モバイルの成長に比例して、電話型広告(Click To Call)はどこまで伸びるのか



スマートフォンの普及によってモバイルが生活の中で大きな位置を占めるようになったことで、インターネットのトラフィックも急激にモバイル比率が高まっています。今や多くのウェブサイトでPCよりモバイル経由のアクセスの方が多くなっていることは、アクセス解析の結果からも実感されているのではないでしょうか。

モバイル全盛の時代に合わせて使われることが多くなってきた「モバイル対応」という言葉は、一般には、ウェブサイトをレスポンシブデザインにするなどしてスマートフォン向けに最適化させる意味で使われることが多いと思います。

そんな中、「モバイルへの対応は別にウェブサイトの表示のことだけを指すわけではないのでは?」と、改めて考えさせられる調査が出ていましたのでご紹介します。


通話型広告(Click To Call)の成長


通話や電話広告の解析プラットフォームを提供する Marchex が2015年2月に発表した調査資料によると、AdWords の電話番号表示オプションなどに代表されるモバイルの通話型広告は、2014年の1年間で、提供している Google などのプラットフォーマーにとって約40億ドルほどの売上貢献があったのではないかと推測されています。




そして、その売上の源泉であるモバイル検索経由での通話(Click To Call)は、2015年には10億回を越えるだろうと予測しています。

以下の図は、Google の決算資料を元に Marchex が予測した AdWords の通話型広告の成長曲線ですが、2010年に電話番号表示オプションが発表されて以来、広告経由の通話はハイペースで増え続けていることが分かります。


Source: Marchex (2015)



スマートフォン経由のトラフィックは増加の一歩を辿っていますが、携帯電話の本来の機能はブラウジングではなく通話です。モバイルの隆盛は、ソーシャルやアプリでの消費時間を増やしただけでなく、ウェブサイトと電話の距離を今まで以上に近づけた、と言ってもいいかもしれません。


通話トラッキングにおける課題と解決策


一方で、Click To Call は、通話回数の伸びに対して、計測面に課題があると言われて久しい機能でもあります。

Marchex の資料でも指摘されているとおり(※1)、幾つかの課題の中で最も重大なものは、「どのキーワードで通話が発生したか」というキーワードデータとの紐付けができないことです。


※1) 資料では「通話をコンバージョンとして計測できないし、自動入札もできない」と書いてありますが、実際にはアドワーズ専用転送番号(日本未対応)を使えば通話をコンバージョンとして計測できますし、自動化ルールを適用したりコンバージョン最適化配信を設定することも可能です。資料が自社ツールを売るためにやや我田引水な書き方になっていることには注意が必要です。


以下の図は PC での一般的なコンバージョンパスと、モバイルの Click To Call のコンバージョンパスを表したものですが、PCでは当然のように「どのキーワードでコンバージョンしたか」が分かりますが、Click To Call ではそれが分からず、これまでずっとキーワードの貢献度を計測することができませんでした。


Source: Marchex (2015)の資料を元に admarketech. が作成


そのため、フォーム入力ではなく電話が重要なKPIとなるようなサービスでは、アドワーズの転送番号をウェブサイトに設置する Website Call Conversion や、1広告グループに1キーワード(完全一致)とした上で広告グループレベルで電話番号表示オプションで電話番号を1つ1つ変更したり、モバイルサイトでの電話番号タップをコンバージョンとして計測するためにコードを書き換えるなど、さまざまな努力を重ねて対応してきました。(※2)


※2)このあたりはでぶててさんの記事が詳しいです↓
【完全版】電話コンバージョン計測の必要性&タグの取得と実装方法 - でぶててのWEB録



モバイル関連のアップデートの強化


キーワードデータを紐付けるという意味では、2015年からはシンプルな解決策も登場しています。

2015年2月20日から、AdWords に通話専用キャンペーンが登場しました。通話専用だけあって、最初のキャンペーン作成画面から時間帯配信が設定可能になっており、コールセンターや店舗の営業時間に応じて設定することができます。広告表示オプションではないので、キーワードに紐付いたデータが確認できます。


リンク:Inside AdWords-Japan: 通話専用キャンペーンで電話による問い合わせを促進


一般にモバイルは PC に比べて CPC が低いとされ、モバイルのトラフィックが増えれば増えるほど RPM は減る傾向にありますので、モバイルトラフィックが増え続ける現在の状況において、プラットフォーマーの通話のマネタイズは喫緊の課題と言えます。

100,000以上の通話データを Marchex が調査したところ、モバイルサイトからの電話は全体の40%で、過半数を超える60%は電話番号表示オプションから発生しているとのこと。通話を広告費に転換するためにも、通話専用キャンペーンの登場は至極当然の結果だったのかもしれません。


Source: Marchex (2015)


2015年6月からは、電話番号表示オプションの設定には電話番号の所有確認を必須とするアップデートが発表されていることからも、このオプションの利用が増えつつあり、電話を広告として重要視していることが伺えます。


リンク:電話番号表示オプションと住所表示オプションの電話番号の確認 - AdWords ヘルプ



電話番号/通話型キャンペーンのベストプラクティス


Google が以前から定期的に出しているベスト・プラクティスシリーズに、電話/通話型キャンペーンのガイド「Good Call」が加わったのも最近(2015年3月)です。通話型広告に力を入れていることが伺えますね。


リンク:Good Call - AdWords ヘルプ



このチェックリストは10項目と非常にシンプルですが、通話キャンペーンを始めるには非常に有用なリストだと思います。

ちなみに、リストの1番最初には、「通話の価値を判断する」とあります。

Marchex のデータが示す通り、実際に購買に繋がる電話は全体の19%程度で、残りの多くはカスタマーサービスへの問い合わせや既存顧客による通話です。

Source: Marchex (2015)


つまり、通話のキャンペーンは新規の問い合わせのみならず、既存顧客へのサポートや、トラブルシューティングなど、CPA目的だけではないさまざまな使い方があることが分かります。通話型キャンペーンの目的を何にするかで、広告文や入札するキーワードの種類も変わってくるでしょう。

モバイル比率が高まれば高まるほど、通話型のキャンペーンが活躍する機会も増えていくものと思われます。この環境変化をどのように活用できるかによって、数年後の未来に大きな差がついているのかもしれません!

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モバイルの成長に比例して、電話型広告(Click To Call)はどこまで伸びるのか
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