【2019年1月】AdMarkeTech. Monthly -アマゾンがグイグイ来ていて小売は大変だ、他

AdMarkeTech. Monthly 2019年1月/January 2019


毎月のニュースをまとめて取り上げる【AdMarketech. Monthly】。
ブログで取り上げなかった(単に筆力が足りなかった)ものの、注目に値する記事をかんたんなコメント付きでご紹介します。

今月は盛りだくさんです! 気になった方はリンク先もぜひご一読ください。




Amazon Announces 3 New Sponsored Products Bid Optimization Features


アマゾン広告(旧AMS)の入札機能が大幅刷新されました。スポンサープロダクトへの3種類の入札戦略と、掲載箇所ごとの調整、すぐに確認できるタブが追加されています。正直、便利です。

2018年末にも「ポートフォリオ」という便利機能が追加されていますが、巨人が一度気合入れると、過去に通ってきた道の最短距離を圧倒的なリソースで駆け上がってくるので、早いですね。ここ数ヶ月の大型アップデートに関しては、今のところいずれもナイスです。



Amazon adds customer acquisition metrics for Sponsored Brands campaigns - Search Engine Land


こちらもアマゾン広告ですが、入札ではなくキャンペーン指標の追加になります。
新たな項目「new-to-brand」は、すでに日本語でも「ブランド新規顧客の注文/売上」として実装されていますので、言語や地域によるタイムラグはほとんどなさそうです。

これで、時折あった「どうせリピーターばっかりでしょ」といったような批判に、関係者は根拠を持って対応できることになります。長い目でみるとアマゾンへの予算シフトに地味に貢献しそうな更新ですね。

実際、スポンサーブランド広告は表示形式としてはレコメンドに近いですし、商品ディスプレイ広告も似たような側面がありますので、本件はアマゾン自身がもともと新規率に一定の手応えを持っていたからこその打ち手のように思えます。



Pivotal Forecasts Amazon Ad Revenue To Reach $38 Billion | AdExchanger


アマゾンばっかりですみません。1月はほんとうに多かったんです。。。
Pivotal Research によるアマゾンの広告収入予測です。2023年までに380億ドルに達するとのことで、仮に予測が当たったとすると、アマゾンのこれまでのどのビジネスよりも早い成長になるという計算です。

なお、Pivotal Research に限らず、大方の予想ではアマゾンの広告ビジネスが(向こう5年間でGoogleとFacebookを上回るわけではないものの)、広告分野の独立した3番目の勢力となると予想しています。

グーグルやフェイスブックにとっては広告が(あくまで会計上では)唯一に近いビジネスモデルである一方で、アマゾンにとっては幾つかある柱の1つに過ぎないため、アマゾンの方がビジネス全体での採れる戦略や選択肢の幅が広く、小売、サブスクリプション、広告などを、事業の段階や世の中の状況に合わせて柔軟に調整することができるので強いですよね。



Help influence and understand how your products appear on Google


そうなると、グーグルも黙っていません。ブランド向けの Google Manufacturer Center(マニュファクチャラーセンター)に新機能を追加しています。

具体的には、製品ページとして高品質のコンテンツを掲載できたり、ブランドだけに詳細な分析機能を提供するものですが、デモを見る限り、ユーザー側が見る「Googleショッピング」上では詳細リンクからブランドコンテンツが展開されるような仕様になっているので、認証されている小売事業者であればブランド側の努力で情報が自然と増えていくので、Win-Winに見えます。

一方で、コモディティ化した商品ですと差別化がどうしても価格に寄ってしまいますので、ますます小売受難、D2Cの隆盛へと進んでいくような気がします。

ちなみに、同じタイミングでスマート アシスト キャンペーン(英語だと Smart Campaigns)もリリースしており、これも広義にはアマゾン対策、あるいは中小企業対策として見ていいのかなと思います。


10 Innovative Retail Trends to Watch in 2019


ここまで挙げてきたようなプラットフォーム側の大きなうねりは、ブランド側にも変化を強いることになります。結果として、近年の小売をめぐる環境は劇的に変わり、少し前とは戦い方がまったく違っていることをこの記事では示しています。

キーワードは「サプライチェーン」「フルフィルメント」「ブランド価値」あたりでしょうか。オンラインのブランド体験を店舗に持ってくるという、これまでとは逆の流れがアパレルを中心に主流化しつつありますし、それすらすっ飛ばしてARに解を求める動きも既に現実にあったりして、なんだかすごいSF感です。



Statement of the Interactive Advertising Bureau to the California Attorney General on the California Consumer Privacy Act


IABの幹部が、2020年施行のCCPA(California Consumer Privacy Act:カルフォルニア州消費者プライバシー法)に対する声明を出しています。法の施行に対しては全面的な支持を表明するとともに、その悪用や誤用を防ぐための提言を併せてまとめています。教科書のような文章です。

