2013年8月26日月曜日

インプレッションシェアは改善すべきなのか?


インプレッションシェアをめぐる言説

リスティング広告の運用者で「何でインプレッションシェアが100%にならないの?」「どうやったらインプレッションシェアが上がるの?」と質問されたことがある方は意外と多いのではないでしょうか。


2012年の11月よりディスプレイネットワークや時間帯別のインプレッションシェアが確認できるようになり、先月(2013年7月)にはキーワードレベルでのインプレッションシェアも確認できるようになって、項目が増えたぶん意味的には随分と分かりやすくなりましたが、それまではとかくインプレッションシェアというと誤解を招きやすい項目の一つでした。

インプレッションシェアを100%にすることが目的になったり、なぜ低いのか理由を求められて冷や汗をかいた経験がある人もいると思います。そこで今回はインプレッションシェアという分かりにくいレポートについて少しだけ考えてみたいと思います。


インプレッションシェアとは何か

インプレッションシェアについて、AdWords の日本語のヘルプには以下のように記載されています。

インプレッション シェアのトラッキング - AdWords ヘルプ
https://support.google.com/adwords/answer/2497703?hl=ja
"インプレッション シェア(IS)は、表示される可能性があった回数(推定値)で実際の表示回数を割った割合です。表示可能かどうかは、現在の広告の掲載対象設定、承認ステータス、入札単価、品質スコアによって決まります。このデータは、キャンペーン、広告グループ、キーワードのレベルで確認できます。"

"インプレッション シェアの意味を理解するには、オンライン広告の市場を 1 個のおいしそうなパイに例えるとわかりやすいでしょう。お客様と競争相手は、そのパイの一番大きな一切れを食べようとねらっています。インプレッション シェア データをトラッキングすることで、自分の一切れがパイ全体に比べてどのくらいの大きさかがわかります。"

このパイの比喩を使わせてもらえば、つまりインプレッションシェアとは、掴もうとするパイの大きさと、実際に掴んだパイの大きさの差を表すものだといえます。

実際に掴んだパイの大きさ(インプレッション)はアカウントで確認できますが、掴もうとしたパイの大きさはどのように考えればよいのでしょうか。以下がインプレッションシェアについての考え方をかんたんな図にしたものです。

参考: Measuring & Improving Lost Impression Share


一番大きな薄いピンク色の円は、業界やマーケット全体のインプレッションです。その中にある円が実際に設定したキーワード等によって表示機会の可能性があるインプレッションで、最後の赤い小さな円が実際に真ん中の円から獲得できるインプレッションシェアになります。

ここで勘違いしがちなのが、一番大きな円と、真ん中の円を混同してしまうことです。真ん中の円(設定したターゲットにとって適切なインプレッション)は、アカウントに設定したキーワードやターゲティングの設定、品質スコアや入札単価、マッチタイプやステータスなど様々な要因によって大きくなったり小さくなったりします。

アカウントに意味の広い大きなキーワードをたくさん入れれば一番大きな円と真ん中の円の大きさは近くなっていきますが、それはアカウントの最適化とは必ずしも一致する行為ではありません(むしろ逆効果なことが大半です)。おそらくインプレッションシェアも少なくなっていきます。

そのため、「インプレッションシェアを100%にしろ」ということは、「真ん中の円を狭めよ(キーワードを限定的にせよ)」もしくは「自社と直接関係ないインプレッションでもどんどん出るように高いCPCと予算を投下せよ」という意味になり、多くの場合最適化とは逆行した行為になってしまいます。

検索連動型広告にせよディスプレイネットワークにせよ、ユーザーが欲しくなるタイミングに適切に広告を出すことが大事ですから、その基本が考慮されずに闇雲にインプレッションシェアを上げようとする行為は予算のムダ使いになってしまう可能性が高いでしょう。インプレッションシェアという数字が意味を持つのには、アカウントの中身がその企業にとって適切なレベルに収まっていることが最低条件だと言っても過言ではありません。


インプレッションシェアを確認する2つのポイント

ではインプレッションシェアを確認する意味はないのでしょうか。

しっかりした構成のアカウントで適切な運用がされていれば、インプレッションシェアを参考にする場面はあまり多くないかもしれません。ですが、以下の2点についてはインプレッションシェアレポートがたいへん重宝されます。

1. 完全一致のインプレッションシェアを調べる場合
完全一致のインプレッションシェアは、設定したキーワードに対して完全に一致する検索クエリで発生した実際の表示回数を、同じく完全一致で表示される可能性があった回数で割った割合です。インプレッションシェアはキーワードのマッチタイプによって当然異なりますが、「完全一致のインプレッションシェア」を参考にすれば、調べたい特定の検索クエリだけで獲得可能な表示回数の実際のシェアを把握することができます。

これにオークション分析レポートを合わせると、実際の競合がどのドメインで、上位掲載率がどれくらいかを把握できるので、ビッグワードやブランドワードに寄りがちなアカウントでは非常に大切な機能となると思います。


2. インプレッション シェア損失率(予算)を調べる場合
もう一つは、予算が原因で広告が表示されなかった割合を調べる場合です。AdWords ではキャンペーンに設定してあるキーワード等のポテンシャルに対して予算が足りない状況が恒常的に続くと、「予算による制限(Limited by budget)」という表示がキャンペーン一覧の画面に表示されますが、ほんの少し足りなかったり、一時的に足りないだけの状況だと、この表示は出てきません。

そのため、予算内の運用がシビアなアカウントであったり、少ない予算でキャンペーンをたくさん切り分けているようなアカウントの場合は、効果のよいキャンペーンのインプレッションシェア損失率(予算)を調べることで、機会損失を最小限に抑えることができます。


インプレッションシェアは改善すべきか

インプレッションシェアを改善するべきかどうかはケースバイケースです。予算が限られているアカウントや、重要なキャンペーンやキーワードが明確なアカウントほど、インプレッションシェアレポートが活躍する場面があると思いますが、ただ単に予算とCPCの引き上げでインプレッションシェアを上げようとする行為は、最適化というよりは絨毯爆撃のようなやり方になってしまうことが多く、関連性を無視してオークションで孤立することになります。

同様に、アカウントの中身の見直しをせず、手許に1,000円しかないのに3,000円のパイを欲しがったり、お店にある全種類のパイを欲しがるような真似をしても仕方がありません。

インプレッションシェアを改善の目標とするのではなく、数字の意味を正しく理解し、踊らされないようにちょうどよい距離感を保って利用することが、このレポートを扱う上で大事なことなのかもしれません。



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