AdMarkeTech. Monthly 2019年6月/June 2019
毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかったものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。
(引き続きまったく個別記事を書けてないので、いいかげんがんばります…)
2019年6月は、前月に引き続き大型のリリースや買収がありましたが、今回は少し先の広告の方向感が表れているようなニュースを中心にまとめてみました。 気になった方はリンク先もぜひご一読ください!
▶Google to acquire analytics startup Looker for $2.6 billion | TechCrunch
Google が Lookerを買収しました! 買収金額の26億ドルは、2014年のNest(32億ドル)以来の大きな規模になるとのことです。
今回の買収によって Lookerが連携している他のプラットフォーム(≒Googleの競合)との接続に影響が出ることはないだろうということです(顧客の利便性を下げてしまうため)。むしろ、他のクラウドと連携することが BI の生命線であり、今回の買収の意図とも合致するのではないかと思います。
データポータル(旧:データスタジオ)とは現時点でレイヤーが違いますが、Google がどこに張っていくつもりなのかが比較的分かりやすく表出した案件なのかなと思います。
▶2019 Podcast Ad Revenue Study - IAB
IABによる発表で、2018年の米国ポッドキャスト市場は、前年比53%増の4億7900万ドル(約510億円)となったとのことです。加熱していますね。市場規模は2021年までに倍増し、10億ドルを超えると予測されています。
広告主の業種は、トップがD2Cブランドで22%、次いで金融(21%)、B2B(14%)、エンタメ(10%)、通信(7%) と続いています。
なお、最も多い広告タイプはホストリード広告(Host-read Ads)で、ポッドキャスト広告全体の6割を占めています。これはいわゆるライブリーディングというやつで、ディスクジョッキーが商品について放送で取り上げるインフォマーシャル的なものです。
Source: IAB FY 2018 Podcast Ad Revenue Study
そうなると、「プ、プログラマティックとは…!?」となってしまいますね。動画市場も同様の動きがありますが、インターネット広告的な数字の積み上げで集計できていた範囲の外側で、古きよきマニュアルな企画力でお金が動いている世界が大きくなっている気がします。放送と通信の改革が、一周回って以前の裾野を再開拓しているような方向感ですね。
なお、このレポートについては WSJ が解説記事で取り上げています。ラジオCM的な文脈で理解しやすい動的挿入広告(Dynamically inserted ads)はポッドキャスト広告の種別では最も販売数が多いものの、最大のシェアを誇るホストリード広告と比較してどうしても低単価になりやすい(なのでシェアは2番手)、とのこと。
動的挿入広告はプログラマティックと相性がいいですが、現在は余剰在庫が主流なので、今後は IPターゲティング等で精度を上げることで需要側を盛り上げていけるかどうかが課題になるでしょう。
▶Deliver more interactive ad experiences with Display & Video 360
D2C を始めとしたブランドコマースの戦略では「Immersive(没入的)」がホットワードですが、その没入体験を可能にする2つのフォーマットを Google が発表しています。
1つは、「Swirl」と呼ばれる没入型ディスプレイフォーマットで、360度にグリグリ回転して見せることができるモバイル広告です。現時点では DV360 のみの展開ということで、大型の D2C を中心に導入が進むと思われます。
2つめは、YouTube のライブストリームフォーマットで、Google Web Designer と連携して DV360 で動画のライブ配信が可能になります。デバイス横断で配信が可能なので、限定のライブコマースなどで使えそうですね。
広告以外でも、「AR Beauty Try-On」という、AR でメイクを試してその場で購入できるフォーマットも提供しはじめました。これは YouTube のブランドコンテンツプラットフォームである FameBit を通じて作成できるそうで、今後は美容系以外にも AR の技術の用途拡張が進んでいくかもしれません。
▶Google to No Longer Display Text-Only AdSense Ads - Search Engine Journal
AdSense のオーナーにはアナウンスがきていましたが、テキスト専用やディスプレイ専用の広告ユニットが段階的に廃止になるほか、テキストのスタイル変更も今後は利用できなくなります。たくさんあったサイズも簡略化され、動的なレスポンシブ形式に。
5G とモバイルで、広告はハイパーリッチ化していく流れが続いています。シンプルなテキスト広告の役目は終わりを迎えつつあり、没入・体感といったキーワードへと急速に移行している感がありますね。
▶Reuters Institute Digital News Report 2019
毎年6月はメアリー・ミーカーさんの「Internet Trend」が耳目を集めますが、個人的にはロイターのデジタルニュースレポートも好きです。(分厚すぎて精読はできないですが...)
全体のトレンドはメアリー・ミーカーさんで知るというより、復習あるいは確認するという感じが多いですが、ロイターのレポートは主要各国の事情がざっくり分かるので、世界は一つではない(あるいは「アメリカ≒世界」ではない)ということを改めて知れるので面白いです。
5Ḡで革新的に変わっていく世界がある一方で、インフラである電力の確保がままならないような地域もまだまだたくさんあります。鷹の目と虫の目、どちらも持っていたいなあと思います。
以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!
なお、毎週のニュースは【AdMarkeTech. Weekly】としてFacebookページにアップしています。よろしければご覧ください。
それでは、来月もお楽しみに^^
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