懸念は大きく3つ提示されていて、まず「Non-Discrimination」つまり "消費者を差別してはいけない" という項目を悪用するケースに、強い懸念を示しています(例:課金購読モデルの阻害)。次いで権利が濫用されることによる中小メディアの経営リスク、および消費者要求の妥当性を検証する手段の不足などを挙げています。

IAB、ちゃんと仕事しているなあ。GDPRからの学びが大きいのだろうと思わせるキビキビ感。ちなみに、CCPAは専用ページも開設しています→https://www.iab.com/ccpa/



Now your Google text ads can show on YouTube search results, too - Search Engine Land


YouTube内の検索結果にGoogleのテキスト広告が掲載されるようになりました。つまり「検索パートナーにYouTubeが追加された」ということで、YouTubeが世界3位の検索エンジンだと考えると、地味に大きなインパクトが出てくるのではないかと思います。

ちなみに、同月に発表されているMerkleのレポート「Merkle Q4 2018 Digital Marketing Report」によると、長らくパートナー経由のトラフィックは減少傾向だったので、今後はこの値がどのように変わってくるかに要注目です。

個人的には、ここのところのインストリーム型広告への注力の結果として、ディスカバリー広告が割を食っているように見ています。これは検索結果でのマネタイズを強化する(≒ディスカバリー広告では補完できなかった)ということだと思いますが、例えばCTAエクステンションへの移行は「2019年中」という大雑把なスケジュールのため2019年1月末時点でディスカバリーは編集ができない状態ですし、これじゃますますマネタイズできずにテキスト優位の結果になるでしょ、と思います。

もし今後パートナー経由の配信量が増えてくると、検索の広告主からは(現在はオンオフ程度しかできない)パートナー配信のコントロールについて要求が増えてくるはずです。いずれにせよ要注目ですね。

記事も書きました→ YouTubeがGoogle広告の検索パートナーに。〜その影響を考える


Tips for Managing CRO Accounts and Client Relationships | PPC Hero


というわけで、こういった変化の最中では、広告運用者のアンテナ感度と継続的な更新を行える体制と姿勢が必須です。PPC Heroに、そういった事実に気づいた優秀な若い人の記事が掲載されていました。

最初のパラグラフだけでもういい記事の予感がビンビンです。実務から適切にエッセンスを学び、それを自分の言葉でアウトプットし、経験として定着させている。こういう人は伸びますし、AIに代替されず、AIの利点をうまく使いこなせる存在になるのではと思います。

As I’ve reflected on 2018, my expectations in regard to what managing accounts looked like at the outset were largely incorrect.
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2018年を振り返ってみて感じることは、アカウントマネジメントという仕事について私が事前に考えていたことは、ほとんど間違っていたということです。



技術的負債への後悔と返済|timakin|note


広告運用ではないですが、広告アカウントを見ていると似たような「負債」を目の当たりにすることが多いので、一つの方法論として参考になります。

・「後から改善すれば良い」のスタンスは、返済コストを甘く見積もっている結果
・負債の返済にはコーディング以外の工数が大きくかかってくる
・技術的負債を"徐々に"返済することは様々な面で良い
大規模なシステムと違って、広告側はもう少しフットワーク軽くいけることも多いのですが、最初の設計が肝心というところは心から同意です。



Client in-housing, competition for talent top digital agency concerns - Search Engine Land


広告に限らず、マーケティング業務全体のリファクタリングを継続的にやっていこうとすると、インハウスが魅力的に見える瞬間があると思います。

Marketing Landのサーベイでは、インハウス着手の見た目上のメリットが大きい(マーケ費用とチャネルが多い)大手企業と代理店との人材獲得競争について、代理店側での懸念が増していると伝えています。

このあたりは、「ますます進行する「運用型広告のインハウス化」。そのときに広告代理店はどうするのか?」という記事でも少し触れています。正解は常に揺れ動いているんですが、コスト削減目的だと厳しいのは確かですね。コスト削減という目標達成に覚悟があるなら別ですが。



メディア人は、GoogleとWorpress.com(Automattic)のパートナーシップ「Newspack」に注目すべき。 - mediologic


最後に、Google と Wordpress のパートナーシップについての高広さんの見解。

本件は地味なニュースとしてあまり話題になりませんでしたが、おそらくこれが最も正鵠を射た論考だと思います。これをニュースを見た当日にサッと書いてしまうのがすごいです。。。




以上、今月の【AdMarkeTech. Monthly】でした!

なお、毎週のニュースは【AdMarkeTech. Weekly】としてFacebookページにアップしています。よろしければご覧ください。




それでは、来月もお楽しみに^^

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AdMarkeTech.(アドマーケテック): 【2019年1月】AdMarkeTech. Monthly -アマゾンがグイグイ来ていて小売は大変だ、他
【2019年1月】AdMarkeTech. Monthly -アマゾンがグイグイ来ていて小売は大変だ、他
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