプラットフォーマーはエコシステムが強化され、結果としてマーケットに参加する広告主、パブリッシャー、ユーザーそれぞれに利益が還元され、伸びていくということだと思います。
今回の Google のリリースには、その決意の一端が現れています。
"This is a constantly evolving fight. Bad actors continually create more sophisticated systems and scams, so we too are continually evolving our practices, technology, and methodology in fighting these bad ads. The security of our users is the foundation of our ecosystem, and we’ll continue to work tirelessly to keep people safe online. "
「これは発展し続ける戦いです。悪い人々は洗練されたシステムや詐欺の手法を次々と編み出しますが、我々もそれらと戦うために技術や対処法を発展させていきます。ユーザーの安全を守ることは我々のエコシステムの基礎になるもので、我々はユーザーがオンライン上で安全であるために弛まぬ努力を続けていきます。」
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