2011年10月24日月曜日

インハウスSEMの組織運営を考える



先日「インハウスSEM 5つのメリット・デメリット」という記事を書きましたが、今回はインハウスSEMを実施する際の組織図について考えてみたいと思います。

実際の商流はどうであれ、インハウスのSEMを強化しようと決意した場合、どんなスキルセットのメンバーが必要でどんなチーム体制にすべきかは、非常に悩ましい問題です。これまで専門家が社内にいない場合や、他の仕事との兼務であまりSEMまわりにリソースを割いていない場合は特に難しいと思います。

そこで、まずはチームのメンバーをマネージャーを含めた4つの職種に大雑把に分けて、それぞれどんなスキルセットが望ましいのか、どのように連携するとよいのかを、以下にかんたんに図にしてみました。


インハウスSEMのチーム体制
(クリックすると拡大します)

# 上の図はPDFも作りました。もしご利用であればどうぞ。



マーケター(リス男)

まずは、図の右上にあるマーケターです。SEMのチームなので、マーケターはリスティング男子、いわゆる「リス男」的な人物を想定しています。(リスティング女子でもいいです)

# 「リス男」については、sembear氏のブログが詳しい(というか語源)なのでご参照下さい。
# ただし全体的にやや暑苦しいのでお読みの際はお気をつけ下さい。

リス男は、ドラクエ3で言うところの勇者のような存在です。それはヒーロー的存在という意味ではなく、パワーでは戦士より劣り、呪文では魔法使いに劣る、なんとも中途半端な立ち位置、という意味になります。その代わり、チームのハブ的存在となり、先頭に立ち、オールマイティな能力を発揮することを求められます。

実際の現場では、大量のキーワードやクリエイティブを扱い、毎日数字と格闘し、ネットマーケティングの最新情報や風向きを常に捉え、自社の事情と折り合いをつけながら、チームの浮沈を担うという厳しい仕事になるので、この仕事が好きで興味をもたないと成り立ちません。もしこのポジションを社内から抜擢するのであれば、必要条件として、ネットマーケが好きであること、十分条件として、SEMをはじめとしたマーケティングの知識や経験、数値や統計などが得意であることが挙げられると思います。また、後述するアナリストやウェブマスターと一緒に仕事をすることになるので、彼らと同じ語彙で話ができる程度の知識を持ちつつ、彼らにしっかり説明できるような表現力が必要になります。代理店やメディア、ベンダーとの渉外なども担うので、そういったことに抵抗がないことも大事です。


アナリスト

次に、左上のアナリストです。データテクノロジストとか、ウェブストラテジストなどと言うケースもありますが、取り急ぎアナリストとしています。

アナリストとはいっても、いわゆる ”分析屋” という立ち位置ではなく、自社の購買データ、リスティング広告のデータ、アクセス解析のデータ、調査や購買が可能な外部データを可能な限りつなげていき、リス男とともにマーケティング活動の最適化や次の戦略をつくることが仕事になります。将来的には、データを統合してダッシュボード化したり、データマネジメントプラットフォームと呼ばれるものを駆使して分析や仮説の検証を行う、といった仕事になるでしょう。一つ一つのデータ(枝葉)をつないで、全体の戦略や個別の戦術(森や木)を作っていくという、遠近両方の視点を持っているということが必要条件になります。また、どうしても大量のデータに潜り込んでいくことが多いため、独自のワールドに入ってしまうことがケースがまま見られるため、得られた知見を他のメンバーが理解できるように加工して伝えられる編集能力が、この仕事の十分条件と言えるかもしれません。


ウェブマスター

その次は、左下のウェブマスターです。ウェブマスターという職種は定義が難しく、ウェブディレクター、ウェブプロデューサー、ウェブデザイナー、インフォメーションアーキテクトなど、その業務内容によって定義もさまざまですが、ここでは、とにかく自社のサイトをいじる権限と役割を担っている人、ということにします。

この仕事は、企業によって扱われ方がかなり違っていて、日本の場合は特に、制作やシステム運用を完全に外注、という場合も多く見られます。セキュアな運用を求められる業界や、データやトランザクションが膨大な場合は仕方がありませんが、そういった場合でも、ある程度までは社内で把握しタイムリーな対応ができるかどうかがポイントになります。求められるスキルはデザインとシステムでまったく違うのでここでは言及しませんが、職務として、デザインをいじれる人は商業デザインに明るく、直感だけに頼らずデータを判断材料に加えられる視野を持った人、システム担当であれば 営業のパソコンの応急処置をついでに任されている、みたいなぞんざいな扱いではなく、アナリストの意図をウェブに組み込み、リス男のアイデアを実現する仕掛けをつくる最良のパートナーとしての存在になるでしょう。リス男とは違った視点で最新情報やツールにも明るいことが必要です。


マネージャー

最後に、右下のマネージャーです。いいチームにはいいマネージャーが不可欠ですね。

どんな仕事のマネージャーでも同じですが、SEMのチームマネージャーは、それぞれ深い知識を要する上述の職務にある程度通じている必要があり、それを会社の方向性とすり合わせながら意思決定をしていくことが求められます。

それぞれの職務に通じているといっても、細部まで詳細に把握し、マイクロマネジメントをする必要はありません。「何をしたらどうなる」ということが分かっており、特にこの分野においては、末端のインプットの些細な違いがアウトプットに大きな違いをもたらす、という理解があることが重要です。また、常にトライアンドエラーを繰り返していかなければ成功しない業務であるため、「失敗は即ペナルティ」という文化ではなく、「失敗は成功の糧」と捉えられる環境をいかにして作れるかがマネージャーの最も大事な仕事になります。そのためには、ある程度経営層から権限を移譲してもらっていたり、直属の組織であったりと、経営と実務をつなぐ社内でも指折りのキーパーソンであることが望ましいでしょう。



最後に

今回のチーム体制は、ある程度の規模のデータ量があり、SEMがマーケティング活動や売上に占める割合が比較的大きく、事業がそれほど多数の部門に分かれていない場合を想定して書きました。理想もたぶんに含まれています。

現実はいろいろなパターンがあると思います。リス男だけじゃなく、純広買い付けの純男(すみお)、マスメディア男子(ますお)、ソーシャル男子(シャル男)、メール男子(メル男)、他にもCRM、ブランドマネージャー、製品ごとのマーケ担当などもありますし、販促と広告宣伝でお財布が違うとか、企業ごとに事情はさまざまだと思いますので、ぜひぜひ、それぞれの企業文化に沿ったチーム作りを目指して頂ければと思います!



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