
AdMarkeTech. Monthly 2019年5月/May 2019
毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかったものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。
(最近はまったく個別記事を書けてないので、そろそろがんばります…)
2019年5月、令和最初の月は大型連休で始まりましたが、大型のリリースや買収といったニュースもたくさんありました。 気になった方はリンク先もぜひご一読ください!
▶U.S. Digital Ad Revenues Surpass $100 Billion Mark for the First Time, Hitting Landmark $107.5 Billion in 2018, According to IAB Internet Advertising Revenue Report
IAB の2018年通年レポートが発表されました。米国の2018年インターネット広告費は初の1,000億ドル突破し、前年比22%増の1,075億ドル(約11兆8000億円)に達したとのこと。
ハイライトは、モバイルが699億ドルで全体の約65%を占めたこと、および動画広告が全カテゴリ中最大の成長率(37%増)となったことでしょうか。
市場規模が増しても勢いが衰えず、むしろ加速している背景としては、ざっくり以下の3点が挙げられます。
(1)「Direct Brands」に象徴されるECの劇的な成長
(2)ソーシャルメディアが投資と増幅の潤滑油
(3)技術の進歩が成長を支える環境を提供している
(1)は、D2C(Direct to Consumer) といった方が伝わりやすいかもしれません。業種別で見ても小売(Retail)はここ数年頭一つ抜けて規模とイノベーションを牽引しているので、今後もしばらくコマースが台風の目であることは変わらないような気がします。
▶Giving Small Businesses the Tools to Succeed on Facebook | Facebook Business
世の中がエンタープライズに目が向いているような感のある昨今ですが、Facebook広告は中小企業向けアップデートを増やしています。
・自動広告(Automated Ads)
-質問に答えると広告が自動生成され、ターゲットや予算も推奨が提示されます
・アポイント管理機能
-自動リマインダや他のツールとの連携も可能になり、コミュニケーションインフラをビジネス向けに拡張した感じです
・動画編集機能
-広告用にトリミング等の動画編集が可能になります
自社の顧客がどこなのか。ポジショニングが分かっている感じがしますね。
▶9 Massive Changes Coming to Google Ads #GoogleMarketingLive 2019 | WordStream
やはり Google Marketing Live の話題で盛り上がった5月。速報記事はたくさん出ましたが、タイムリーかつ内容もしっかりしている WordStream はさすがという印象を持ちました。
なお、たくさんのアップデートの中でも、後日、Gallery Adsと、Discovery Adsについて詳細な記事を上げています。
古き良きインターネットを懐かしむおじさんとしては、Gallery Ads がポジティブに受け止められること自体が衝撃なのですが、これも 5G時代の到来の端緒と捉えるべきなのかもしれません。
日本語では、Unyoo.jpのGoogleの現在と未来:Google Marketing Live 2019よりが素晴らしいまとめでした。未読の方はぜひ。
▶An update on first price auctions for Google Ad Manager
旧DoubleClick経由での配信にファーストプライスが採用される件で、最も議論が紛糾していたのがこの統一価格オークション(Unified First-price Auction) でしたが、パブリッシャーが強く反対する中、公式にアナウンスされました。メッセージも収益云々よりも透明性を押すような表現になっています。
この記事中にある「Unified First-Price」というのは、平たく言えばフロアプライスの設定をナシにして予約型も一定の制限をつけるというもので、ファーストプライスになれば約定単価保護のために設定していたフロアプライスは不要ですよね、というのが Google 側の理屈のようです。(対して「選択肢を外すな」というのがパブリッシャーの言い分)
ファーストプライス実施以降にメディア側でフロアが変わらない(あるいは恣意的に変えられる)と、Bid Shading アルゴリズムが効きにくくなりますし、元のフロアプライスが異常な設定であればそもそもの約定自体が減ってしまうでしょうから、統合後の収益性向上のためにも余計な選択肢はなるべく削る必要がある、というのが Google 側の意図ではないでしょうか。
単価が上がっても広告インプレッションそのものが減れば売上も連動して減少しますので、余計なことはさせないぜという意図を感じますね。個人的には少しモヤモヤする発表でした。
▶Amazon To Acquire Sizmek Ad Server And DCO Business | AdExchanger
3月に破綻していた Sizmek の広告サーバーと DCO(Dynamic Content Optimization) を、Amazon が買収した模様です。
Amazon のプレスリリースによると、Sizmek のサービスは当面は Amazon広告とは別々で運営されるとのことで、統合自体は少し先になりそうですが、いずれにせよ、今後は Amazon のデータも加えて AWS環境下でオーディエンスセグメントを作成し、DSP として配信できるようになるのではと予想されています。
そうなると、Google の ADH(Ads Data Hub) 構想とやってることはほぼ同じになり、ますます「Amazon VS Google」という構図ががヒートアップしそうです。
同じタイミングで、クロスデバイス計測の Drawbridge が LinkedIn に買収されるというニュースがありましたが、世界的にプライバシー保護を強化した結果、それぞれのプラットフォームを隔てる壁(Wall)がますます高くなり、Walled Gardens が進んでしまうのかなと思ったりもします。
以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!
なお、毎週のニュースは【AdMarkeTech. Weekly】としてFacebookページにアップしています。よろしければご覧ください。
それでは、来月もお楽しみに^^
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